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2024年7月27日公開

6勝目を挙げ勝率は.750!ほぼ新人王当確と言って過言はない武内夏暉投手

北海道日本ハムファイターズ vs 埼玉西武ライオンズ/13回戦 エスコンF
1 2 3 4 5 6 7 8 9 R H E
Lions 0 0 0 0 0 3 0 0 0 3 5 0
Fighters 0 0 0 0 0 0 1 0 0 1 10 0

継投○武内夏暉松本航H本田圭佑Hボー・タカハシSアルバート・アブレイユ
勝利投手武内夏暉 6勝2敗0S 1.67
セーブアルバート・アブレイユ 1勝4敗17S 2.10
盗塁源田壮亮(6)

6勝目を挙げ勝率は.750!ほぼ新人王当確と言って過言はない武内夏暉投手

もうすでに新人王当確と言っても決して過言ではない武内夏暉投手

プロ12試合目の登板となった武内夏暉投手は今日も6回2/3を投げて1失点と好投し、見事6勝目を挙げた。これで成績は6勝2敗、防御率は1.67となり、ライオンズの先発陣の中では随一の安定感を誇っている。

残念ながら規定投球回数にはまだ至っていないわけだが、規定投球回数に到達すると1.67という防御率は、今日現在ではモイネロ投手に次ぐリーグ2位という成績になる。

ちなみにライオンズの中では他に隅田知一郎投手が6勝を挙げているのだが6勝8敗、防御率3.05で勝率は.429となっている。武内投手の勝率.750と比べるとかなり見劣りしてしまう。もちろん隅田投手の場合も援護に恵まれなかった試合があったわけだが、しかし防御率3点台という数字を見ると、安定感という意味では武内投手の方が圧倒的に上だ。

今日の武内投手は7回途中で108球を投げたのだが、いつもと比べるとやや多いペースだったのかな、という印象だ。前回の登板では制球がアバウトになってしまう場面が多く、それにより失点を重ねてしまったわけだが、しかし今日の試合では丁寧に投げている印象が強く、炭谷銀仁朗捕手が構えたミットからボールが大きく逸れることはほとんどなかった。この丁寧さにより、いつもより僅かに球数が増えてしまったのだろう。

このペースで投げ続けていけばかなり高い確率で10勝に到達すると思うのだが、8勝まで行けば新人王最有力と言え、10勝まで行ければほとんど当確と言うことができるだろう。ライオンズで純粋な先発ピッチャーが新人王を獲得することになると、実に1999年、高卒ルーキーとして16勝5敗で最多勝に輝いた松坂大輔投手以来ということになる。

ただ、2007年には岸孝之投手が新人特別賞(新人王に値するけど新人王にはなれなかった選手に与えられる賞)を獲得している。この年は高卒ルーキーの楽天田中将大投手が11勝7敗という数字で新人王に輝いていた。この時の岸投手を含めても、ライオンズの先発投手としては久しぶりの新人王ということになる。

実際のところ、武内投手がここからよほど崩れていかない限りは、もう今の時点で当確と言っても過言はないだろう。しかし武内投手はここにとどまるのではなく、残り試合でできる限り勝ち星を増やしていってもらいたい。

武内投手が憧れた和田毅投手のルーキーイヤーは14勝5敗で新人王に輝いている。さすがに武内投手が残り試合であと8勝挙げることは難しいとは思うが、しかしできる限りこの和田投手の数字に近づけるように、残り試合も怪我することなく頑張ってもらいたい。

好調があっという間に終わってしまうトノゲンコンビ

さて、7月は一時期月間打率.400を超えていた源田壮亮主将だが、7月も後半に入ってくると見る見る調子を落としてきてしまった。最近6試合の数字を見ると22打数2安打で打率は.090となっている。

源田主将にしろ外崎修汰選手にしろ、調子が良い時期があまりにも短い。源田主将の場合ここ数年は怪我や、チームメイトの家族による嫌がらせに悩まされ、今季は久しぶりにベストコンディションで野球ができている状態だとは思うのだが、やはり31歳という年齢の影響なのだろうか、入団当初と比べるとバッティングでのミスショットがかなり増えて来ている。

源田主将には一度くらいは打率3割を打たせてあげたいのだが、そのためにはやはり打順は九番が理想的だ。しかし現状では他に一番を務められる打者がいないため、まだ当分は源田主将が上位を打つより他ないだろう。

一方の外崎選手は復帰後はかなり好調だったのだがそれがすぐに止まってしまい、しかしそこからまた状態を上げて来ており、最近6試合で見るとすべての試合でヒットを打つことができている。かと言って外崎選手の打順は上げるべきではないと思う。一番上を打ったとしても今日のように六番、もっと言えば七番あたりを打たせるのがベストだ。

外崎選手も、相手バッテリーの執拗な警戒を掻い潜ってヒットを打ち続けられるほどの打力はないため、下位打線で楽なところを打たせてあげた方が良いだろう。それはもちろん源田主将にも同じことが言えるのだが、しかしそのためには20代の選手たちにもう少し頑張ってもらわないことには始まらない。

渡辺久信監督代行はしばらくは四番は9月に22歳となる山村崇嘉選手で行くと明言しているわけだが、この山村選手も一時期と比べると調子はかなり落ちて来ている。今日は犠牲フライを放ったものの、オールスター後の2試合ではまだヒットは出ていない。

そしてこれから20代後半に差し掛かろうとしている西川愛也選手に関しても、3試合連続ヒットとはなっているものの、安定感という面ではまだまだ物足りない。こうして見ていくとやはり、外国人選手不在の打線はあまりに貧弱に見えてしまう。

先日アンソニー・ガルシア選手が支配下登録されはしたが、ガルシア選手にしても決してファームで打ちまくっていたわけではないため、一軍でいきなり大きな期待を寄せることはできないはずだ。

だからこそ何とか西武球団の本気度を見せてもらいたいわけだが、補強期限まであと4日と迫りながらも、今のところ補強に関する大きなニュースは入って来ていない。

早ければ8月上旬にリリーフとして一軍に戻ってくる平良海馬投手

今日は武内投手がピンチを作った後の二番手を松本航投手が務めたわけだが、この松本投手が万波選手への頭部死球により僅か2球で危険球退場となってしまった。

ボールが頭部に当たった瞬間はかなりヒヤッとさせられたが、しかしボールは運良く、と言うよりは万波選手の避け方が良かったことにより、ヘルメットの頭を撫でるようなぶつかり方をしており、脳震盪を起こすような直撃は避けられたようだ。もちろんそれでも万波選手は痛かったと思うのだが、本当に大事に至らなくて良かった。

2008年のクレイグ・ブラゼル選手のように、打者は頭部死球によって急激に打撃の状態を落としてしまうことがある。万波選手がそうならないことを願うばかりなのだが、当ててしまった側のライオンズファンからするとそのブラゼル選手の記憶がまだ色濃く残っていることもあり、本当に心配になってしまう。

そして松本投手だが、やはりリリーフ適性は低いと言って良さそうだ。ただ朗報としては、平良海馬投手が早ければ8月上旬からセットアッパーとして一軍に戻ってくると言う。怪我明けで長いイニングは難しいということで、このタイミングでのリリーフへの再転向は首脳陣、平良投手本人の間で意見が一致したようだ。

現在のライオンズは先発ローテーションに関しては今井達也投手隅田知一郎投手武内夏暉投手渡邉勇太朗投手青山美夏人投手菅井信也投手としっかりと整備されており、実際のところ平良投手が付け入る隙はない。さらにこの中の誰かが崩れたとしても、平良投手がブルペンに戻ってくるのであれば、イニングイーターである松本投手をすぐに先発に戻すことができる。

松本投手は配球のコンビネーションによって打たせて取るタイプの投手なだけに、短いイニングを勢いで投げさせるよりは、長いイニングを任せた方が特性を発揮することができるはずだ。平良投手がブルペンに戻れば松本投手にブルペン待機させる理由もなくなるため、そういう意味でも平良投手のブルペン復帰のメリットは大きい。

平良投手にしても、先発としては昨季は確かに好成績は残したが、リリーフ時に比べるとあまり凄みは感じられなかった。それは今季怪我をする前の登板を見ても同じことが言えるため、やはり平良投手の適性はリリーフにあると言うべきだろう。メジャーのスカウントマンたちも平良投手に関しては、先発としてよりはリリーフとして欲しいはずだ。

だが平良投手自身としては来季はまた先発をやりたいと考えているのだろうか。それとも先発としてはあっという間に怪我をしてしまったこともあり、やはりリリーフに対する自らの適性を再確認したのだろうか。このあたりは平良投手本人のコメントを待つしかないわけだが、しかし間違いなく言えることは、リリーフ時の平良投手は無双だったということだ。

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THE埼玉西武ライオンズガゼット筆者/カズ
筆者 2010年1月よりパーソナルコーチとしてプロ野球選手のサポートを行うプロフェッショナルコーチ。 選手の怪我のリスクを正確に分析し、怪我をしないフォームに変える動作改善指導が特に好評。 このブログではプロコーチ目線でライオンズについて冷静に、そして愛を込めて書いていきます!
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