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2021年1月11日公開

高橋光成投手と平良海馬投手の自主トレに対し筆者が抱く一つの懸念

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高橋光成投手には球速を最優先にしないでもらいたい

2021年1月、高橋光成投手の自主トレは平良海馬投手と共に沖縄の宮古島で行われる。近年高橋投手は自主トレを菊池雄星投手と一緒に行っていたが、今年は菊池投手の元を巣立ち、後輩という立場から先輩という立場に自分を置いて自主トレを行うことにしたようだ。

後輩として合同自主トレに参加することと、先輩として合同自主トレを率いることとでは意味合いはかなり異なってくる。先輩という立場に自らを置いたということは、高橋投手自身に今後エースとなっていくための自覚が芽生えてきたということなのだろう。

だが筆者には一つ心配事がある。それは高橋・平良両投手共に球速アップに関するコメントをこのオフにしているという点だ。自主トレでは球速アップだけに主眼が置かれることがないようにと筆者は願っている。

球速は確かに遅いよりは速い方が良い。しかし球が速いだけで勝てるほどプロ野球は甘くないし、球が速くなくてもメンタルとボールを上手くコントロールできれば勝てる投手になれる。

そして何よりも重要なのは「制球>変化>球速」という公式を崩さないということだ。この公式を崩さなければ150km以上のボールを投げなくても勝ち続けることができる。しかしこれを「制球<変化<球速」としてしまうと、ただ球が速いだけの勝てない投手でプロ生活を終えることになってしまう。

今季もリリーフに専念する平良投手はまだしも、先発として長いイニングを投げなければならない高橋投手がこの公式を崩してしまえば、最多勝を狙える投手に進化することは難しいだろう。

ライオンズのエースとなるならば、やはり高橋投手には最多勝を獲ってもらわなければ困る。

先発転向の希望を持つ平良海馬投手

一方の平良海馬投手は165kmを目指すというようなコメントも残しているようだが、これは辻発彦監督の言葉通りナンセンスだ。もちろん野球が個人種目であれば165kmを投げられれば金メダルをもらえるかもしれない。しかし野球は常に相手がいるスポーツだ。

ライオンズのブルペンには増田達至投手や豊田清投手コーチという、しっかりと自らのボールを制御することによって好成績を残し続けている先輩とレジェンドの存在がある。平良投手は彼らの姿を追いかけるべきだろう。

今季も平良投手はリリーフに専念するわけだが、しかし平良投手自身は昨年に続き先発転向への希望を持っている。昨季は先発としてのテストも行われたようだが、今季に関しては最初からリリーフ専任として起用されることが西口文也投手コーチから通達されており、本人も納得済みのようだ。

将来的に先発に転向したいのであれば尚更、今のうちに球速以上に磨いておかなければならないことがある。球速は確かに、基本的には若いうちしか伸ばすことはできない。しかし若い今のうちに本当に磨いておかなければならないものを後回しにしてしまうと、30歳前後になってから苦労することになるだろう。

平良投手はまだまだ若い。今慌てて球速アップを目指さなくても、数年かけて今よりも速くすることが可能だ。だからこそ球速アップに主眼を置くのではなく、まずは制球と変化をもっともっと磨き、そのついでに球速もアップさせていく、くらいの気持ちで自主トレに挑んでもらいたい。そうすれば将来的には先発としても通用するピッチャーになることもできるはずだ。

もしかしたら将来的には、高橋投手と平良投手がローテーションの柱として回っていくこともあるのかもしれない。ふたりともまだまだ伸び盛りの選手なだけに、まずは怪我をしないための理論的なフォームの習得を目指し、球速以上に重要な勝てる投手になるためのスキルを、宮古島ではじっくりと磨いて来てもらいたい。

そして今季こそはこのふたりの力によって、ホークスをねじ伏せてもらいたい!

THE埼玉西武ライオンズガゼット筆者/カズ
筆者 2010年1月よりパーソナルコーチとしてプロ野球選手のサポートを行うプロフェッショナルコーチ。 選手の怪我のリスクを正確に分析し、怪我をしないフォームに変える動作改善指導が特に好評。 このブログではプロコーチ目線でライオンズについて冷静に、そして愛を込めて書いていきます!
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