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2024年8月 4日公開

初勝利を挙げた試合よりも球速が10km/h低下していた2回KOの菅井信也投手

埼玉西武ライオンズ vs 東北楽天ゴールデンイーグルス/18回戦 ベルーナドーム
1 2 3 4 5 6 7 8 9 R H E
Eagles 0 1 2 2 0 0 5 0 0 10 15 1
Lions 3 0 0 0 0 0 1 0 0 5 8 2

継投菅井信也●水上由伸松本航ジェフリー・ヤン本田圭佑中村祐太
敗戦投手水上由伸 1勝1敗0S 7.36
本塁打野村大樹(3)
失策野村大樹(1)源田壮亮(3)

初勝利を挙げた試合よりも球速が10km/h低下していた2回KOの菅井信也投手

これが経験のなさということなのだろうか。前回の登板で菅井信也投手はやや雑にも見えるアバウトな制球で打ち込まれ、2回持たず6失点KOとなっていた。

その反省を踏まえてか、今日は非常に慎重に投げているように見えた。だがその慎重さが逆に仇となり、腕があまり振れておらず、ストレートも140km/h台前半にとどまるものがほとんどだった。つまり慎重に投げに行ったつもりが実は慎重にではなく、消極的になってしまっていたということだ。

そしてそれが走者を出した後はさらに顕著になり、ストレートがギリギリ140km/h台に乗るという力のないボールも出ていた。ちなみに7回無失点でプロ初勝利を挙げた試合ではストレートは149km/h以上、ツーシームに限っては150km/hを越していることもあった。その日と比べると球速に関しては10km/h近く落ちていたことになるため、これではさすがに一軍で投げるのは厳しい。

しかし仮に球速が140km/hそこそこだったとしても、そのストレートに伸びがあり、制球もしっかりされていれば勝てる投手になれる。だがこの試合の菅井投手の制球も前回同様に非常に甘く、142km/h程度のストレートがど真ん中に入ることも多く、実際にそのような失投をレフトスタンドまで運ばれていた。

今日の試合を見ていても、炭谷銀仁朗捕手が構えるミットにバシッと決まったボールは1球もなかったのではないだろうか。これではいくら炭谷捕手の配球が抜群であるとはいえ、リードにならなくなってしまう。

しかしこれは菅井投手だけに言えることではなく、羽田慎之介投手にも同じことが言える。ファームではボールの勢いだけで抑えることができる。例えば150km/hのストレートを投げられれば、変化球とのある程度のコンビネーションさえ使えてればほとんど打たれることはないだろう。

だが一軍では150km/h以上のボールを投げられたとしても、制球や緩急の精度が低ければ簡単に打ち込まれてしまう。さらに制球が悪くなかったとしても、球質が良くない、ただ初速だけが速いボールを投げていてもやはり髙橋光成投手のように打ち込まれてしまう。

2試合連続でこうして早期ノックアウトということになると、おそらく今季中に関しては、ファームでよほどのピッチングをしない限りは再度一軍に昇格してくることはないだろう。だが菅井投手はこの2試合のピッチングを良い経験にし、来季は同じ失敗をしない投手に成長していって欲しい。

初勝利を挙げた時のようなボールを常時投げられれば、菅井投手は二桁勝ったとしても不思議ではないピッチャーだ。おそらく今回の2試合に関しては調整に失敗したという面も大きいと思うのだが、この失敗を糧に、来季はローテーションを守り続けられる投手になってくれればなと、菅井投手に対し筆者はまだまだ大きな期待を寄せている。

THE埼玉西武ライオンズガゼット筆者/カズ
筆者 2010年1月よりパーソナルコーチとしてプロ野球選手のサポートを行うプロフェッショナルコーチ。 選手の怪我のリスクを正確に分析し、怪我をしないフォームに変える動作改善指導が特に好評。 このブログではプロコーチ目線でライオンズについて冷静に、そして愛を込めて書いていきます!
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