2024年4月13日公開
昨オフ、人的補償によりホークスからライオンズに移籍して来た甲斐野央投手が、2024年4月12日に初めて古巣ホークス戦のマウンドに登った。結果的に1-0とリードした場面で登板し、1-2と逆転を許してしまったわけだが、一体なぜ甲斐野投手はこうも簡単に逆転を許してしまったのだろうか?
まず考えられることはやはり、古巣相手に力んでしまったというのが大きかったと思う。その証拠にこの登板での甲斐野投手のボールは、ストライクとボールが比較的はっきりしていたし、甘いコースに入るボールも多かった。もちろん際どいコースに行ったボールが0だったというわけではないのだが、打たれたボールはいずれも甘かった。
まず周東選手選手に打たれた二塁への内野安打は、周東選手だから内野安打になったもので、他の打者であれば確実にアウトになっていたと思われるほど、セカンド外崎修汰選手は完璧な守備を見せてくれた。しかしそれでもセーフになってしまったのだから、これは周東選手の脚力を褒めるよりほかない。だが打たれたボールはほぼど真ん中に近いコースの高めに抜けたフォークボールだった。
そして同点タイムリーとなった柳田選手に打たれたヒットもやはり、真ん中の高さに入る抜けたフォークボールだった。コースこそ外いっぱいにも見えたが、柳田選手が出したバットの高さにちょうどフォークが落ちて行ったようにも見えた。これも完全な失投だったと言っていいだろう。
さらに中村選手に打たれたライト前ヒットも、ほとんど真ん中に入るツーシームで、コース的には左打者に最も投げてはならないホームランコース(やや内寄りの、やや外角高め)だった。普段甲斐野投手はここまで立て続けに失投することはない。それが1イニングで3球も失投を見せたのだから、古巣との初対決で冷静になり切れなかったと考えるのが自然だろう。
だが悪いことばかりではなかった。かつてのチームメイトを相手に果たして内角を攻め切れるだろうかというのが筆者の懸念だったのだが、周東選手に対しても柳田選手に対しても内角に投げることはできていた。ただ、欲を言えばもう少し内角に投げる割合が多くてもいいようには見えた。特に柳田選手に対しては3球目こそは内角に投げたものの、他の4球は外角一辺倒とも言える交わしに行ったようなピッチングだった。
恐らく甲斐野投手がこの3連戦で投げる機会はもう一度くらいはあるだろう。勝っている場面で8回を迎えれば今後も甲斐野投手を投入すると松井監督も明言しているし、この週末中にも、甲斐野投手は古巣相手にリベンジを果たしてくれると思う。
甲斐野投手は修正能力を持った投手だ。そのため初戦の反省を生かし、2戦目以降はさらに内角を攻めていくだろうし、今まで以上に徹底して低めを狙っていくはずだ。ライオンズは開幕して12試合未だ被本塁打がなく、プロ野球新記録を更新し続けている。この記録を継続するという意味でも、やはり低めへの制球は鉄則となってくる。
ホークス戦初戦で甲斐野投手が打たれたのはすべて真ん中以上の高さで、非常に甘いコースだった。柳田選手への抜けたフォークボールなど、あとボール1つ分内に入っていたらホームランとなっていただろう。だが今日以降の試合で、甲斐野投手は確実にこれを修正して来てくれるはずだ。
土日の試合は初戦よりもさらに多くの観客がベルーナドームに集まる。そのライオンズファンに向け、甲斐野投手には次こそは古巣斬りを見せてもらいたい。そして甲斐野投手自身もこの週末はリベンジに燃えているはずだ!