2024年6月 2日公開
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E | |
Giants | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 | 0 | 3 | 0 | 1 | 7 | 14 | 0 |
Lions | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 | 5 | 0 |
継投/ ●ボー・タカハシ〜 中村祐太〜 佐藤隼輔〜 豆田泰志〜 與座海人
敗戦投手/ボー・タカハシ 1勝4敗0S 3.58
何としても勝ってこのカードも2勝1敗で乗り切りたかったわけだが、しかし今日のジャイアンツ菅野投手の出来は本当に良かった。今日の菅野投手のピッチングを見る限り、好調チームの打線であっても打ち崩すのは難しかっただろう。球速こそ全盛期と比較をすると見劣りするものの、しかし変化球の制球と緩急の使い分けは本当に良く、今日の菅野投手から4安打放ったことを逆に誉めたくなるくらいだった。
だがチーム状況を考えればそうも言っていられない。どんな投手が相手であっても2勝1敗以上のペースで戦っていく必要がある。1勝2敗では今までと同じように負け越しが嵩むだけだし、1勝1敗ペースではいつまで経っても負け越しが減ることはない。一日でも早く負け越しをなくしていくためにも、ライオンズは是が非でも2勝1敗ペースをキープし続けなければならないのだ。
そんな中、今日はまずは源田壮亮主将のバッティングに注目してみたいと思う。筆者は以前の記事で、源田主将は年俸に見合った働きができていないと書いたわけだが、その考えは今も変わらない。確かに源田主将の働きは見事だし、キャプテンとしても頑張ってくれているのだとは思う。だが打率が.239では一番を任せるにはかなり物足りない。
そして出塁率も.289という数字になっており、今日の試合が始まるまでの時点では規定打席に到達しているパ・リーグの打者29人中、25番目と非常に低い。ちなみに出塁率1位はホークス近藤選手の.425で、あとは例えば好調マリーンズの一番を打つ岡選手は打率.269に対し出塁率は.365となっている。仮に多くのヒットを打てなかったとしても、岡選手のように22個の四球を選んで出塁率を上げてくれればチームの得点力も上がっていく。しかし源田主将は岡選手よりも10打席以上も多く打席に立っているものの、選んだ四球は今季ここまではまだ13個となっている。
源田主将の四球数が少ないのには大きく二つの理由が考えられる。まずはいやらしさのない源田主将に対し、相手バッテリーがどんどんストライクゾーンで勝負してきているという点だ。仮にそのボールを打たれたとしてもホームランになる可能性はほとんどないし、打率も.239であるためヒットになる可能性も低い。そのため相手ピッチャーも臆することなくどんどんストライクを投げてきている。
もう一点はファールで粘って相手投手に球数を投げさせられていない点だ。源田主将は現代タイプのガンガン打っていける一番打者ではない。どちらかと言えば一昔前の粘って粘って何としても出塁を狙っていかなければならないタイプの打者だ。今日の打席を見ても1打席目は3球、2打席目は7球、3打席目は3球、ピッチャーが代わった4打席目は2球と、相手投手に15球しか投げさせていない。もちろん2打席目は7球投げさせているわけだが、3ボールまで行っているし、4球目にはファウルを打ったものの自打球となっている。
今日のジャイアンツの投手は合計で156球を36人のライオンズの打者に対し投げて、1打者平均は4.3球となっている。そして源田主将が今日1打席あたりに相手投手に投げさせたのは3.7球だ。つまり今日の試合ではライオンズ全体では相手投手に1打席あたり4.3球投げさせているのに対し、源田主将はそれを大きく下回る3.7球しか投げさせられていないのだ。
もちろん相手が好調菅野投手という難しさもあったわけだが、しかし難敵を相手にしている時こそ源田主将のようなタイプの一番打者は、より多く球数を投げさせて味方打線に情報を提供していかなければならない。もちろん早打ちでもかつての片岡易之選手ように.290前後打って盗塁もできるのならば良いと思う。だが源田主将はそれほどヒットを打てていないし出塁率も低く、盗塁もまだ3つにとどまっている。
ではなぜ源田主将のバッティングは向上していかないのか?その理由は単純で、源田主将はバットを振り抜くことがほとんどないからだ。バットを振り抜くというのは、思い切り全力で振るという意味ではない。7〜8割の力で振っていたとしても、しっかり最後までフォロースルーをしていくという意味だ。そうする前提のスウィングになることによって、インパクトでより大きな力をボールに伝えていけるようになる。
例えば8回に先頭打者として迎えた4打席目のセンターフライも、フォロースルーの中盤に至るか至らないかというポイントでバットスウィングが終わってしまっている。これではボールに力を伝えていくことができず、多くのヒットを打てていないこともまったく不思議ではない。
例えばメジャーリーグ移籍後はあまりホームランは打たなかったイチロー選手の場合でも、内野ゴロを打っている際でもバットをしっかりと振り抜いていた。そのため球足の速いゴロが内野手の間をあっという間に抜けていくヒットを多く打つことができていた。日本時代は多くのホームランも打ったイチロー選手に対し、源田主将はほとんどホームランを打つことはない。それならばなおさら源田主将もイチロー選手のようにしっかりとバットを振り抜いていかなければ、今後もヒットを増やすことは難しいだろう。
一方同じ左打者である元山飛優選手の場合、4打席目は源田主将と同じくセンターフライに倒れたわけだが、ある程度振り抜いての比較的良い打球だった。ジャイアンツの中堅手の好捕によってヒットを阻まれたわけだが、このファインプレーがなければ二塁上にいた中村剛也選手がホームインしていたことも考えられ、二日連続でチャンスで活躍していたことにもなる。ただ結果としては紙一重でアウトとなってしまった。しかし凡退後の元山選手が見せた非常に悔しそうな力強い表情を見ても分かる通り、このアウトはヒットになる可能性も感じさせてくれる内容の良い凡退だったと言える。
若い選手を見習えとは言わないが、しかし源田主将ももっとしっかりとバットを最後まで振り抜くバッティングをしていかなければ、今季の低打率を今後も脱することはできないだろう。そして渡辺監督代行がコメントした「序盤に上手く攻め切れない」という言葉も、リードオフマンである源田主将が出塁できていないという意味も含まれるため、ライオンズがこれから浮上していくためにも、一番を打つキャプテンにももっと奮起してもらわなければ困る。
さて、話は試合とは関係なくなるが今日、育成選手だった菅井信也投手が支配下契約に切り替わり、背番号も128から71に変更となった。菅井投手は2021年に育成ドラフト3位指名でライオンズ入りした今月21歳になるサウスポー投手だ。
今季ここまでの菅井投手はファームで9試合に登板し(8先発)、1勝2敗で防御率は2.57、奪三振は49イニングスで52個となっている。今季ここまでの安定したピッチングと、奪三振能力の高さによって支配下契約を勝ち取ったということになる。そして菅井投手もまた、内海哲也コーチの愛弟子ということになる。
菅井投手自身内海投手への憧れを口にしているし、実際に内海コーチの指導によってピッチングが安定したことも事実であるようだ。また、渡辺監督代行によれば登板日ももう決まっているらしく、決まっているということは先発起用でのデビューとなることが間違いなさそうだ。
問題はどこで登場して来るかということになるわけだが、火曜日からの6連戦は神宮でのスワローズ戦と甲子園でのタイガース戦となっている。そして現状の投手陣を見ていくと、まずカードの頭で投げさせたいピッチングをしているのが今井達也投手と武内夏暉投手であるため、次の6連戦からはローテーションを少し動かし、武内投手を7日(金)のタイガース戦に当てていくのではないだろうか。
そして4日(火)今井投手、5日(水)隅田知一郎投手となり、6日(木)のスワローズ戦に菅井投手を当てていく可能性が高いように思える。そして7日からは武内投手をカードの頭に持っていき、8日は渡邉勇太朗投手、9日は髙橋光成投手、ボー・タカハシ投手、與座海人投手のいずれかになるのではないだろうか。
筆者個人としては現状を見れば髙橋投手を一度外してもいいのではないかと思うわけだが、しかし昨季までエースと呼ばれていた投手を外すことは決して簡単なことではない。だが勝てていない投手を一軍で優先的に起用し続けると、先発ローテの6枠目を狙っている投手たちの士気にも影響して来る。そのためタイガース戦では髙橋投手を先発起用したとしても、そこが当面では最後の追試という意味合いを含んでいくのではないだろうか。
菅井投手が来週先発して良いピッチングを見せることができれば、先発ローテーションに左腕が3枚入ることになる。これはチームとしては非常に大きな武器となるため、来週の菅井投手の先発登板には大きな期待を寄せていきたい。そして渡辺GM自身ファームでの菅井投手のピッチングを見て、ファームでのピッチングと同じパフォーマンスを発揮してくれれば、一軍でも十分戦力になると確信したからこそ、支配下契約の発表時にすでに登板日が決まっていることを明言したのだろう。
いずれにせよ菅井投手は、羽田慎之介投手と並んで大きな期待が寄せられている若手サウスポーだ。こうして若い投手たちの突き上げを受けると、髙橋投手や與座投手もうかうかしていられなくなる。ましてや怪我で抹消中の平良海馬投手も気が気ではないだろう。
しかしライオンズとしては、ライオンズを出ていくことをすでに宣言している髙橋投手と平良投手にいつまでも頼っていることはできない。髙橋投手と平良投手がもたついているのあれば、どんどん若手投手を先発起用して次世代の主戦先発投手を育てていく必要がある。そういう意味でも二人が抜けた後とは言わず、菅井投手には来週からでも先発ローテ枠を1つ自らのものにする活躍を期待したい。
さて、投手陣の中で少し心配なのが佐藤隼輔投手だ。5月まではリリーバーとしてほとんど完璧な活躍を見せてくれていたのだが、昨日のジャイアンツ戦では打者4人に対し3四球、そして今日も打者4人に投げて3安打を打たれてしまっている。
ジャイアンツ戦になって突然崩れたのはジャイアンツを意識したためなのか、それともここまでの疲労が出始めているのかは2試合の不調だけではまだ何とも言えない。ただ、佐藤投手の状態がスワローズ戦以降も上向かない場合は與座海人投手を先発に戻しにくくなる。與座投手は今日もリリーフで1イニングを投げているわけだが、本来は先発投手であるため、與座投手の良さを生かすためにもできるだけ早く先発として一軍で投げさせてあげたい。
しかし佐藤投手に多少休みが必要ということになれば、先発もリリーフもこなせるタイプの與座投手が引き続きブルペン待機することになるだろう。もちろん左右の違いはあるわけだが、しかし渡辺監督代行はかつて監督時代に、同じくサブマリンの牧田和久投手を守護神起用したこともあった。そのためサブマリンがリリーバーとしても大きな戦力になるということをよく知っている。
ちなみに佐藤投手は昨季もやはり6月に調子を落とし、7月頭に一軍登録を抹消されている。昨季の場合は指の違和感が原因だったわけだが、もしかしたらまたその症状が現れ始めているのかもしれない。これに関しては今は完全な推測でしかないわけだが、しかしもしそうであるならば早めに一度抹消し、しっかりと治して最短10日でまた戻って来れるように調整をしてもらえたらなと思う。ここで無理をして本格的に調子を崩してしまうよりは、シーズン後半のことを考えると佐藤隼輔投手不在で戦うことは難しいため、できるだけ早くまた調子を上げてきてもらいたい。
なお今日の登板を見ていると、佐藤投手は肩を気にしている素振りを幾度も見せていた。肩が痛いというわけではなさそうなのだが、仕草を見る限りは肩にある程度の疲労は感じているのではないだろうか。そして打者に向かっていく姿もいつもと比べるとやや弱く、どうしてこのタイミングで?、と思えるようなタイミングでプレートを外していた。ただこれに関してはもちろん、相手が強打者である丸選手だったから一度間を置いたという可能性も十分にある。
またこの試合ではワイルドピッチも多く、それがそのまま失点にも繋がってしまった。マスクは炭谷銀仁朗捕手がかぶっていたのだが、さすがにホームプレート前でワンバウンドしてハーフバウンドになったボールをしっかりとミットに収めることは難しい。そのようなボールも投げていた今日の佐藤投手のピッチングを見る限りでは、どこかに不調を感じていることだけは間違いないだろう。
そして渡辺監督代行も間違いなく佐藤投手の異変に気づいていると思われるため、もしかしたら疲れを抜くために一度登録抹消されるという可能性も高くなっているのではないだろうか。点を失うにしても、昨日も今日も内容が悪かったため、何らかの措置は首脳陣によって取られるはずだ。だが一度疲れさえ抜くことができれば、また昨季のように復帰後は大車輪の活躍を見せてくれるはずだ。