2021年1月 8日公開
今季のドラフト1位である渡部健人選手が1月6日に新生若獅子寮に入寮した。若獅子寮に対しボロボロのイメージを持っていたという渡部選手は、建て替えられた寮と室内練習場を見て良い意味で驚いたようだ。
中村剛也選手、山川穂高選手との重量級クリーンナップトリオの結成も期待されている渡部選手だが、筆者個人の意見としては難しいと思う。大学時代のバッティングを見る限り、技術的にももちろんすぐに1軍レベルの投手に対応できるとは思えないし、何よりもこれからプロ野球選手になるという姿勢が、筆者の目には甘いのではないかと写っている。
ドラフト指名された際の体重は112kgで、これでも十分ウェイトオーバー気味だったが、入寮時にはこれが118kgにまで増えてしまっていた。渡部選手自身はこれから新人合同自主トレやキャンプでハードメニューをこなしていけば体重は減ると思っているようだが、そもそもこれだけのオーバーウェイトでキャンプを乗り切れるだろうか?
プロ野球の練習量や厳しさは大学時代とは比較にならない。大学時代には通用していたことが、ほとんど通用しなくなるのがプロの世界だ。野球のレベルだけではなく、野球に対する姿勢もレベルアップさせていかなければ、1軍で活躍することなど到底できない。
だが渡部選手のフィジカルやメンタルを知っての上で渡辺久信GMは、早稲田大学の早川投手のハズレ1位として渡部選手を指名した。ということはライオンズにはすでに、渡部選手のフィジカルやメンタルを鍛えるメニューもすでに出来上がっているはずだ。
ライオンズには栗山巧選手という、球界随一とも言われるストイックな選手がいる。栗山選手ほどプロ野球選手として自分自身を律している選手は他には見当たらない。
渡部選手はホームラン王になりたいが故に中村選手や山川選手にくっついていくのではなく、まずはプロフェッショナルの名に相応しいメンタルを培うため、栗山巧選手を師事したらいいのではないかと筆者は思っている。
渡部選手のポテンシャルは計り知れない。そのポテンシャルを生かすも殺すも本人次第だ。少なくとも現状のように、球団からお菓子を食べることを禁止されているようなレベルではいけない。
入寮後には「1軍の投手にしっかり対応していくことが今の時点での目標」と語っていたが、しかしそれ以前に、まずは1軍でプレーするに相応しいコンディショニングが必要だ。1軍で活躍することを考えるのはその後でも遅くはないと筆者は考えている。そもそもそうしなければ、厳しいキャンプを乗り切ることさえできないはずだ。