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2021年3月28日公開

2021年03月28日(日) ライオンズvsバファローズ3回戦ゲームレビュー

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1 2 3 4 5 6 7 8 9 R H E
オリックス 0 0 0 0 0 0 1 0 0 1 7 0
西武 2 0 0 0 0 2 1 0 × 5 7 0

【継投】
平井克典〜ギャレット〜平良海馬〜増田達至

【ホームラン】
森友哉(2号)

観衆:9,517人、試合時間:2時間51分

らしさ全開のピッチングを披露してくれた平井克典投手

開幕3試合目の先発マウンドに登ったのは平井克典投手だった。ご存知のように平井投手は、今季から本格的に先発転向を果たしている。オープン戦でも良いピッチングを続けていたわけだが、開幕してからのこの本番でも、平井投手らしい素晴らしいピッチングを披露してくれた。

数字的には6イニングスで97球を投げて被安打6、四球2、失点0という内容だった。走者を溜める場面も何度か見られたわけだが、今日の平井投手のピッチングを見ていてとにかく感じたのは、低めへの制球に気をつけているという点だった。昨日の浜屋将太投手に関してはそれができずに失点を重ねてしまったわけだが、今日の平井投手の低めへの制球と、打者への意識付けは見事だった。ここが今季30歳になるという円熟味なのだろう。

バファローズの先発は、2019年・2020年と2年連続で開幕投手を務めていた山岡投手だった。厳しい試合になることも予想されたわけだが、森友哉捕手が初回からツーランホームランで援護してくれたこともあり、平井投手も非常に楽な気持ちで投げられているように見えた。こうして改めて見ていると、やはり野球では先制点が大事なのだなと実感する。

剛球以上に魅力的でクレバーな平良海馬投手のピッチング

先発した平井投手も素晴らしかったわけだが、7回以降を継いで行ったリリーバーたちのピッチングもまた見事だった。ギャレット投手はソロホームランを浴びてしまったわけだが、ギャレット投手に関してはまだ本調子とは言えない。やはりコロナウィルスの影響で来日が遅れ、チームへの合流も遅くなってしまったことが調整不足に繋がっているのだろう。ギャレット投手に関しては、4月中はオープン戦のつもりで徐々に調子を上げて行ってもらえれば良いと思う。

三番手の平良海馬投手に関しては、今日はシンカーが非常に良かった。パ・リーグTVの中継ではチェンジアップと紹介されていたのだが、もしかしたらチェンジアップなのだろうか。だが筆者の目には、握り方も軌道もシンカーであるように見えた。このボールがスライダーとの相乗効果を生み、バッターに的を絞らせることがなかった。平良投手は剛球に頼るだけではなく、非常にクレバーなピッチングを見せてくれる。

森捕手のサインにも首を振って、しっかりと自分が投げたいボールを投げている。最近は配球はすべて捕手任せという投手も多い中、自分が投げたいボールをしっかりと考えながら投げられる平良投手は非常に素晴らしいと思う。配球がすべて捕手任せだと、捕手の頭脳1つで配球を組まなければならず、その捕手の癖が読まれてしまうと的も絞られやすい。だが平良投手のようにバッテリーで協力して配球を組んでいける場合、頭脳を2つを使うことができる分、相手としても癖を読んだり、的を絞ることが難しくなる。そういう意味でも平良投手の姿勢は素晴らしいと思う。

マウンドでの貫禄が違う増田達至投手

そして最終回のマウンドに登ったのは増田達至投手だったわけだが、マウンドで投げる姿を見ていても貫禄が違う。さすがは昨季無敗の守護神だ。最終回をわずか10球で三者凡退に抑え、バファローズに付け入る隙を与えなかった。

セーブが付く場面ではなかったが、明日月曜日は試合がないことと、火曜日からの試合は2連戦であることを踏まえ、肩が軽くなりすぎないように今日は4点差でもそのままマウンドに登ったのだろう。増田投手がマウンドに登ると本当に安心感が漂う。まるで約20年前、豊田清投手が守護神として最終回のマウンドに登った時のような雰囲気だ。ファン目線だけではなく、相手チームからしても増田投手がマウンドに登った時点で試合終了という雰囲気になってしまうのではないだろうか。

打つべき人にヒットが出始めてきた打線

バッティング面では、打つべき人にヒットが出始めている。オープン戦からあまり芳しくない打率が続いていた源田壮亮主将も、開幕3試合目にして打率を.300まで乗せてきた。このままシーズンが終わるまで.300を切らずに行ってもらいたいわけだが、もちろんそう簡単ではないだろう。だが源田主将には守備面だけではなく、バッティングでも注目される選手になっていってもらいたい。

中村剛也選手 も開幕に間に合うかどうか不安視されていたのが嘘だったかのように、しっかりと良いところでヒットを打ってくれている。今日の3打席目でも2-0だったスコアを4-0にし、一気に投手陣を楽にしてくれる一打を放ってくれた。この2点があったことで、ブルペン陣もそれぞれリラックスしてマウンドに登って行けたはずだ。

捕手としては成長中も、打者としては一流とも言える森友哉捕手

そしてやはり書かなければならないのは森友哉捕手の初回のツーランホームランだろう。打率こそまだ.222に留まっているが、しかしバッティングの状態は決して悪くはない。ボールも良く見えているような見送り方を見せているし、バットも良く振れている。バファローズの投手陣も森投手に対しては最大限のケアを見せてきたため、ヒットの本数こそ増やすことはできなかったが、しかし今後相手投手の失投気味のボールが増えてくれば、森捕手の打率もグングン上がっていくはずだ。

ライオンズ史上で、ここまでバッティングが良かった捕手というのもいないのではないだろうか。伊東勤捕手もここまでは打てなかったし、高木大成捕手や和田一浩捕手はすぐにコンバートされてしまった。他球団としては何を懸念していたのだろうか。身長だろうか。筆者個人としては、森捕手がドラフトで単独指名だったことが未だに信じられない。4〜5球団での競合になっても不思議ではない高校生だったと今でも思っている。

捕手としてはもちろんまだまだ成長過程だ。キャッチングの技術にしても、例えば細川亨捕手、野田浩輔捕手、炭谷銀仁朗捕手らと比べるとまだまだ発展途上だ。そして盗塁を企画された際の二塁送球時のスローイングに関しても決して速くはない。まずフォームが未だに大きいことが気になる。スポーツ科学的には、大きいフォームで強いボールを投げた時よりも、サイドハンドスローで素早くリリースして行った時の方がボールが二塁に到達する時間は短くなるということが明らかになっている。これはPop to Popを計測すれば明らかだ。

だが森捕手の場合、この3連戦での二塁送球を見ていてもまだまだスローイングアームの動きがコンパクトではなく、オーバーハンドスローに近いフォームで投げている。森捕手は基本的には強肩だ。普通に投げるだけでも非常に強い送球を投げることができる。だが大きなフォームで強いボールを投げても盗塁阻止率を上げることはできない。

例えば2020年の盗塁阻止率リーグ1位はイーグルスの太田捕手で.333、森捕手はリーグ3位で.312だった。.312でも決して悪い数字ではないのだが、しかし細川亨捕手はライオンズ時代に盗塁阻止率.469という数字を残している。この数字を目の当たりにしてきた筆者からすると、.312でも.333でも非常に低く見えてしまうのだ。

このような数字を見るだけでも、森捕手はキャッチャーとしてはまだまだ発展途上であることがよく分かる。だがバッティングに関しては文句のつけようがない。すでに首位打者に輝いているし、今季も僅か3試合で2本塁打を放っている。しかも2本とも甘いボールを打ったわけではなく、内角低めの非常に難しいボールをスタンドまで運んでいるのだ。これは運だけでできるバッティングではない。

1本目のホームランを打った際、森捕手は「空振りしたかと思った」とコメントしているのだが、これはまさに森捕手がホームランアーチストになった証だ。ボールにバックスピンをかける打ち方で打球を上げられるようになると、インパクトの手応えがほとんどなくなることが多くなる。本当に空振りしたのかという感覚になるのだ。

筆者は以前、仕事で中村剛也選手の動作分析をさせてもらったことがあるのだが、中村選手も同じようなことを言っていたことがある。良い打ち方ができた時は一瞬空振りしたかと思うほど手に手応えを感じないのだが、ボールは高々と舞い上がりスタンドインしていく。逆に力んだり、上半身主体のバッティングになってしまった時は手に残るインパクトの衝撃が強くなる。

今最も三冠王に近いバッターは森友哉捕手である、と筆者は2月に書いたのだが、その判断は間違ってはいなかったと確信している。もちろん今年いきなり三冠王になれるほど三冠王という称号は身近なタイトルではないわけだが、しかし近い将来、森友哉捕手が三冠王を獲得する可能性は決しては低くはないだろう。

THE埼玉西武ライオンズガゼット筆者/カズ
筆者 2010年1月よりパーソナルコーチとしてプロ野球選手のサポートを行うプロフェッショナルコーチ。 選手の怪我のリスクを正確に分析し、怪我をしないフォームに変える動作改善指導が特に好評。 このブログではプロコーチ目線でライオンズについて冷静に、そして愛を込めて書いていきます!
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