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2024年7月23日公開

源田壮亮主将の好調が続くか否かのバロメーターは盗塁数の変化にあり!

7月になり突然調子を上げてきた源田壮亮主将、その理由とは?!

源田壮亮主将

源田壮亮主将はなぜ7月になって突然ヒットを打てるようになったのだろうか。筆者が源田選手の打席を観察している限り、何か大きく変わったことはないのかな、という印象だ。つまり今は単純に、調子の良さでヒットが出ているのだと思われる。

調子の良さ、と言うとあまりにも具体的ではないわけだが、この調子の良さにはいくつもの要因が折り重なってくる。例えば体調の良さによりスウィング速度が0.1%速くなっていたり、たまたま相手投手がヒットを打ちやすいとこに投げてくれるケースが続いていたり、配球の読みが当たることが増えたり、などがそれらの要因に当たる。

源田主将の最近のスウィングを見ていても、6月までのスウィングとは目測では大差はない。筆者は以前、源田選手はしっかりとバットを振り抜けばもっと強い打球が増えて、同時にヒットの本数も増えていくということをここで書いたわけだが、これに関しても7月に入って突然振り抜くようになったわけではない。6月までと同様に、当てるだけのバッティングも変わらず多い。

だが6月までと7月とで違うのは、バットスウィングを途中で止めるような感じで、当てるだけ、と言うよりはバットにボールを乗せるだけ、というようなバッティングをした際、6月まではその打球が内野手の頭を越えることはほとんどなかったのだが、7月に入るとその打球が上手く遊撃手の頭を超えてレフトの前で落ちることが多くなってきたのだ。

これが密閉されたドーム球場であったり、高地にある球場の場合は気圧が影響することがよくある。例えば気圧が低い高地にある屋外球場は、市街地にある屋外球場よりもボールが伸びてホームランになりやすい。だがベルーナドームの場合は夏になると湿度が尋常じゃなく高くなり、ボールの質量もその分重くなるため打球はどちらかと言えば飛びにくくなる。

そのためボールを含めたサーフェス(グラウンドコンディション)の変化によって源田選手のヒットが増えているということは考えにくい。となると考えられることは、源田選手の体に何らかの良い変化があったということだ。

源田主将の好調が続くか否かのバロメーターは盗塁数の変化にあり!

源田選手はご存知の通り、昨年のWBCで指を骨折してしまった。骨折する前の2022年までは、自打球で足を怪我した2022年こそ打率は.266で終わっているが、2017〜2021年は5年連続で.270台の打率を残している。盗塁に関しても盗塁王を獲得する活躍を見せていた。

しかし足を怪我した2022年以降は、この盗塁の数が激減しているのだ。ルーキーイヤーには37個の盗塁を決めているのだが、盗塁王を獲得した翌年の2022年は12個、2023年は5個、そして今季もここまで5個に留まっている。こうして考えると、2022年以降は下半身にやや不安があり、それに伴いバッティングフォームも崩れていたと考えるべきなのかもしれない。

そして今月に入ると一時は月間打率が.400を越すほど打っており、本日時点でも7月の月間打率は.353と高水準を維持している。これはつまり、怪我をした後の源田選手の足腰が、ようやく怪我をする前の良いコンディション水準まで戻ってきたということなのではないだろうか。

怪我というのはバッティングにおいてもピッチングにおいてもフォームを崩す最たる原因となる。例え怪我が完治して十分に動けるようになったとしても、筋肉などはやはりしばらくの間は「怪我をした後の状態」が続いてしまうのだ。その期間は数ヵ月〜数年と人によって異なるわけだが、源田主将にも2022年の足の怪我の影響は少なからず残っていたと考えるのがスポーツ科学的には自然だ。

恐らくは源田主将自身、今好調である原因は明確に理解できていないのではないだろうか。例えばどこかの動きを良くするためのフォームのマイナーチェンジはしていると思うのだが、あるとすればそのマイナーチェンジが上手くいったというところくらいだと筆者は考えている。

例えばバッターの場合、振り始める前のグリップの高さを1mm変えるだけで振り抜きが良くなったりするのだが、源田主将も好調に入る前に何らかのマイナーチェンジはしていると思う。このマイナーチェンジと、コンディション面での調子の良さが相まって今の好調に繋がっているのだろう。

そしてもし本当に源田主将のコンディションが2022年に足を怪我する前の水準に戻ってきている場合、8月は盗塁数も増えていくことが考えられる。7月はまだ1つしか盗塁を決めていない源田主将だが、俊足振りには変わりはない。そのためコンディションの良さを感じ、足がいつも以上に前に出ていくことを実感できているようであれば、盗塁のスタートももっと思い切って切っていけるはずだ。

このような視点から、筆者は7〜8月にかけては源田主将の盗塁数がどれだけ増えていくかに注目し、その盗塁数の変化により、今後この好調が続くか否かを観察していきたいと思う。そしてもし盗塁数が実際に増えていけば、源田主将の打率は最終的には.270台までは上がっていくことになるだろう。

THE埼玉西武ライオンズガゼット筆者/カズ
筆者 2010年1月よりパーソナルコーチとしてプロ野球選手のサポートを行うプロフェッショナルコーチ。 選手の怪我のリスクを正確に分析し、怪我をしないフォームに変える動作改善指導が特に好評。 このブログではプロコーチ目線でライオンズについて冷静に、そして愛を込めて書いていきます!
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