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2021年1月20日公開

菊池選手よりも高い価値を持つことになる源田壮亮選手の守備率1.000

源田壮亮

源田壮亮選手の守備率1.000はまさに至難の業

2020年、広島東洋カープの菊池涼介選手が二塁手として史上初の守備率1.000を達成した。この記録に触発されたのがライオンズのキャプテンであり、不動のショートストッパーでもある源田壮亮選手だ。源田選手自身は「今までは二遊間で一年間ノーエラーは不可能だと思っていた」と語っているが、菊池選手の記録により源田選手自身も2021年シーズンは遊撃手としてノーエラーを目指していくことになる。

だが仮にもし源田選手が今季守備率1.000を達成できたら、その記録は菊池選手以上の価値を持つことになるだろう。

20代中頃までの菊池選手は最高23盗塁をマークするなど走力も高く、守備範囲が非常に広い選手だった。だがここ2〜3年の菊池選手の守備を見ていると、守備範囲の広さはその頃よりも狭くなっている。どちらかと言えばそれほど冒険はせず、堅実にアウトカウントを増やしていく守備スタイルに変わってきている。もしかしたら30代になったことによる走力の衰えもあるのかもしれない。

源田選手の走力はまだまだ盗塁王を狙えるレベル

一方源田選手の場合は盗塁を狙えるレベルの走力を持っている。2020年に関しては前半戦は打撃が振るわず、後続の3番打者も固定し切れないチーム事情もあったため、2番を打っていた源田選手は18盗塁止まりとなってしまった。だが実際の走力としては40盗塁を目指せるレベルにある。

菊池選手とは異なり、源田選手の走力はまだまだ全盛期の最中にある。そうなると守備範囲も自ずと広くなっていき、他の選手では追いつけない打球にまで追いつくことができてしまう。

例えば全盛期の松井稼頭央選手は失策数の多い選手ではあったが、これは守備力が低いからではなく、人が追いつけない打球にも追いついてしまい、グラブが難しい打球にも届いてしまうことによりエラーが記録されてしまっていた。これに関しては20代中頃の菊池涼介選手も同様だった。

2020年の菊池選手とは異なり、源田選手の守備範囲はまだまだ球界トップクラスで広い。これだけ広い守備範囲を持ちながら守備率1.000を達成することは、まさに至難の業だと言える。

だがその守備範囲の広さに堅実性加えるための練習も源田選手は怠ってはいない。ルーキーイヤーの2017年には高い守備力を誇りながらも21失策とリーグ最多を記録しているのだが、2018年は11個、2019年と2020年は9個と半減させている。

源田壮亮選手が守備率1.000を達成するために必要な外的要素

守備力1.000を達成するためには捕球エラーをなくすことと同時に、送球エラーをなくす必要もある。そのための創意工夫として、今季は深いところで捕ったボールは無理にノーバウンド送球をしようとはせず、ファーストが捕りやすいようにあえて手前でワンバウンドさせて投げるという対策もしていくようだ。自主トレでもファーストが捕りやすいワンバウンド送球を上手く投げるための練習を繰り返しているらしい。

よほどの事態にならない限り、ショート:源田選手・ファースト山川穂高選手という布陣になる。山川選手はもう守備が下手な選手ではなくなったのだが、まだ上手いとも言い切れない。清原和博選手のように、ファーストとしてゴールデングラブ賞を目指せるレベルにはまだ至ってはいない。

だが源田選手が守備率1.000を目指すためには山川選手の協力が必要だ。源田選手がいくら堅実な守備を見せ続けたとしても、年間の守備機会は多いと800回近くあるのだ。800回も打球を処理していれば、さすがに1〜2回は手元が狂ってしまうことだってある。そんな時山川選手が好捕してくれれば源田選手にエラーが記録されることもない。

守備率1.000は源田選手ひとりでは達成できない

つまり何が言いたいかと言うと、野球は個人種目ではないということだ。山川選手が、源田選手が守備率1.000を目指していることを念頭に置いて守ってくれなければ、源田選手だけで守備率1.000を目指すことは不可能に近い。

例えば極端な話、上手い一塁手からするとショートバウンドというのはイレギュラーでボールが逸れる確率がほぼないため、捕球しやすい送球だと言える。だが普通なら捕れるこのショートバウンドをもし山川選手がこぼしてしまったとしたら、これは源田選手に悪送球エラーが記録される可能性が高い。

筆者個人としては、源田選手にはもっともっと声を大にして「守備率1.000を目指す」と言って欲しい。そうすれば特に源田選手と絡むことの多い一塁:山川穂高選手、二塁:外崎修汰選手も守備力をもっと上げていく必要があると考え、内野陣全体の守備力アップにもつながっていくはずだ。

三塁は基本的には中村剛也選手になると思うのだが、中村選手が今の年齢から守備力を向上させるというのは現実的ではない。だが遊撃手と三塁手が絡む機会というのは比較的少ないため、源田選手のミスを中村選手がカバーしなければならない状況はほとんどないだろう。

とにかく源田選手が守備率1.000を目指すことによって、内野陣全体の守備力が向上していくことが何よりも望ましいことだ。そのためにも源田選手が守備に関してどんどん公言することにより、山川選手や外崎選手がプレッシャーを感じ、もっと守備力を上げる必要があると強く感じてくれるようになることが大切だ。そうすればそれぞれが切磋琢磨し、相乗効果も生まれていくだろう。

源田選手の守備力は年々向上している。そこに釣られて一二塁間の守備力もアップしていけば、ライオンズの内野陣はまさに鉄壁となっていくだろう。そして源田選手にはいつの日か、辻発彦監督が持つゴールデングラブ賞8回という記録を上回ってもらいたい!

THE埼玉西武ライオンズガゼット筆者/カズ
筆者 2010年1月よりパーソナルコーチとしてプロ野球選手のサポートを行うプロフェッショナルコーチ。 選手の怪我のリスクを正確に分析し、怪我をしないフォームに変える動作改善指導が特に好評。 このブログではプロコーチ目線でライオンズについて冷静に、そして愛を込めて書いていきます!
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