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2024年8月19日公開

佐藤龍世選手がさらなる成長を見せられればチーム再建のピッチは間違いなく上がる!

東北楽天ゴールデンイーグルス vs 埼玉西武ライオンズ/20回戦 楽天モバイルパーク
1 2 3 4 5 6 7 8 9 R H E
Lions 0 0 0 1 0 0 0 0 0 1 7 0
Eagles 0 6 0 0 0 0 0 0 × 6 11 0

継投●武内夏暉中村祐太水上由伸ジェフリー・ヤン
敗戦投手武内夏暉 7勝4敗0S 2.36

2試合連続KOで防御率のタイトル争いからは後退してしまった武内夏暉投手

武内夏暉投手

前回の登板では自己ワーストとなるKOとなっていた武内夏暉投手だったが、今日はさらに自己ワーストを更新するピッチングとなってしまった。ただし、見ている限りでは調子が悪いわけではなさそうだった。絶好調というわけではなかったと思うが、しかし球質が大幅に低下しているということもなかったはずだ。

今日は本当に2回の6点だけだった。初回に関しては1安打されながらも3三振で抑えている。ただ3三振とは言え、立ち上がりによるバラツキは見えていたため、試合の入り方に少し失敗していたのかなという印象を筆者は持った。

3三振の初回と6失点の2回とでは、ピッチングの内容そのものには大きな差はなかった。つまり初回は良かったけど、2回のボールは全然ダメだったというわけではなく、初回と2回に関してはほぼ同じ質のピッチングだったはずだ。変化球に関してはスライダーがいつもの曲がり方ではないのかなとは思ったが、しかし全体的には低めに丁寧に投げていた。そして高めの釣り球を投げた際も、しっかりと高めのボールゾーンに投げられていたように見えた。

恐らく武内投手の頭の中では、初回のピッチングは納得のいく内容ではなかったと思う。そしてこのまま行ってはまた前回の登板のようにKOされてしまうという考えが頭をよぎり、修正を焦ってしまったのかもしれない。これは2回だけに見られたことなのだが、明らかに左腕主体で投げてしまっているボールが1〜2球見られたため、修正過程の中で立ち上がりに苦労している姿を見透かされ、イーグルス打線を活性化させてしまったのだろう。

それでも3回以降はしっかりと修正して来たため、やはり並のルーキーではないなと思いながら筆者は試合を見ていた。しかし新人王を目指すためには、ここで2試合連続でKOされている場合ではない。2週間前までは新人王と最優秀防御率の二冠も期待されていたわけだが、防御率のタイトルに関しては2試合連続のKOとなりかなり難しい状況となってしまった。また、2試合連続KOとなったため、まだ規定投球回数にも到達していない。

とにかくこの試合は本当に2回だけで、この2回に関してのみ武内投手は投げ急いでいるように見えた。炭谷銀仁朗捕手のミットが大きく移動するような制球ミスはほとんどなかったわけだが、しかし投げ急いだことにより変化球のキレがやや失われていた。そこで積極的にファーストストライクを振って来ていたイーグルス打線に捕まってしまったのだろう。

しかし3回以降はしっかり修正できたことで、これは武内投手自身のコメント通り、次回に繋がる降板にはなったと思う。そういう意味では先週のピッチングよりは少し内容が改善されたと言うこともできる。ただし武内投手に対するチームの信頼感は非常に高いため、渡辺久信監督代行は武内投手には主軸投手としてしっかり投げてもらわないと困るという考えがあるのだろう。

とは言え今日の3回以降の立ち直り方を見る限り、次回の登板はしっかりと抑えてくれそうな予感がする。新人王を確かなものにするためにも、何とかあと3つ勝って二桁勝利まで持っていく必要がある。残り試合を考えればまだあと3つ勝てる可能性は十分に残っているため、まずは一週間後の8勝目を筆者は期待して待ちたいと思う。

まだまだ発展途上の佐藤龍世選手に期待したい大きな成長

さて、打つ方では復帰してからの佐藤龍世選手の状態が良さそうだ。復帰後の6試合では5試合でヒットを打ち、ヒットが出なかった試合でも犠牲フライを放っており、この間の打率は実に.333となっている。

しかもこの6試合の21打席では三振を1つしかしていない。選球眼が非常に良い佐藤選手としてはこの間0四球というのはやや寂しいわけだが、しかしそれは積極的に打ちに行った結果であり、今は比較的ボールがよく見えているのだろう。

将来的にはやはり、この佐藤龍世選手が不動のクリーンナップとして活躍していかなければならない。筆者のイメージとしては、それほどホームランが打てるわけではないが勝負強さを持っているという意味で、かつての鈴木健選手のようなタイプになれるのではないかと見ている。

いわゆる鈴木健選手やマリーンズのサブロー選手のような繋ぎの四番というポジションだ。ホームランに関してはプロ入り以来まだ通算8本しか打っていないため、首脳陣も佐藤選手に長打力は今のところは求めていないと思う。今佐藤選手が求められているのはどちらかと言えば勝負強さだ。

まだ高い得点圏打率を残したことはないわけだが、それでも得点圏で打席に立つと、どこかやってくれそうな雰囲気を持っているし、実際に打ってくれることも少なくない。ただ、佐藤選手はまだまだ振る力が弱い。弱いというのは、タイトルホルダーレベルのスウィングと比較をすると弱いという意味だ。

佐藤選手は秋季キャンプ以降は、とにかく振る力をつけるトレーニングに集中すべきだろう。もしもう少しスウィング速度が速くなければ、その分さらに長くボールを見ることができ、選球眼もさらに良くなっていくはずだ。そしてスウィングが速くなれば当然打球も強くなるわけであり、それによりヒットの本数もさらに伸ばせるだろう。

佐藤選手にはとにかくバットを振り込んでもらいたい。それこそ栗山巧選手のように、誰よりも早く練習を始め、誰よりも遅くまでスウィングを続けるという選手になっていってもらいたい。

かつては付いていく先輩を間違え、相内投手に付いていってしまったために大きなペナルティを受けることになってしまったが、しかし栗山選手に付いていけばそのような心配は二度しなくて済む。また、スウィングの速さという意味では佐藤選手が慕う森友哉捕手のような速いスウィングを身につけてもらいたい。

佐藤龍世選手は今季は学年的には28歳のシーズンとなるわけだが、まだまだ完成された選手ではなく、成長できる余地をまだ多く残している。そういう意味では佐藤選手はまだ発展途上の選手ということになり、今後もさらなる成長を期待することができるだろう。

とにかくライオンズの打者陣の多くは相手投手の速いストレートに力負けしている。だがライオンズ打線を立て直すためにはエース級投手の力のあるストレートにも押し勝てるスウィングが必要だ。そしてまずはそのお手本を佐藤龍世選手に示してもらいたい。

ただしこれは、フルパワースウィングを求めているというわけではない。8〜9割の力で振った時のスウィング速度を上げるという意味だ。バッティングではフルパワースウィングをしてしまうと必ずバットがピッチング(波打つこと)するようになり、全力で振った割には飛距離が出なくなってしまう。

森友哉捕手はまさにその典型とも言える打者で、スウィングが強い割にはフルパワースウィングをしてしまっていることによりスウィングがピッチングし、その波動がボールに伝わり飛距離が伸びない状態になっていた。佐藤選手にはそのようなタイプの打者ではなく、やはり鈴木健選手のような繋ぎ役のポイントゲッターという立ち位置を築いていってもらいたい。

年齢的にもそろそろリーグを代表するレベルの打者になっていかなければならないわけだが、今後佐藤龍世選手がそのような成長を見せることができれば、ライオンズ再建のピッチは間違いなく上がっていくはずだ。

THE埼玉西武ライオンズガゼット筆者/カズ
筆者 2010年1月よりパーソナルコーチとしてプロ野球選手のサポートを行うプロフェッショナルコーチ。 選手の怪我のリスクを正確に分析し、怪我をしないフォームに変える動作改善指導が特に好評。 このブログではプロコーチ目線でライオンズについて冷静に、そして愛を込めて書いていきます!
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