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2024年9月11日公開

怪我により今季未勝利のままシーズンを終えることになった髙橋光成投手

シーズン終了間際に先発陣に怪我人が続出したライオンズ

右腓骨骨折が判明した渡邉勇太朗投手

シーズン終了を間際にし、また故障者が続出する事態となっている。まず昨日の試合で変化球投手のような姿を見せ、モデルチェンジすることで5回まで好投していた髙橋光成投手が、今度は背中の張りで登録抹消となってしまった。仮に最短の10日間で戻れる状態になったとしても、残り試合を考えると、髙橋投手の今季は未勝利のまま事実上終了したと言って良いだろう。

そして今季は一軍定着後は非常に良いピッチングを続けていた渡邉勇太朗投手も、8月29日の試合で打球を受けていた右足が9月6日の試合で悪化し、その結果右腓骨骨折という重傷を負うことになってしまった。これにより渡邉投手の今季も終了したと言うことになる。

幸い残り試合数がもう少ないため、この二人の離脱により先発投手の駒不足になるということはない。だが好投を続けていた渡邉投手にはもう少し勝たせてあげたかったし、髙橋投手にもせめて1勝くらいは付けてさせてあげたかった。

そして気になるのは、果たして今季の成績でも髙橋投手が今オフにポスティング移籍を要求するのかどうかという点だ。だがメジャー側の髙橋光成投手の評価は芳しくなく、仮に移籍が実現したとしても招待選手などの立場からスタートさせられる可能性が高く、年俸にしても今季の推定2億6500万円という金額を上回ることはないだろう。

だがそれでも髙橋投手がポスティングを強く要求するようであれば、渡辺久信GMもさすがに今オフは例年以上に忙しくなることが予想されるため、トレードで出してしまっても良いのではないだろうか。しかし逆にもし髙橋投手が今オフはメジャー移籍を封印して、来季はライオンズのために頑張るという姿勢を見せた場合は、年俸は大幅減になることは間違いないが、近い将来、チーム成績にかかわらずポスティングにかけるという約束をしてあげても良いと思う。

このあたりに関してはもう髙橋投手の出方次第ということになるため、ファンとしては見守ることしかできない。ただ間違いなく言えることは、NPBで通用していない投手のボールがMLBで通用することは絶対にないということだ。

左腕エースの代名詞、47番を背負う杉山投手が明日プロ初登板

ライオンズにとって残り試合は、もうすでに最下位が確定していることから完全な消化試合となっていく。そうなるともう来季に向けた戦いをしていくしかないわけだが、明日の先発は高卒ルーキーの杉山遥希投手だ。イースタンリーグでも格段良いピッチングをしていたわけではないため、正直なところ筆者はこの先発起用には驚いたわけだが、杉山投手自身も驚きっでいっぱいだったようだ。

ちなみに杉山投手の今季のイースタンでの成績は8試合で2勝3敗、防御率4.03という内容だ。可もなく不可もなくというどころか、どちらかと言えば二軍でもう少し力をつけて欲しいといった内容だった。だがこの起用に関しても、首脳陣の期待値としてはかつての涌井秀章投手のように、プロ2年目から一軍に定着して欲しいという思いも少なからずあるのかもしれない。。

杉山投手は今のところウィニングショットを持っているというわけではないのだが、制球力に関しては安定しているため、少なくともよほどでない限りは明日の一軍初登板でも四球で大崩れすることはないだろう。ただしボールの力がまだ弱い分、コースを間違えれば連打を浴びる危険性があるため、そのあたりは捕手との綿密な確認が必要になってくる。

今ライオンズはまさに左腕王国になっていこうとしているわけだが、今季その殿しんがりを務めるのが杉山投手ということになる。高卒ルーキーである杉山投手は言わば失うものは何もない状態だ。そのためまずは捕手のサインを信じ、キャッチャーミットだけに集中して淡々と投げ続け、何とか上手く試合を組み立てる好投を期待したい。

横浜高校では一年生からエースとして投げ続けているピッチャーであり、甲子園も経験している。その経験を糧にし、なおかつ謙虚な気持ちを忘れずに明日も丁寧に投げることができれば、少なくとも5回までは何とか試合を作ることはできるだろう。

杉山投手は47番を背負うサウスポーだ。ライオンズの47番と言えば黄金時代の工藤公康投手が背負った番号であり、西武球団もその工藤投手を目指して頑張って欲しいという願いから、47番というサウスポーエースの代名詞とも言える番号を与えたのだと思う。その期待に応えるためにも、筆者と同郷でもある杉山投手には明日は将来のエースとなることを周囲に印象付ける好投を期待したい。

相手バッテリーのマークに勝てなくなってきた佐藤龍世・平沼翔太両選手

さて、少し前までは素晴らしいバッティングを続けていた佐藤龍世選手平沼翔太選手だが、ここ数試合の内容はあまり良くない。筆者個人としては、相手バッテリーからのマークが厳しくなった途端にヒットが止まってしまったという印象を受けている。

このあたりがまだこの二人が未熟な部分なのだろう。一軍でもややレベルが落ちる投手が相手の場合は打てるのだが、相手投手がエース級だったり好調だったりすると打てなくなってしまう。当然だがクリーンナップトリオというのは、他の6人の打者以上に相手バッテリーからのマークは厳しくなる。そこでヒットを打ててこそのクリーンナップであるわけだが、佐藤龍世選手にしても平沼選手にしても、まだまだピッチャーが打ってもらいたいと思って投げて来るボールを打たされている場面が多い。

だがそれはもちろんこの二人だけに関する話ではない。ライオンズの若い打者陣は全員がそうだと言える。そして打者が打ちたいボールを待てずに、投手が打ってもらいたいと思っているボールを打ってしまう確率が高いというのは、これは打撃コーチ陣の分析やアドバイスが甘いということと、データを上手く活用できていないことが考えられる。

だがそれに関してはライオンズには新たにデータサイエンティストが2名加入する見込みであるため、少なくとも来季は今季以上にデータを上手く活用できるようにはなるはずだ。ちなみにデータ室ということで言えば、2016〜2018に橋上秀樹コーチがライオンズに在籍していた際に一度強化していたはずなのだが、果たしてそれ以降は機能していなかったのだろうか。

そのあたりの事情に関しては筆者には分からないのだが、もしかしたらスコアラーだけで分析を行なっていたのかもしれない。だがスコアラーというのは野球に関しては専門家とは言え、数字やデータを読むことに関しては決してプロフェッショナルとは言えない。スコアラーの能力だけでは不十分だった領域を、来季からはデータサイエンティストが補うという形になるのかもしれない。このあたりの詳細に関しては、また今後の続報を待ちたい。

とにかく今季のライオンズの打撃陣は、相手バッテリーの術中にはまることがほとんどだった。だがデータを専門的に洗い直すことにより、打線全体でもっと待ち球を絞る能力を高めることができれば、来季のチーム打率はさすがに今季同様の水準で低迷することはなくなるだろう。しかしデータ活用も大事であるわけだが、それ以上に大事なのは選手一人一人の技術だ。データ云々を語る前に、打撃陣にはまずは投手の球に力負けしないスウィングと打撃技術を来春までには身につけてもらいたい。

THE埼玉西武ライオンズガゼット筆者/カズ
筆者 2010年1月よりパーソナルコーチとしてプロ野球選手のサポートを行うプロフェッショナルコーチ。 選手の怪我のリスクを正確に分析し、怪我をしないフォームに変える動作改善指導が特に好評。 このブログではプロコーチ目線でライオンズについて冷静に、そして愛を込めて書いていきます!
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