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2024年6月 6日公開

弱い西武を変えられるのは聖域なき改革と星野仙一監督が行ったような血の入れ替え

東京ヤクルトスワローズ vs 埼玉西武ライオンズ/3回戦 神宮
1 2 3 4 5 6 7 8 9 R H E
Lions 0 0 0 0 0 0 1 0 0 1 3 0
Swallow 0 1 1 0 0 0 0 1 × 3 7 0

継投●菅井信也田村伊知郎ジェフリー・ヤン松本航
敗戦投手菅井信也 0勝1敗0S 3.60

清原さんの言う通りまったく覇気が感じられないライオンズ打線

埼玉西武ライオンズ

今日テレビ解説をされていた清原和博さんが仰っていたように、やはり今のライオンズ打線からはまるで覇気が感じられない。具体的にどう覇気が感じられないかというと、バッティングに攻めの姿勢がまったく感じられないのだ。それを感じさせてくれるのは今日三番・四番を務めた23年目の栗山巧選手中村剛也選手だけだ。

それ以外のほとんどの選手は、1〜2球目の甘いコースのボールを見逃し、それ以降の難しいボールを打って凡退や空振りを喫していることが非常に多い。これはヘスス・アギラー選手がなかなか打てていなかった原因でもあるわけだが、これは相手投手に簡単にストライクをプレゼントしてしまっているのと同じことだ。

昨日のコラムでも書いたように、打者の打率はストライクカウントが増えていくほどどんどん低下していく。1ストライク増えるごとに打率が1割下がっていくというのが相場だ。例えば源田壮亮主将の今日現在の打率は.234であるわけだが、これが1ストライク取られると.134になり、2ストライク後は.034になってしまうということだ。

もちろん.034というのは100打数3安打という計算になり、やや極端ではあるが、しかしストライクカウントが増えるほどそれだけ打率が下がっていくというのは、これはどんな巧打者にも共通することだ。だからこそ良い打者というのはファーストストライクを決して見逃すことがないわけだが、今のライオンズ打線はそのファーストストライクを簡単に見逃してしまっている。

例えば一死二塁というチャンスで迎えた8回表の源田主将の打席を見ると、初球、ど真ん中に入って来たスライダーを簡単に見逃して、2球目の内角に食い込んでくるカットボールにを詰まらせてセカンドゴロに倒れている。もちろんこれは進塁打となったため、最低限の仕事をしたとは言えるだろう。

だが本来であればど真ん中に入って来たスライダーはホームランボールだ。ど真ん中のストレートよりも、実際にはど真ん中のスライダーの方がホームランにはなりやすい。だからこそ普段それほどホームランは打たない源田主将だったとは言え、「どうぞ打ってください」と言わんばかりにど真ん中に入って来たスライダーはやはり見逃すのではなく、スタンドインさせるくらいの強い気持ちで打ちに行ってもらいたかった。

一方滝澤夏央選手に関しては、源田主将よりもよほど一番打者らしい働きを見せている。1打席目は三振となりながらも8球粘り、2打席目もセカンドゴロと凡退となったが5球投げさせ、8回の打席では6球粘ってライト前ヒットを放っている。

今日のスワローズの投手陣はライオンズの打者1人あたり4.06球を投げたのだが、滝澤選手は平均6.3球と、ライオンズ平均よりも2球多く相手投手に投げさせている。このようなしぶとさを見せているのだから、多少ヒットが出ない試合が続いたとしても、筆者は滝澤選手をしばらく我慢して一番起用しても良いのではないかと考えている。

育てながら勝たなければならないという最も難しい状況にある今の西武打線

さて、我慢強く使うという意味では昨年だったと思うが、平石洋介ヘッドコーチが「我慢して起用し続けることがどれだけ難しいことか!」とやや声を荒げて取材に応える場面があった。確かにそうなのである。我慢し続けて起用するというのは、言い換えると成績が悪くてもそこで起用し続けるということであり、成績が伴わないのに起用し続けるとファンに「なぜこの選手を使い続けるんだ!」と言われてしまう。

だが逆に今季交流戦前までのようにコロコロとオーダーを変えてしまうと、今度はメディアから「もう少し我慢して起用した方がいいのでは?」というようなことを言われてしまう。そのため思うように成績が上がって来ない選手を使い続けるのは、我々が想像する以上に実際には難しいことなのだ。

しかし現状のライオンズを見ているファンであれば、多くの方がオーダーを変えすぎていると感じている。そのため監督が「この選手は成長が期待できるから、打てなくてもしばらくここで使い続ける」、とファンに伝えてくれればファンもそれを受け入れて、活躍できていない時期であっても活躍できるよう、その選手を一生懸命応援してくれるようになる。阪神では難しいのかもしれないが、ライオンズではほとんどのファンはそれを受け入れてくれるはずだ。

平石コーチの場合、イーグルスの監督時代は石井一久GMだけではなく、三木谷オーナーからもオーダーに関する介入があったと言われている。そのため我慢して起用し続けようにも、親会社がそれを許してくれないというケースもあったことが考えられる。そしてホークス時代に関しては柳田選手を軸にして打線がしっかりと成り立っていたため、勝ちながら選手を育てるということも可能だった。

だが今のライオンズでは23年目の栗山・中村コンビに三番・四番を任せなければならないほどの状況で、勝ちながら育てることなどまったく考えられず、育てながら勝たなければならないという非常に難しい状況に追い込まれている。そのためコーチ目線で見ると、打てない選手を我慢して使っていられる状況ではない、ということになってしまうのだ。

だとしても、場当たり的なオーダーで勝てるほどプロ野球の一軍レベルは甘くはない。確かに滝澤選手の打率は徐々に落ちて来ているわけだが、しかしバッティングの積極性や粘りということで言えば源田主将よりも滝澤選手の方が今は上だ。それならば打席数の違いこそあれど、通算打率ではまだ源田選手よりも上をいく滝澤選手をしばらくは一番起用し続け、滝澤選手に一番としての職責を学ばせていった方が将来の勝ちに繋がるのではないだろうか。

正直なところ、源田主将のバッティングにはもう伸び代は感じられないし、今季・来季以降にキャリアハイの打率をマークする可能性も、ここまでの流れからすればほとんどないと言える。それならばまだ抜群の伸び代を持っている滝澤選手をリードオフマンとして育てていくべきではないだろうか。

そもそも今季のライオンズの一番打者は、一時期は誰が入っても打つことができないという、まるで呪われているかのような状況だった。それを考えれば、滝澤選手が一番に入って2〜3試合打てなかったからといってどうってことはない。仮に今カードで打てなくても、次のカードで得点に繋がるヒットを打ってくれればいいのだ。

「来季に向けて戦っていく」という考え方は筆者は好きではない。やはり渡辺久信監督代行が仰るように、Aクラスを狙えるのだからAクラスを狙いに行くべきだ。だがその中でも1ヵ月後、3ヵ月後、来年、再来年のことを考えながら戦っていかなければならなず、そう考えると滝澤選手に関してはヒットが出ていない時であって、古き良き一番打者タイプの働きを見せているため、しばらくは一番として一つの役割に徹底させた起用をしてあげるべきだと思う。そうすることによって滝澤選手も意気に感じ、「不動のリードオフマンになってやる!」という気持ちにもなっていくはずだ。

聖域なき改革と血の入れ替えが今のライオンズには絶対的に必要

渡辺久信監督代行は野球人生をかけてチームを立て直すと話していた。つまり自ら退路を絶っての覚悟を見せたわけだが、どうもそれを意気に感じているのは栗山選手、中村剛也選手だけのように見える。他の多くの選手は「ミスしてもまた使ってもらえる」、という松井稼頭央前監督が作ってしまった悪しき前例からまだ抜け切れていない。

ではどうすれば選手たちの目は醒めるのだろうか?考えられることはトレードのみだろう。例えばこれからの成長が期待される長谷川信哉選手などでも覇気のない凡退を繰り返しているようであれば、どんどんトレードに出していくべきだ。

そうでもしない限り、このままでは選手が目を醒ますことはないだろう。例えば今季はドラゴンズでまだ12試合にしか出場していない大砲ビシエド選手、そして先日死球により右手の甲を痛め一軍登録が抹消されたファイター中島宏之選手を、2対2、もしくは2対1のトレードで獲得するなどの劇薬も必要かもしれない。

現在のライオンズの選手たちは目の前の自分自身のプレーをこなすだけで一杯一杯になっており、勝ちたいという気持ちがファンにまでまったく届いて来ない。それを見せてくれているのはやはり栗山選手と中村選手だけだ。他の選手たちからはなかなかそのような気持ちが伝わって来ず、死球に当たってでも出塁してやるという気持ちを見せてくる選手もいない。

となるとかつて星野仙一監督がタイガースで血の入れ替えを行った時のような断行も今のライオンズには必要だと言える。渡辺監督代行の場合、自らがどんどん率先して前に出て引っ張っていくことができるわけだが、しかしそんな中でも「覇気を見せない選手は7月までにどんどんトレードで出していく」、くらいのことを言って選手たちを奮い立たせても良いのではないだろうか。

それでもし怖気ついてしまうような選手はそれまでの選手であるため、問答無用でトレードに出したり、二軍に落としてしばらくは試合でも使わないくらいの徹底したやり方が必要だ。田邊徳雄監督、辻発彦監督、松井稼頭央監督という、ほとんど厳しさを選手に見せない監督が続いてしまったことにより、ライオンズにはすっかりぬるま湯体質が染み付いてしまった。それを払拭するためにももはや考えられるのは血の入れ替え以外にはない。

今後は渡辺監督代行も、「お前を入団させたのは俺の見込み違いだった」、くらいのことを言って選手を奮い立たせることも必要だろう。そしてダメなら即トレード、という緊張感の中でプレーさせるべきだ。例えば守備は抜群でも期待通りに打てないのであれば、外崎修汰選手源田壮亮主将も聖域にはすべきではない。聖域なき改革こそ、今のライオンズに最も必要なことだと筆者は考えている。

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THE埼玉西武ライオンズガゼット筆者/カズ
筆者 2010年1月よりパーソナルコーチとしてプロ野球選手のサポートを行うプロフェッショナルコーチ。 選手の怪我のリスクを正確に分析し、怪我をしないフォームに変える動作改善指導が特に好評。 このブログではプロコーチ目線でライオンズについて冷静に、そして愛を込めて書いていきます!
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