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2022年11月17日公開

ライオンズの正捕手が背負うべく27番の争奪戦がいよいよ幕を開ける

森友哉捕手の流出は数字的に見ると言うほどダメージは大きくない

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これからはライオンズの正捕手争いが熾烈を極めることになる。まずその候補として名前が上がるのは柘植世那捕手であり、それに続くのが古賀悠斗捕手だと言えるだろう。

そしてもう一人、岡田雅利捕手の名前も挙げなければならないわけだが、よほどの事態がない限り岡田捕手を正捕手とすべきではないと思う。その理由は単純で、来季岡田捕手は34歳となるからだ。この年齢の捕手に、これから正捕手を任せる訳にはいかない。岡田捕手はあくまでも第二、第三の捕手として若手捕手のバックアップに回るのがベストだ。

ライオンズはこれから、長年正捕手として活躍できる捕手を育成しなければならない。この状況で岡田捕手を正捕手にしてしまえば、柘植捕手と古賀捕手の育成速度が鈍ってしまう。かつての細川亨捕手と野田浩輔捕手を競わせたように、今は柘植捕手と古賀捕手を競わせ、その競争に勝った方を正捕手にしていくべきだ。そしてこの競争をより良いものにするためには、ベテラン岡田捕手のサポートが不可欠であるため、やはり岡田捕手にも1軍にいてもらわなければ困る。

筆者の客観的な見方では、森友哉捕手の捕手としての能力は細川亨捕手や野田浩輔捕手よりも劣っている。首位打者を獲れるだけの打力があるため、総合力ではもちろん森捕手の方が上となるのだが、純粋に捕手として見れば、森捕手は球界トップクラスとは呼べない。伊東勤捕手、中嶋聡捕手、細川捕手、野田捕手、炭谷銀仁朗捕手を見て来たライオンズファンには分かってもらえると思う。

彼らを純粋に捕手として見るならば、柘植捕手や古賀捕手はすぐに森捕手のレベルに到達することができるだろう。プレイヤーとして柘植捕手と古賀捕手は、森捕手以上に捕手タイプであるためだ。経験さえ積んでいけば、柘植捕手と古賀捕手はすぐにでも1軍レベルの捕手となるだろう。

そしてバッティングに関して言えば、今季の森捕手は打率.251、本塁打8、打点38、得点圏打率.275という数字で、今季だけで見ればとても3番打者に相応しい成績を残したとは言えない。森捕手は確かに入団以来長く勝利に貢献してくれはしたが、2022年の数字だけで見れば、2022年のライオンズから森捕手の打撃成績を差し引いても大ダメージにはならない。

これが首位打者を獲ったオフであれば大ダメージとなるのだが、.251で8本塁打、38打点程度の数字であれば、十分他の選手たちでカバーすることができる。そういう意味では森捕手が去ったのがこのタイミングだったというのは、ライオンズとしては不幸中の幸いだ。もし今季首位打者を獲得するような成績を挙げていたとしたら、森捕手が去るダメージは計り知れなかった。

森捕手がライオンズを去ったことはライオンズファンとしてはとても悲しい出来事だったわけだが、しかし森捕手の穴は今季の数字をベースにすればそれほど大きくはなく、FAや外国人選手の補強によりすぐに埋めることができるだろう。そう考えると、今このタイミングで森捕手以上に捕手らしいプレーをする柘植捕手と古賀捕手を競わせることができ、飛躍のチャンスを与えられるというのは、寧ろライオンズとしてはラッキーだったと言うべきなのかもしれない。

ライオンズの正捕手に似合うのはやはり背番号27

柘植捕手と古賀捕手も、もちろん打ってくれることに越したことはないわけだが、現状で求められるのはバッティングよりも捕手としての安定感だ。投手陣の良さを上手く引き出しながらも、キャッチャーとしてミスの少ないプレーをしていくこと、これが今何よりも二人に求められている。

細川亨捕手は二度ライオンズを日本一に導いた捕手だ。あの野村克也監督をも唸らせた名捕手であったわけだが、打率が.240を越えたことは一度もない。この数字を目安にすると、柘植捕手と古賀捕手はますは打率.240を越えてくれれば御の字で、さらに言えば今季の森捕手の.251を越えてくれたら大収穫と言えるのではないだろうか。

今季まで、ライオンズには正捕手争いがほとんどなかった。バッティングというアドバンテージがある分、首脳陣も森捕手を外すことができず、捕手として上手く投手をリードできなかったとしても、簡単に森捕手をオーダーから外すことはできなかった。

だが来季は正捕手争いが生まれ、これはライオンズにとっては大きなプラスになるはずだ。名捕手には常に熾烈な正捕手争いが付き纏う。細川捕手と野田捕手、伊東勤捕手と中嶋聡捕手など、良い捕手二人を併用しながら切磋琢磨させることにより、より良いパフォーマンスを発揮した捕手が正捕手となっていく。細川捕手にしても、野田捕手というライバルがいなければまた違った捕手になっていたかもしれない。

基本路線としては来季は柘植捕手と古賀捕手を競争させていくと思うのだが、しかしリードしているのは柘植捕手だと言える。柘植捕手の方が学年が2つ上だし、出場試合数も柘植捕手の方が現時点ではまだ上回っている。そして何よりも年下に負けたくないという気持ちが強いはずだ。

ライオンズはここで原点回帰すべきだろう。柘植捕手と古賀捕手を競わせ、勝った方に背番号27を与えてあげて欲しい。今季までは内海哲也投手がこの番号を背負っていたわけだが、今は空き番号となっている。やはりライオンズの正捕手に相応しいのは27番だと筆者は思うため、この二人のどちらかにいつかは27番を背負ってもらいたい。

現時点では野田浩輔捕手が背負った22を古賀捕手が背負っており、炭谷銀仁朗捕手が入団時に背負っていた37を柘植捕手が背負っている。果たして一年後にはどちらが背番号27を背負うことになっているのか、それとも別の捕手が彗星の如く現れて27番を奪取してしまうのか、来季はこの正捕手争いからライオンズファンは一瞬たりとも目を逸らせなくなる。

西武球団はオリックス球団から誰を人的補償で獲るべきなのか?

さて、話は変わってオリックス球団は二週間以内に28選手分のプロテクトリストを西武球団に届ける必要がある。西武球団は今年のドラフト指名選手と外国人選手を除いたプロテクト漏れした選手の中から人的補償を求めることができる。では西武球団は誰を人的補償として求めるべきなのだろうか。

まず有力選手でプロテクト漏れしそうなのは、今季は成績も芳しくなく出場試合数も少なかったT-岡田選手ではないだろうか。外野手を補強したいライオンズとしてはT-岡田選手は魅力的にも映るが、T-岡田選手は獲得すべきではないだろう。外野手ではあるが来季は35歳となるし、少ない試合数での外野守備ということであれば、栗山巧選手が十分にその役割を果たしてくれる。

やはり西武球団は捕手を指名すべきだ。もちろん森捕手の代役となるような1軍レベルの捕手は獲得できないわけだが、それでもできる限り1軍経験の多い捕手を指名すべきだろう。もしくはトレードで獲得したファイターズの石川亮捕手をプロテクト漏れで獲得できるのであれば、彼を即ライオンズに引き抜いても良いだろう。そうすればオリックス球団はただ単に将来が楽しみだった齋藤綱記投手を失うだけの日本ハムとのトレードだったという結果となり、多少なりとも西武球団はオリックス球団にダメージを与えることができる。

西武球団の選択肢としては、「人的補償+森捕手の今季年俸50%の1億500万円」か「森捕手の今季年俸80%の1億6800万円」かの二択となる。だがファンとしては金銭補償のみという選択肢だけは避けて欲しいところだ。金満球団から1億6800円を得たところで、オリックス球団としては痛くも痒くもない。それならば石川亮捕手を強奪してでも多少なりともオリックス球団にダメージを与えた方がよほど来季の勝利に繋がる。

ちなみに石川捕手はファイターズでは人間的にもとても高く評価されていた選手のため、西武球団としても1軍経験のある石川捕手を獲得して損をすることはないだろう。ただ問題は、石川捕手がプロテクトされるか否かという点だ。もしプロテクトされていなかったのであれば、ライオンズは石川捕手を獲得すべきだ。

そしてもし石川捕手を獲得できなかったとしても、できる限り1軍経験のある捕手を獲得して欲しい。そうすればライオンズの正捕手争いもさらにヒートアップし、若き捕手たちはより高みを目指し努力するようになるだろう。ライオンズとしては今はとにかく正捕手の育成が急務となっているため、渡辺久信GMももちろん人的補償を捕手から求めることを考えているはずだ。

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THE埼玉西武ライオンズガゼット筆者/カズ
筆者 2010年1月よりパーソナルコーチとしてプロ野球選手のサポートを行うプロフェッショナルコーチ。 選手の怪我のリスクを正確に分析し、怪我をしないフォームに変える動作改善指導が特に好評。 このブログではプロコーチ目線でライオンズについて冷静に、そして愛を込めて書いていきます!
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