2024年9月 9日公開
今日の武内夏暉投手は7回2失点とHQSでまとめ上げ、味方の援護さえあれば勝ち投手になれていてもおかしくはない好投だった。だが渡辺久信監督代行の言葉通り、本格的な夏場に入ってからは勝負球が甘く入ることが多くなっている。
2回裏に甲斐捕手に打たれたタイムリーヒットも、この対戦は6球すべてストレート勝負だったわけだが、打たれた6球目はやや外よりのやや高めという、6球の中で最も甘いコースに行ってしまった。本来であれば5球目の149km/hのストレートで打ち取りたかったわけだが、これがほんの僅か内角低めに外れてボールとなってしまう。ただ、ストライクとコールされても不思議はないコースだったため、もしこれがストライク判定だったらと思うと、やや悔しいところだった。
これで武内投手は約1ヵ月勝ち星からは見放されており、星勘定もいつの間にか8勝7敗となり、自らの貯金は1つのみとなってしまった。だが大崩れして1ヵ月勝てていないわけではないため、新人王に関してはまだ筆頭候補と言って間違いないだろう。
さて、勝負どころで少しずつ制球が甘くなってしまう現象についてだが、これは実はしばらく勝てていない投手にはよくあることなのだ。好投をしていてもなかなか勝てない時期が続くと、いわゆる勝ち急ぎ状態になってしまい、それが原因で僅かな力みが生じ、手元が狂ってしまうのだ。武内投手も恐らくは似た状態になっているのだと思う。
7月まではある程度とんとん拍子で勝てていたわけだが、8月以降は勝てなくなってしまったことにより勝ち星が欲しくてしかたないメンタルになってしまっているのだ。もちろんここでは分かりやすいようにやや大袈裟に書いているわけだが、勝てていないピッチャー、打てていないバッターには必ずこのような力みが生じてしまう。
ただしそれでも今日のピッチングに関しては先制点は与えてしまったものの、好投と言って良い内容だったため、次回もこの調子で投げてあとは勝ち急がずにペースを乱すことなく淡々と投げることができれば、勝ち星もまた自然と付くようになるだろう。今日も投げているボールとしては質の良いボールをしっかり投げられていたと思う。
だがここで一番やってはいけないことは、勝ち急ぐあまりに力で打者を抑えに行ってしまうことだ。これをやってしまうと先発投手の場合はあっという間にフォームを崩してしまい、一気に調子を落とすことが多い。もちろんそのあたりに関しては炭谷銀仁朗捕手らからも何らかのアドバイスはもらっていると思うのだが、このあたりにさえ気をつけていれば、武内投手はまたすぐに勝てるようになるだろう。
今日は本当に失点は2回の2点だけだったため、負けはついたものの胸を張っていて良いと思う。しかもプロ入り前は入団を憧れていた常勝球団ホークスの大観衆が詰めかけたホーム球場で見せたこの好投だ。今日勝てなかったのはただ援護がなかっただけの話であるため、確かに負けはついたものの、このピッチングには自信を持って次回の登板に挑んでもらえたらなと思う。