2022年9月18日公開
2020年からライオンズのキャンテンを務めているのはご存知源田壮亮主将だ。だが筆者は来季2023年は源田主将をキャプテン職から解放してあげるべきだと考えている。かと言って決して源田主将にキャプテンシーがないということではない。
だが源田主将がチームを1つにまとめられているかと言えば、決してそんなこともないと思う。例えばかつての石毛宏典選手のように力強い言動でチームを牽引することは源田主将にはできない。
石毛選手は年上の選手にも言うべきことは言う選手だった。だが果たして源田主将はどうなのだろうか?年上の山川穂高選手にも言うべきことがあれば言うことができるのだろうか?筆者の印象では、これは少し難しいような気がする。
もちろん源田主将にはキャプテンシーはあると思うが、しかしほとんどまとまっていない現状のチームを1つにまとめるのは、源田主将には荷が重すぎると思う。あまり気を遣いすぎれば成績にも響いてしまうだろう。
それならば来季はキャプテン制を廃止し、一人一人の選手がもっと個々で責任や役割を考えながらプレーしていくようにすべきだ。そしてそれに着いて来られない選手はどんどん篩い落とせば良いと思う。
秋山翔吾選手が抜けて以来、ライオンズが1つにまとまっているなと感じられたことはない。少なくとも筆者には。ライオンズの他の選手たちも、日本代表として活躍していた秋山選手に言われればしっかりと考えるしかなくなる。秋山選手はメジャー移籍直前の2019年のみでキャプテンを務めたわけだが人柄、野球に対する姿勢、成績のどれをとっても一流だった。
プロ野球選手が憧れる存在の一人、それが秋山翔吾選手だった。しかし山川選手などはどうだろうか。2019年、山川選手と森友哉捕手はコンディション不良を理由に日本代表を辞退した。だがコンディション不良だったにもかかわらず、ガンガン練習をしている姿をSNSに公開していた。
仮に「動けないというほどのコンディション不良」ではなかったにしても、コンディション不良で代表を辞退しているのだから、日本代表が戦っている最中にSNSでそのような元気な姿を見せるのはどうかと思う。そこは治療を受けている姿や、マッサージを受けている姿を見せるべきではなかったろうか。
日本代表の選手たちからすれば、「あれ?山川と森はコンディション不良じゃなかったの?ガンガン練習できてるじゃん!」ということになってしまう。実際ライオンズのチームメイトとして、二人のその行動が理由で代表チームにおいてやや肩身の狭い思いをしたのが秋山翔吾選手だったと伝えられている。
秋山翔吾選手を尊敬するプロ野球選手や野球人は大勢いるが、果たして山川選手や森選手を尊敬するプロ野球選手はどれくらいいるのだろうか?ちょっと気になるところではある。
今のライオンズの選手たちは「自分が活躍すれば勝てる」と考えているように見える選手ばかりだ。山川選手などはまさにそうで、実際に「自分が打てばチームは勝てるはず」という自分本位な言葉を公言している。だが野球というスポーツはそうではない。
メジャーリーガーのような圧倒的な力を持った選手は別としても、日本人選手の場合は打線をしっかりと線として描いていかなければ勝つことは難しい。かつての流線型打線のように。例えば一昔前、ジャイアンツは他球団の四番打者ばかりをFAで集めてきて戦ったわけだが、注ぎ込んだ資金の割には思うように勝つことはできなかった。
今のライオンズも同じ状態だ。個々がそれぞれで勝手に頑張っている状態で、2008年に見られたようなチームの輪がまったく見えてこない。その時当事者だった栗山巧選手と中村剛也選手はまさにその差を今感じているのではないだろうか。
主将経験のある栗山選手や松井稼頭央コーチなどは、源田選手を少し気の毒とも思っているかもしれない。これだけバラバラに見えるチームを1つにまとめ上げるのは、石毛宏典選手でも一苦労なはずだ。いや、しかし石毛選手であれば仮に自分が年下であっても中心選手である山川選手らに物申しただろう。
ライオンズはこれで終盤6連敗となり、優勝どころかCS進出にも黄信号が灯っている。だが今のチーム状態では、むしろスッキリと負けてしまった方が来季のためになるのではないだろうか。
辻発彦監督でさえも連敗を喫している中で「明日・明後日勝てば良い」という根拠の乏しいコメントを残している。だがこの連敗の中で、もう明日・明後日勝てばそれで良いという状況ではない。筆者はこの辻監督の言葉を聞いた時、もう辻監督はレイムダック状態なのではないかとさえ感じたほどだ。
一般的な認識では、今季優勝できなければ辻監督は退任し、松井稼頭央新監督誕生という流れになっている。辻監督自身それは十分分かっているはずだ。そんな中で8月末は首位に立っていたのに、9月に入ると一気に転落し、貯金も残すところあと1つとなってしまった。
残り7試合でこの背水からチームを甦らせることは事実上不可能に近い。そして残り7つすべて勝ったとしても、ホークスとバファローズが9月のライオンズのように自滅しない限り、ライオンズが上位に浮上することはできない。もうそのような段階となる残り試合数なのだ。
森祇晶監督以降、東尾修監督、伊原春樹監督、伊東勤監督、渡辺久信監督、田邊徳雄監督、辻発彦監督と続いてきたが、森監督以降でリーグ優勝して日本一になったのは渡辺久信監督だけだった。伊東監督も日本一にはなったが、レギュラーシーズンはリーグ優勝したホークスから4.5ゲーム差の2位だった。
選手時代は日本シリーズでプレーすることに慣れ切っているようにも見えた辻監督だが、今季はもうリーグ優勝の可能性はほとんど残っておらず、日本シリーズに進出するためには3位に浮上して下克上により順位をひっくり返すしか手段はない。
だが2018〜2019年とリーグ連覇を成し遂げながらも、CSではホームグラウンドでありながらホークスに手も足も出ず簡単に敗れ去った過去を思い返すと、下剋上もまた非常に難しいと言わざるを得ない。
だからこそ今季を中途半端に終えてしまうのではなく、選手たちが「自分たちは弱かった」と実感し、これからの考えや野球に対する姿勢を見直さざるを得ないような終わり方を迎えた方が、来季のプラスになるのではないだろうか。
そしてもしもBクラスならBクラスで今季を終え、レギュラーもポジションも打順も、一度すべて白紙に戻すべきだ。一度チームをしっかりと解体し、更地からまったく別のチームを作っていくくらいの気持ちで取り組まなければ、来季以降も監督が変わったとしても選手たちはダラダラと同じことを続けてしまうだろう。
仮に今季も負けて終えてしまったとしたら、秋季キャンプではすべて横一線からスタートさせるべきだ。それこそかねてより先発転向を希望していた平良海馬投手にも、秋季キャンプの時点からじっくりと先発調整をさせてあげるべきだと思う。
そして筆者には一つ要望がある。涌井秀章投手をライオンズに連れ戻して欲しいのだ。ライオンズには今、絶対的エースの存在がいない。一応髙橋光成投手がエースではあるが、しかしエース対決になるとなかなか勝ち切れない。
ライオンズ時代の涌井秀章投手は、エース対決でも簡単に負けることは絶対にない投手だった。先に点を与えたり、先にマウンドを降りることを絶対に良しとはしない投手だった。
2011年CSファイナルシリーズ第3戦、筆者は涌井投手と杉内俊哉投手の壮絶な投手戦を決して忘れることはないだろう。あの時見せた涌井秀章投手の闘志溢れる姿こそが、偽りのない絶対的エースの姿だった。
渡辺久信GMにはかつての教え子である涌井投手を連れ戻し、涌井投手のエース道をライオンズの若手投手たちに注入してもらいたいのだ。今の涌井投手であればそのようなこともできるし、内海哲也投手がユニフォームを脱いでしまう今季、生きたお手本がライオンズからは姿を消してしまう。
ここで投手陣の成長を止めないためにも百戦錬磨の涌井秀章投手を連れ戻し、マウンドでの立ち姿を見せることによって若き投手陣のさらなる成長を促してもらいたいのだ。
今季イーグルスの優勝の可能性も低くなってきている今、仮にイーグルスが3位以下でシーズンを終えたとすれば石井一久監督兼GMの退任も濃厚となる。そうなれば涌井投手がイーグルスに席を置く理由もかなり薄まり、楽天球団次第ではライオンズ再加入への障害もなくなる。
さらに言えば将来的に松坂大輔氏がライオンズで入閣した際、涌井投手にはその時は指導者として松坂コーチ(もしくは松坂監督)と共にライオンズ投手陣を叩き上げてもらいたいという夢まで筆者は抱いている。
さて、今日はチームのまとまりについてかなりの文字数を割いたわけだが、筆者が最も尊敬している野球人三原脩監督はこう言っている。「アマは和して勝ち、プロは勝って和す」と。
ライオンズは長年勝てずにいる。つまり2008年を最後に日本一にはなっていない。だからライオンズはが和すことができないのだ。来季こそはしっかりと必要なピースを埋め(特に外国人選手の大砲)、選手個々が考え方を改め、個ではなくチームで戦えるように生まれ変わらなければならない。
調子が良ければ勝つけど、調子が良くなければピタッと勝てなくなるというライオンズの姿はもう見飽きた。調子が悪くてもチームが一丸となって戦い勝っていく大人のチームが見たいのだ。
何もいきなり黄金時代のように毎年日本一になってもらいたいとは思わない。だがせめて3年に1回以上はリーグ優勝し、6年に1回以上は日本一になり、そして優勝できなくても常に優勝争いに加わわれるチームになってもらいたい。だが今のままではそれは無理だろう。
そして何よりも今残念に感じているのは、2017年以降、一度も「辻発彦らしい」野球をライオンズが見せてくれなかったことだ。今季もここまでエラー数は12球団中10位で、ライオンズ内では守備が上手い選手と上手くない選手の差が非常に大きい。辻監督がそこを立て直し、かつては自身が見せた伝説の走塁のような緻密な野球をと期待していたのだが、2017から今季ここまで、どちらかと言えば大味な野球が多かったように思える。
もし辻監督が、せめて黄金時代の半分くらいの厳しさをチームに注入していれば、また違った結果になっていたのかもしれない。
ライオンズはまだ7試合残っているが、この6連敗はファン心理としては引導を渡されたようなもので、首元には秋風さえ感じられるようになったシルバーウィークとなってしまった。