2024年4月24日公開
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | R | H | E | |
Lions | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 | 0 | 3 | 6 | 0 |
Buffaloes | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | 1× | 4 | 10 | 0 |
継投/ 武内夏暉〜 ジェフリー・ヤン〜 Hアルバート・アブレイユ〜 ●本田圭佑
敗戦投手/本田圭佑 0勝1敗0S 4.15
本塁打/中村剛也(2)
盗塁/児玉亮涼(1)
「惜しいゲームだった」、「次に繋がる攻撃だった」という言葉はすでに使い古されていると感じるほど、ライオンズはここまで勝てずに苦しんでいる。7勝14敗で勝率.333は12球団中単独の12位という数字だ。優勝が絶望的であると書くにはまだ時期尚早だが、ここまで同じパターンの敗戦が繰り返されると、ファンとしては希望が持てなくなることもあるだろう。
チーム打率.208というのも12球団でダントツに低い数字で、11位のタイガースでさえ.224ある。ちなみにタイガースはこのチーム打率でもセ・リーグの首位を走っている。ライオンズはホームラン数こそ11本とパ・リーグ2位の数字となっているが、12本のホークスが90得点を挙げているのに対し、ライオンズは僅かに56得点しか挙げられていない。この数字はいかに打線が機能していないかを如実に表していると言える。
今日の試合に関しては、3-0とリードされていた9回の土壇場で、中村剛也選手のホームランを含む4安打1四球で一気に同点に追い付く善戦を見せた。だが延長戦に入ると本田圭佑投手がまたも大事な場面で失点してしまい、サヨナラ負けとなってしまった。
土壇場で中村選手のホームランで追い付き、延長戦でリリーフ陣が持ち堪えられずに敗れるというのはちょうど二週間前のマリーンズ戦のリプレイを見ているかのようだった。中村選手も自らのホームランが空砲に終わってしまい、さぞ悔しさを募らせていることだろう。
だが連敗中でありながらも光が見え始めた点として、この中村選手の状態が上がってきたことを挙げることができる。最近5試合では21打数7安打で、打率は.333となっている。あとはここから得点圏打率が上がってきてくれることを期待したいわけだが、今季ここまでの中村選手の得点圏打率は12打数0安打で打率は.000となっている。
ただ本来であれば今年41歳になる中村選手にクリーンナップを任せなければならない状況は、中村選手自身本意ではないはずだ。中村選手自身はもう打順へのこだわりは一切見せていないため、本音を言えば六番か七番あたりの少し楽な場面で打席に立ち、ホームランを増やしたいところではないだろうか。
しかしとにかく中村選手の状態が上がってきてくれたことは、ヘスス・アギラー選手にとっても朗報となるはずだ。今後も中村選手が三番を打つのかどうかはなんとも言えないところだが、仮に好調の中村選手が五番に入った場合、相手バッテリーは四番アギラー選手に対してはストライクゾーンで勝負せざるを得なくなる。
だがフランチー・コルデロ選手も抹消されて五番打者に脅威がなくなった今、相手バッテリーは無理して四番アギラー選手にストライクを投げる必要がなくなっている。ボールになっても良いようなコースのストライクゾーンで釣りながら、ボールゾーンを振らせようとしているのが最近の相手チームのアギラー選手への攻め方だ。
しかし好調中村選手が五番に入ることにより、中村選手の前に走者を出したくないというバッテリー心理が働く。すると相手投手はアギラー選手に対しストライクゾーンで勝負をするようになり、アギラー選手もボール球を振らされてフォームを崩さずに済み、逆に調子を上げていくこともできるだろう。
そういう意味でも四番アギラー選手は現時点においては不動なのだから、そのアギラー選手の状態を上げていくためにも好調中村選手は五番に据えるのがベストであると筆者は考えている。
さて、この試合ではルーキー武内夏暉投手が二週間振りの先発マウンドに登ったわけだが、結果的には7イニングスで100球を投げて3失点、QSを達成することでしっかりと試合を組み立ててくれた。本来であればこれだけ頑張っているルーキーをもっと援護しなければならないわけだが、それが今は難しいのが苦しいところだ。
そしてこの武内投手の継投についてだが、筆者は試合を観ながら交代が1イニング遅かったと感じていた。今日の武内投手は決してベストな状態ではなく、恐らくは好調でもないし、不調でもないという状態だったと思う。そうした中で無四球ながらも8安打打たれ、初回と6回以外はすべて走者を背負ったピッチングになってしまった。
これはピッチャー経験者にしか分からないことなのだが、同じ100球でも疲れる100球とあまり疲れない100球があるのだ。今日の武内投手の100球は、ほとんどの場面で走者を背負っていたことから疲れる100球だったと言える。そう考えると4イニングス連続で勝者を背負った後、6回を三者凡退に抑えたところで良いイメージでマウンドを下ろしてあげるべきだった。
しかし逆を言えば6回を三者凡退に抑えたことで、しかも球数にまだ余裕があったことで、首脳陣は武内投手を7回も続投させたくなってしまった。しかし7回の先頭打者は、前の打席で上手く合わされてヒットを打たれていたセデーニョ選手で、7回もやはり上手く打たれて二塁打を浴びてしまう。
7回のバファローズの攻撃がセデーニョ選手からということも、やはり筆者が武内投手を6回で降板させるべきだったなと思った理由だ。これが仮に6回の攻撃がセデーニョ選手で終わっており、7回がそれほど武内投手に合っているようには見えなかった頓宮選手から始まるという状況であれば、続投もなしではなかったと思う。だが前の打席で上手く打たれ、しかも打撃好調のセデーニョ選手と武内投手の3打席目の勝負は、首脳陣としては避けさせるべきだったと思う。
もちろん采配に「たられば」などないわけだが、昨日の記事でも書いた通り、首脳陣の采配が投打共に後手後手になっていることは決して否めないだろう。これがもしチーム状態が良ければ、武内投手を成長させるために続投させても良かったと思う。しかし長い連敗が続き、もうこれ以上の失点さえ許されないという場面では、やはりもう少し石橋を叩くべきではなかっただろうか。
さて、こういう苦しい時というのは何とかラッキーボーイ的な存在を見つけなければならない。それもあってか松井稼頭央監督は今日は若手選手を多くオーダーに起用してきた。だが高松渡選手、山野辺翔選手、西川愛也選手、児玉亮涼選手と普段あまりスタメンには名を連ねていないフレッシュなメンバーがいずれもノーヒットに終わってしまった。
もうここまで来ると流石に打つ手も尽きてくるのではないだろうか。昨日の二番中村選手、五番炭谷銀仁朗捕手というのも十分な奇策だったわけだが、今日のオーダーはそれを上回る変更を加えてきた。だがクリーンナップに関しては少し形が見え始めたのではないだろうか。
上述した通り中村選手が好調で、しかも佐藤龍世選手が非常に良い働きを見せてくれている。佐藤選手に関しては打率こそ.273となっているが、得点圏では12打数5安打の打率.417となっている。このチャンスでの強さを考えると、もしかしたら佐藤選手を和製四番として育成しても良いのではないだろうか。
例えばかつての四番鈴木健選手のように、それほど多くのホームランを打つわけではないが得点圏でしっかりと活躍してくれるタイプが佐藤龍世選手だと言える。アギラー選手は確かに現時点では不動の四番打者となっているわけだが、昨年から良い働きを継続して見せられるようになった佐藤龍世選手には、もっと重きをおいても良いように思える。
そして昨オフは格差婚とも揶揄された平沼翔太選手もファームからの好調を維持している。オフに彼を揶揄した野球ファンを見返すためにも、平沼選手にはこの好調をこれからも頑張って維持し続けてもらいたい。
また、アギラー選手をオーダーに戻したのちは、この好調平沼選手を二番あたりに据えると面白いのではないだろうか。ライオンズは一番打者がまったく機能していないため、もうここからは割り切って流線形打線を組むべきだと思う。
流線形打線というのは西鉄ライオンズを野武士軍団に育て上げた名将、三原脩監督が考案した打線の組み方で、最近では栗山英樹監督がファイターズの監督時代に流線形打線を披露していた。流線形打線というのはまず一番打てる人を四番に置き、そこから順番に打てる人を三番、五番、二番、六番、一番、七番と並べていく。このような並びにすることで打線の加速度がアップしていくというのが、流線形打線の理屈だ。
もし今日現在の状態で流線形打線を組むとしたら、まず佐藤龍世選手が四番に入ることになるだろう。そして機動力を使えないアギラー選手を五番とするならば、三番は中村剛也選手、二番平沼選手、六番岸潤一郎選手という形になるのではないだろうか。そして一番には状態が落ちてきているものの走ることができる外崎修汰選手を据え、七番は日替わりにし、八番は捕手、九番は源田壮亮主将という形になると思う。
とにかくライオンズは、まだ優勝が絶望的になったわけではない。確かに開幕して1ヵ月経たぬ間に7つの負け越しはかなり重くのしかかるが、この最悪な状態がシーズンを通して続くことはあり得ない。今が今シーズン最悪の時期であると考えると、あとは上がっていくだけだ。
そしてここから這い上がっていく勢いを加速させるためにも、筆者は流線形打線は今のライオンズには大きなプラスになるはずだと信じている。