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2024年5月31日公開

4回途中KO、これが早期メジャー移籍を直訴している高橋光成投手の今の実力

埼玉西武ライオンズ vs 読売ジャイアンツ/1回戦 ベルーナドーム
1 2 3 4 5 6 7 8 9 R H E
Giants 0 0 2 1 1 0 0 0 0 4 11 0
Lions 0 0 0 0 0 0 1 0 0 1 3 0

継投●髙橋光成田村伊知郎與座海人中村祐太豆田泰志
敗戦投手髙橋光成 0勝5敗0S 4.12
本塁打中村剛也(7)

4回途中ノックアウト、これが髙橋光成投手の今の実力

髙橋光成投手

これが早期メジャー挑戦を直訴している投手の実力なのだろう。先週ノーヒットノーランを達成しているジャイアンツ戸郷投手に対しライオンズの先発は髙橋光成投手だったわけだが、3回1/3、被安打8、失点3での早期ノックアウトとなり、先発として試合を作ることさえできなかった。

それでも松井稼頭央監督であれば髙橋投手を責めることなく次週も先発を任せていただろう。だが渡辺久信監督代行は今日の髙橋投手のピッチングを見て「脆いね。踏ん張りどころで踏ん張れないし、ストライクとボールもハッキリしている」とバッサリ斬り捨てた。

髙橋投手自身のコメントによれば調子は悪くはなかったようだ。しかし調子が悪くないのに4回途中のノックアウトでは話にならない。これで髙橋投手は開幕から7戦勝ち星がない状態で、防御率も4.12という不甲斐ない数字となっている。こうなってくると、果たして来週も髙橋投手に先発としてチャンスを与えるべきなのだろうかと疑問に思えてくる。

明日明後日の渡邉勇太朗投手ボー・タカハシ投手の出来次第ということもあるが、もしこの二人がしっかりと先発として試合を作ることができた場合、来週の先発ローテーションからは髙橋投手は外し、今日はリリーフ登板となった與座海人投手にも先発機会を与えるべきだろう。

かつて背番号13を背負った大エース、西口文也投手も一時的に調子が上がらないことがあった。そんな時当時の東尾修監督は西口投手を二軍に落としてミニキャンプを張らせ、下半身を作り直させた。それにより西口投手は復調していったわけだが、髙橋投手の場合は上半身の筋肉だけが大きくなった状態で、球速そのものは昨季と比べて大差はない。つまり体が重くなっただけで、筋肉を増やしたことをパフォーマンスに繋げられていないのだ。そう考えるとやはり、当時の西口投手以上にミニキャンプによる下半身の作り直しが必要だとは言えないだろうか。

ちなみに下半身を作り直すというのは、筋トレで脚を太くするという意味ではない。目的を持った様々なラントレにより、上半身の動きをしっかりと安定させられる強さと粘りを作ると言う意味だ。一部の選手は走り込みそのものを否定していたりもするが、走るというトレーニングはどの競技においても一番基本となる基礎トレーニングだ。

そして強かった頃のライオンズの投手陣は、とにかく走り込みの量が半端ではなかった。12球団ダントツの量であり、これはライオンズの良き伝統とされていた。ちなみにそのライオンズを目指して投手陣の走り込みの量を増やしたのが広島カープで、一昔前まではライオンズとカープ投手陣の走り込み量は球界随一だった。

なお筆者は10年以上前に勝てなかった頃のベイスターズキャンプにお邪魔したことがあるのだが、その時のベイスターズ投手陣は5kmさえまともに走れない選手ばかりで、最も走れていたのが当時まだ現役だった大ベテラン、三浦大輔投手だった。

念のために付け加えておくと、ただ目的もなく走るだけでは効果はない。しっかりとした目的のもとで適切なラントレメニューを組み、しっかりと地に足を付けて心拍数も観察しながら走る必要がある。そうすることによってラントレはようやく本格的な効果を発揮し出すのだ。

髙橋光成投手や平良海馬投手はどちらかと言えば筋トレ信奉者だ。しかしこの二人は今季共に怪我で離脱している。そう考えるとこの二人の調整方法は正解ではないと言えるのではないだろうか。

三番打者としてまったく機能していない外崎修汰選手

さて、やはり筆者は外崎修汰選手を三番に据えることには賛成ではない。今日も初回、滝澤夏央選手の三塁打により一死三塁という場面を作ったものの、外崎選手は中途半端なバッティングでボテボテの投手ゴロに倒れた。

恐らくはこの場面、「打ったらGo」のサインが滝澤選手には出されていた。そのため外崎選手のバットにボールが当たった瞬間に滝澤選手はホームに突っ込んで行ったわけだが、そこから三塁に戻ることもホームに突っ込むこともできず、あえなく憤死となってしまった。

その間に外崎選手は二塁までは進んだものの、一死三塁で「打ったらGo」のサインが出ていれば、投手正面へのゴロ以外の内野ゴロであれば確実に1点が入る場面だった。しかし外崎選手は非常に中途半端なスウィングでほとんど投手正面への、一番打ってはいけない打球を打ってしまった。これはもう三番打者の姿とは言えないし、打撃面だけを見れば一軍レベルとも言えないかもしれない。

今日は外崎選手はノーヒットで、岸潤一郎選手もノーヒットだったわけだが、凡打の内容は岸選手の方がずっと良かった。渡辺監督代行の起用法を見ると、蛭間選手と岸選手を育てていきたいのだろうと思えるオーダーになっているため、それならば岸選手を繋ぎの三番打者としてオーダーに据えても良いのではないだろうか。

今日の試合だけではなく、ここまでの試合を見てきても、チャンスが外崎選手の打順で潰えてしまうことが多すぎる。もちろん打ってくれることもあるわけだが、しかし得点圏で内容の悪い凡打に終わることが多すぎるのだ。今季ここまでの外崎修汰選手の得点圏打率は、通算打率.222に対し.220、一方岸選手は通算打率.247に対し.273となっている。

この数字は、岸選手は走者がいない時よりも、走者がいる時の方がヒットが出ているということを意味し、これはまさにクリーンナップに必要な資質の一つだと言える。ただ年俸を見ると1億6000万円の外崎選手に対し岸選手は1650万円で、ほぼ10倍の開きがある。そのため費用対効果を考えると外崎選手を外しにくいという事情があることも確かだ。

しかし勝つためにはそんなことを気にしている場合ではない。選手の年俸査定も担当している渡辺久信監督代行兼GMであるわけだが、支払っている年俸の額は一旦度返しし、最も打線が繋がると思われるオーダーを優先してもらいたい。ただ、渡辺監督代行のやり方を考えると、しばらくはまだ外崎選手にチャンスを与えるかもしれない。しかしそれでもダメだった時はバッサリと斬っていくはずだ。

渡辺久信監督代行に代わりベンチ内で動きが増え始めたコーチ陣

さて、渡辺久信監督代行に代わって今日が4試合目だったわけだが、ライオンズベンチの動きは明らかに変わってきている。松井監督の頃は、松井監督はそれぞれコーチに担当部門を完全に任せているような感じで、松井監督がコーチに指示を飛ばす場面は非常に少なかった。

しかし今のライオンズベンチでは、渡辺久信監督代行がひっきりなしにコーチ陣に指示を飛ばしたり、何かを確認する姿が頻繁に中継に映し出されている。そして豪快に笑顔を見せることもあれば、鋭く厳しい視線を選手に向けていることもある。これによりライオンズベンチは今まで以上に雰囲気が明るくなりながらも、今までにはないピリッとした雰囲気が感じられるようになった。

確かに選手としては、自らの年俸を査定するGMが監督代行としてベンチに座っているのだから、緊張感も自然に高まっていくだろう。そういう意味でもやはり今回の監督交代劇は正しい判断だったと言える。少なくともここまでの4試合では2勝2敗の勝率.500となっているため、戦い方は改善されたと言って間違いないだろう。

そして明日の先発マウンドには渡邉勇太朗投手が登り、ジャイアンツベンチには師匠である内海哲也投手コーチがいる。内海コーチから受けた指導に報いるためには最高の場面であり、渡辺監督代行もそれを見据えて明日の先発起用としたのではないだろうか。

明日は渡邉投手と蛭間拓哉選手による浦学コンビの活躍で、まずはこのカードを五分に戻してもらいたい。そして五分に戻せれば、渡辺監督代行としての試合での貯金が1に増えることになる。今はまだトータルでは15の負け越しとなっているわけだが、とにかく2勝1敗以上のペースをキープしながら、1つずつこの負け越しを減らしていけるよう、明日は渡邉投手の好投に期待したい。

THE埼玉西武ライオンズガゼット筆者/カズ
筆者 2010年1月よりパーソナルコーチとしてプロ野球選手のサポートを行うプロフェッショナルコーチ。 選手の怪我のリスクを正確に分析し、怪我をしないフォームに変える動作改善指導が特に好評。 このブログではプロコーチ目線でライオンズについて冷静に、そして愛を込めて書いていきます!
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