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2021年2月 5日公開

先発転向した平井克典投手は果たして第二の攝津正投手になれるのか?!

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打者のタイミングを狂わせる平井投手の左脚

昨季まではブルペンの主戦投手で、2019年にはプロ野球歴代2位の年間81試合登板も果たした平井克典投手が、今季からは本格的に先発転向することが決まっている。そのため自主トレでも現在行われている春季キャンプでも、平井投手は先発投手としての調整を続けている。

平井投手は、ロースリークォーターからスライダーやシュートを投げ分けるツーレーンピッチャーという特徴を持ち、チェンジアップやフォークボールも投げ、ストレートも150km/h近い球速を投げることができる。非常にバランスの取れたピッチャーだと思う。今年30歳になるという年齢を考えれば、より長く現役を続けるためには先発転向は今後の大きなプラスになるだろう。

平井投手の最大の武器は精度の高いスライダーになるわけだが、かと言って現役時代の西口文也投手のような魔球と呼ばれるほどのスライダーではない。非常に良いスライダーを投げていることに違いはないわけだが、しかし誰もが驚くようなボールを持っているわけではない。

打者目線から平井投手が打ちにくく見えるのは、並進運動時の左脚の使い方ではないだろうか。左脚の使い方が特徴的で、この動きによって腕がワンテンポ遅れて出てくるように見え、そこでタイミングを狂わされてしまう。

平井克典投手によって増える先発陣のバリエーション

ライオンズには現在高橋光成投手今井達也投手松本航投手という勢いのあるボールを投げられる先発投手が揃っているわけだが、ここに平井投手というツーレーンピッチャーが加わることにより、先発ローテーションのバリエーションを増やすことができる。つまり対戦相手の目線を変えることができるということだ。

3連戦を巧く戦うためには、やはり相手打線の目線を変えることが重要になってくる。要するに6人の先発投手で緩急をつけるということだ。例えば松本投手の勢いのあるボールをさらに速く見せるためには、ローテーションの間に技巧派である平井投手やニール投手を挟むことにより、松本投手のボールをより速く見せられるようになるというわけだ。

逆に力で押すタイプのピッチャーの後に平井投手が先発して来れば、相手打線はツーレーンピッチャーのテクニックに翻弄されやすくなる。このように先発6人にバリエーションを持たせることは、3連戦を巧く戦うためには非常に重要になってくる。

例えば黄金時代で言えば速球派の渡辺久信投手と郭泰源投手、左腕工藤公康投手、ツーレーンピッチャー東尾修投手、アンダーハンドスローの松沼博久投手と、とにかくバリエーションに富んだ先発投手陣が揃っていた。

今季のライオンズで言えば勢いのあるボールを投げられる三本柱を中心に、ツーレーンピッチャーである平井投手、グラウンドボーラーのニール投手、左腕ダーモディ投手、さらにはここにアンダーハンドスローの與座海人投手が加わって来れば、ローテーション内のバリエーションが増え、それぞれの特徴がそれぞれに相乗効果を与えられるようになる。

そういう意味でも円熟味を帯びてきている平井投手というツーレーンピッチャーの存在は非常に大きい。

共通点が多い平井克典投手と攝津正投手

リリーバーから先発転向して成功した例を挙げると、ホークスの攝津正投手の存在がある。攝津投手は残念ながら今は白血病を患い闘病生活を送っているわけだが、とにかく一日でも早く完治されて、また野球界に戻ってきてもらいたいと願いばかりだ。

平井投手の場合、攝津投手をロールモデルとして参考にできる点が多いと思う。ストレートの球速もふたりは非常に近いし、攝津投手もシンカーとスライダーを投げ分けるツーレーンピッチャーだった。そして社会人野球からのドラフト5位入団という経緯も同じだ。

平井投手と攝津投手に個人的な接点があるようには見えないが、しかし筆者個人としては平井投手には、29歳でリリーフから先発に転向して沢村賞まで獲った攝津投手のようになってもらいたい。ちなみに29歳になるシーズンで先発に挑戦したという経緯もふたりは同じだ。

辻発彦監督は今季が監督5年目となるわけだが、過去4年間と比べると今年が最も投手陣が整備されているように感じられる。今までは打ち勝つ野球をするしかなかったわけだが、今季は投手力によって勝てる試合も増えてくるのではないだろうか。

そのためにも平井投手には第二の攝津正になれるよう、昨年8月20日に見せてくれた5回2安打無失点というようなピッチングを、今季も見せ続けてもらいたい。ちなみに素晴らしいピッチングを見せてくれたこの試合は、平井投手にとってはプロ初の予告を受けた先発登板だった。

その時の緊張感を持って投げ続けることができれば、今季いきなり10勝以上をマークすることだって十分に可能だろう。今季こそは投手力で優勝できるように、平井投手にはその円熟味を生かして若き三本柱を盛り立てるピッチングを披露してもらいたい!

THE埼玉西武ライオンズガゼット筆者/カズ
筆者 2010年1月よりパーソナルコーチとしてプロ野球選手のサポートを行うプロフェッショナルコーチ。 選手の怪我のリスクを正確に分析し、怪我をしないフォームに変える動作改善指導が特に好評。 このブログではプロコーチ目線でライオンズについて冷静に、そして愛を込めて書いていきます!
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