2024年8月28日公開
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | R | H | E | |
Lions | 3 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 | 11 | 0 |
Marines | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1× | 4 | 8 | 0 |
継投/ 隅田知一郎〜 平良海馬〜 H甲斐野央〜 H佐藤隼輔〜 Hアルバート・アブレイユ〜 ●ボー・タカハシ
敗戦投手/ボー・タカハシ 2勝7敗0S 3.29
本塁打/西川愛也(3)
今日はさすがにほとんどのライオンズファンが「ようやくロッテに勝てる」と思ったのではないだろうか。筆者ももちろんそのうちの一人だったわけだが、しかし残念ながら延長12回の末、サヨナラ負けを喫してしまった。
今日のライオンズ打線は初回に幸先よく3点を先制した。上がってきたばかりの長谷川信哉選手、源田壮亮主将でチャンスメイクし、三番西川愛也選手がライトスタンドに見事なホームランを叩き込んだのだ。このホームランによりようやく呪縛が解け、マリーンズ戦の連敗も15で止まるものだと思われた。
ちなみに同一カード開幕16連勝というのはプロ野球記録を更新する連勝記録であったようだ。筆者はこのような記録には疎いのだが、同一カード開幕16連勝が日本新記録なのだとすれば、同一カード開幕16連敗というのもやはり、日本新記録ということでいいのだろうか。
なおライオンズの負け数はこれで78となったわけだが、シーズン78敗というのは西武球団になって以降はワースト記録ということになる。そして西武時代に77敗を記録したのは昨季の松井稼頭央監督と、2014年の伊原春樹監督のみで、さらに遡ると1971年の稲尾和久監督時代の西鉄ライオンズが130試合で84敗を記録している。
また、伊原監督は144試合(途中から田邊徳雄監督代行)、松井監督は143試合での77敗だったのに対し、今季はまだ28試合も残しながらの78敗となってしまった。万が一残り28試合の勝率が.214で6勝22敗だった場合、ライオンズは100敗という不名誉記録も残してしまうことになる。
そして100敗までは行かなかったとしても、あと6敗すればライオンズ史におけるワーストタイ記録、7敗すれば71年の84敗というワースト記録を更新することになってしまい、このあたりはもはや避けて通ることはできなさそうな雰囲気だ。
ちなみに2023年の対マリーンズ戦は9勝16敗で、大きく負け越してはいるもののそれでも9勝することはできていた。では一体今季はどこにそこまでの差があるのだろうか。もちろん外国人打者がマリーンズでは機能しているという点は大きいわけだが、やはりそれ以上に、大きなトラブルにチームが巻き込まれることなく、吉井理人監督の指揮下でチームが一つにまとまっているというのが大きいのではないだろうか。
今季はホークスが独走しているとは言え、昨季も今季の熾烈な2位争いをしている中でマリーンズの選手たちは鍛えられていった。一方ライオンズがCSに出場したのは近年では2022年、2020年となるわけだが、残念ながらその頃活躍していた主力はすでにライオンズを去っており、新戦力は機能しないという状態に陥っている。
さすがにシーズンを終えてマリーンズ戦全敗ということはないとは思うのだが、しかし現実問題としてそれが非常に心配になってくるほど、勝てるような試合でもライオンズはマリーンズに勝てない状態が続いている。
今日は、もし2-3とリードした8回のマウンドに登った平良海馬投手が無失点で切り抜けていれば、9回はアルバート・アブレイユ投手で試合を締め括れていただろう。だが平良投手は四球を2つ出し、最後はワイルドピッチであっさりと同点を許してしまった。
これがもし、二死三塁という場面で平良投手が登板して1点を失ったのであれば同情の余地もある。だがイニング頭から登板し、しかも登板するタイミングも8回とハッキリ分かっていた状態での登板だったことを考えると、さすがに今日の失点には同情の余地はない。
なお平良投手は今年の春先のインタビューで、低めへのストレートはあまり空振りが取れないため、ストレートは高めに投げていくというコメントをしていた。このインタビューを聞いた際、筆者は「なぜそんなことを言ってしまうんだ」、と思ったわけだが、マリーンズ打線ももしかしたらこのインタビューのコメントを把握していたのではないだろうか。
ワイルドピッチで失点した場面、藤岡選手にし対しては確かにストレートは4球すべてを高めいっぱいのストライクゾーンに投げていた。これはまさに宣言通りの配球だったと言える。だが見逃された初球以外は、3球すべてで空振りを取ることができず、156km/hを計測したボールでさえも簡単にファールで逃げられてしまった。
156km/hの高めのボールでもまったく空振りを取ることができない、これが現状の平良投手の球質なのだろう。果たしてこれがストレートは高めに投げると宣言したことによるファールだったのか、それとも球質が明らかに低下した156km/hだったのかは、専門的なデータが公開されていない状況ではなんとも言えない。だが映像を見ている限りでは、平良投手の156km/hのストレートよりも、マリーンズ益田投手の148km/h(この日の最速は149km/h)のストレートの方が速く感じられた。
パテレで見ていても球速表示ほど速くは見えなかったということは、打席に立っている打者からすると、2022年までの平良投手のボールの怖さはまったく感じていないはずだ。そしてこれは以前詳しく書いたため今日は詳しい話は割愛するが、昨オフ、筋トレによって体を大きくした髙橋光成投手の合同自主トレチームの平良投手、平井克典投手、與座海人投手は今季全滅という状況になっている。
この自主トレチームには他には渡邉勇太朗投手と羽田慎之介投手もいたわけだが、渡邉勇太朗投手に関しては元々体が大きな選手であり、ピッチングも球速表示以上に制球の丁寧さで勝負をしているため、数字的にはまだまだとは言え、今季はまずまずのピッチングを続けている。そして羽田投手に関しては一軍デビューは果たしたものの、一軍に定着するには至らなかった。
渡邉勇太朗投手、羽田投手という一軍での実績が乏しいふたりに対し、他の4投手は全員一軍での実績がある。その実績組の4人が全滅しているのだから、やはりチーム髙橋の自主トレのやり方は間違いだったと言えるのではないだろうか。
ところで、今季は序盤に肘の違和感で登録抹消となっていた甲斐野央投手だったが、ここに来てようやく一軍に復帰してくることができた。そして復帰してからの2試合は、1人ずつヒットと四球で走者は出しているものの、危なげなく無失点で切り抜けている。しかも今日は三振も2つ奪っていた。
復帰まで予想以上に長引いてしまった甲斐野投手ではあるが、甲斐野投手はすでに多くのライオンズファン、チームメイトから愛されている。そして長年ライオンズでプレーしている髙橋投手・平良投手以上に甲斐野投手からはライオンズ愛を感じることができる。
もちろん甲斐野投手としては移籍初年度に満足な活躍ができず悔しい気持ちも強いと思う。だが移籍初年度であるにもかかわらず誰よりもライオンズに馴染んでいるように見えるし、誰よりも多くのファンに愛されているようにも見える。やはり彼のように、プレー以外でもチームにプラスをもたらしてくれる選手に将来的には守護神を務めてもらいたい。
現在はアルバート・アブレイユ投手が不動の守護神を務めているわけだが、もしアブレイユ投手に今後不穏なパフォーマンスの低下が見られた際には、甲斐野投手にはいつでも守護神のポジションに入っていく準備を整えておいて欲しい。そして将来的には、ホークスとの3連戦で3試合連続セーブを記録するような活躍を期待したい。