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2024年8月13日公開

負け続けたことで完全に負け癖が染み付いて見える現在のライオンズ

埼玉西武ライオンズ vs 福岡ソフトバンクホークス/18回戦 ベルーナドーム
1 2 3 4 5 6 7 8 9 R H E
Hawks 0 0 0 1 0 3 2 0 0 6 12 0
Lions 1 0 0 0 0 0 0 0 0 1 2 0

継投●渡邉勇太朗田村伊知郎上田大河水上由伸
敗戦投手渡邉勇太朗 1勝4敗0S 3.18
盗塁源田壮亮(7)

パ・リーグ初の同一シーズン四度目の8連敗という汚名

これほど勝てないチームというのも長いプロ野球史の中でも非常に珍しい。今日の試合に関しても本拠地ベルーナドーム で戦っているにもかかわらず、ほとんどアドバンテージを感じさせてくれないゲーム展開だった。12安打を打たれての1-6での大敗には、ベルーナドームを訪れたファンの帰路の足取りも重くなってしまったはずだ。

そして同一シーズン四度目の8連敗は、パ・リーグ初という汚名にもなってしまった。今季は、少なくともここまでは9連敗はない。そのため今回も明日で連敗が止まってくれると信じたいのだが、しかし打線はまた2安打で終わってしまっている。ちなみに直近の一週間で2安打で終わった試合は3試合、3安打が1試合、4安打が1試合、8安打が1試合となっており、武内夏暉投手が登板した試合で7点取った日以外は、ほとんど打てていないのが現状だ。

チーム打率は.203という低さで12球団の中でも圧倒的な低さになっている。ちなみにチーム打率11位は.234でセ・リーグの3位に位置する阪神タイガースだ。11位の球団とチーム打率に3分も差があるのである。これは異常な状態だと言わざるを得ない。そして12球団1位のホークスと11位タイガースの差でさえも2分7厘差となっている。つまりライオンズのチーム打率だけが12球団の中で蚊帳の外というわけだ。

山村崇嘉選手

今ライオンズの四番は山村崇嘉選手が打っているわけだが、山村選手は確かに将来的には四番を打てる逸材だと思う。しかし今現在の実力で評価すると、他球団であればギリギリ下位打線に名前を連ねる程度か、一軍であってもベンチスタートという立ち位置になるだろう。今のライオンズはそのレベルの選手が四番を打っているのだ。

もちろん他に四番を任せられる選手がいないという現実もある。少し前までは岸潤一郎選手が四番を打っていたが、しかしSNS不倫が報道されて以来一気に調子を落として、最近ではスタメンに名を連ねる機会も減って来ている。

山村選手にしても岸選手にしても長距離砲ではないため、相手バッテリーからすると怖さがないのだ。怖さがないから内角をどんどん攻めていくことができるし、腕をしっかりと振ってボールを投げ込んでいくこともできる。だが相手が長距離砲の場合は僅かなコントロールミスが致命的なホームランになってしまうケースがあるため、ピッチャーも慎重にならざるを得ない。その結果腕の振りが緩み、他の打者以上にコントロールミスを起こしやすくなる。

フランチー・コルデロ選手を上げないのであれば、せめて渡部健人選手を上げるべきではないだろうか。今日はファームでは好調だったブランドン選手が久しぶりに一軍に戻って来たわけだが、結果的には4打席で3三振だった。

渡部選手も決して二軍で打ちまくっているわけではないのだが、それでも72試合に出場して打率.269、本塁打9本、打点40という二軍の四番としてまずまずの成績を残している。なぜ一軍の首脳陣が渡部選手の一軍昇格をためらっているのかは分からないが、しかし相手投手からすれば山村選手が四番に座るよりも、ホームランがある渡部選手が四番にいる方が嫌なはずだ。

ファームで頑張ってもなぜか一軍に上げてもらえない渡部健人選手

さて、その渡部選手についてだがこれだけ一軍に上げてもらえない時間が長くなると、モチベーションにも影響し出すのではないだろうか。今日はブランドン選手が一軍昇格したわけだが、しかしブランドン選手の二軍での試合数は僅かに9だ。一方渡部選手は72試合も頑張って出続けているのに今季の一軍出場試合数は7試合で27打席に留まっている。

ブランドン選手(ドラフト6位)と渡部選手(同1位)は大卒同学年のドラフト同期であるわけだが、山村選手も同年2020年のドラフト3位指名の高卒選手だった。ちなみに同年4位で指名されたのは若林楽人選手だ。渡部選手よりも結果を残せていない選手たちが渡部選手を差し置いて一軍に上がっていくというこれらの事実を踏まえると、渡部選手にはもしかしたら何か一軍に上がれない事情があるのではないだろうか?

下世話な話はあまりしたくはないのだが、しかしそう勘繰りたくなるような処遇がされているようにも見える。現状では渡部選手、ブランドン選手、山村選手というのは三塁手・一塁手というポジションで丸かぶりになっている。山村選手が一塁手として試合に出ているため渡部選手がなかなか一軍に上がれないという見方もできたわけだが、しかしブランドン選手が先に上がったことでその考え方は成り立たなくなってしまった。

ちなみに渡部選手も過去にはSNSナンパを報じられており、アマチュア時代も私生活があまり人の手本になるような姿ではなかったため、それを理由にベイスターズが地元桐蔭横浜大学の渡部選手のドラフト指名を回避したという経緯もあった。もちろんそんなことはないとは思うのだが、何か一軍に上がれない事情があるのではないか、と思えてしまうほどドラフト同期の選手たちと比較をすると処遇に差があるように見える。

ちなみに山村選手も今季はファームで20試合の出場で、打率は.233でしかなかった。しかし怪我が癒えて一軍に戻って来た後はずっと一軍の試合に出続けている。とは言え結果を残してレギュラーを勝ち取ったというわけではなく、他に選手がいなくて起用され続けているという印象の方が強い。

ちなみに72試合の渡部選手に次いでファームで出場試合数が多いのは53試合のモンテル選手、52試合のコルデロ選手、51試合の陽川尚将選手という順になっている。果たしてこれは渡部選手に対して「一軍で通用する実力をしっかりと二軍で培え」という首脳陣からのメッセージなのか、それとも一軍に上がれない何らかの事情があるのか。筆者には正確なことは分からないわけだが、しかし渡部選手の豪快なスウィングを一軍で見たいと思っているライオンズファンは多いはずだ。

時々集中力を切らしているようにも見えるライオンズの投手陣

今日のホークスの先発はもはやライオンズキラーともなりつつあるモイネロ投手だった。そして今日もまたライオンズはモイネロ投手に好投させることを許してしまった。今日のモイネロ投手は数字的には9回1失点完投勝利で、被安打2、奪三振6、四球1という内容だった。

今井達也投手は奪三振数にこだわって結果的に四死球で自滅しているわけだが、モイネロ投手は9回で6奪三振でありながらもライオンズ打線をほぼ完璧な投球で抑えている。

今井投手が見せなければならないのはたくさん三振を奪る姿ではなく、今日のモイネロ投手のように奪三振はそれほど多くなくてもチームを勝利に導くピッチングだ。だがライオンズファン全員が承知の通り、今井投手にはしばらく白星が付いていない。もちろん打線の援護に恵まれなかった試合もあったわけだが、しかしここ2ヵ月くらいのピッチングは、開幕時の無双状態の今井投手とはまるで別人のような内容だ。

そして今日のライオンズの先発である渡邉勇太朗投手に関してもやはり安定感という意味では今井投手と同様のことが言える。少し前の渡邉投手は丁寧な制球で上手く打たせて取っていたわけだが、しかしここ2試合の渡邉投手の制球は、調子が良かった試合と比べるとかなりアバウトになっていたように見えた。

特に勝負どころでの1球でコントロールが甘くなることが多い。ただし今日近藤選手にホームランを打たれたボールは決して悪くはなかった。だが古賀悠斗捕手の配球が見え見えだった。1〜2球目はスライダー、3〜4球目はストレートを続け、5球目は変化球が来るだろうなということを打者に確信させるような配球となっていた。

その結果、打たれたボールは低めいっぱいに決まる外から入ってくるカーブで、高さ的には非常に良いところに行ったのだが打った瞬間それと分かるホームランになってしまった。このボール、確かに悪くはなかったのだが、もしボール1個分外に行っていたらホームランになっていなかったかもしれないと思うと、やはり細かな制球ミスが悔やまれるところでもある。

ここのところのライオンズの投手陣は制球ミスによる被弾が目立っている。ライオンズ自身がホームランを打つことができないのだから、投手陣はなおさらホームランには注意しなければならない。だが大事な場面でまるで集中力が切れたかのようにボールが甘くなるケースが多い。これもやはり負け癖が付いたチームの典型的な投手状態と言えるのではないだろうか。

渡辺久信監督代行は毎試合勝とうとしていると話しているが、しかし実際のところはもうとっくに選手たちには負け癖が染み付いてしまっている。だからこそ負け続けている際にしばらく一軍にはいなかった佐藤龍世選手ブランドン選手らにカンフル剤になってもらいたいわけだが、今のところ復帰組の存在で何かが変わり始めるような気配は、残念ながら感じられない。

THE埼玉西武ライオンズガゼット筆者/カズ
筆者 2010年1月よりパーソナルコーチとしてプロ野球選手のサポートを行うプロフェッショナルコーチ。 選手の怪我のリスクを正確に分析し、怪我をしないフォームに変える動作改善指導が特に好評。 このブログではプロコーチ目線でライオンズについて冷静に、そして愛を込めて書いていきます!
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筆者 2010年1月よりパーソナルコーチとしてプロ野球選手のサポートを行うプロフェッショナルコーチ。 選手の怪我のリスクを正確に分析し、怪我をしないフォームに変える動作改善指導が特に好評。 このブログではプロコーチ目線でライオンズについて冷静に、そして愛を込めて書いていきます!
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