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2023年8月15日公開

3試合連続で失点している守護神増田達至投手はもう限界なのか?!

名守護神たちでさえも越えられなかった35歳の壁

3試合連続で失点している守護神増田達至投手はもう限界なのか?!

増田達至投手はもう限界なのだろうか?大事な8月攻勢の只中、ここに来て増田投手が3試合連続で失点を続けている。Aクラス入りするためにはもうほとんど連敗が許されない状況のライオンズであるだけに、守護神増田投手の不調はダメージが大きい。

ところで、限界とは一体なんなのだろうか?辞書によれば「その状態を持ち堪えることのできるぎりぎりのところ」とされている。だが増田投手の場合、もはや持ち堪えられないケースが増えてきている。

もちろん増田投手の35歳という年齢を考えれば、ここからさらにレベルが上がっていくということはほぼ考えられない。もちろん不可能ではないが、これまで多くの名守護神たちが越えられなかった壁を、増田投手が越えられる可能性は高いとは言えない。

少なくとも確かなことは、もう連投に耐えられるだけのストレングスは残っていないということではないだろうか。つまり、栗山巧選手中村剛也選手のように、コンディション維持を優先して休ませながら起用していくことが必要ということだ。

そうなると連投が求められる守護神というポジションを任せるのは難しくなってくる。豊田清投手でさえも、35歳となって入団したジャイアンツでは成績は下降するばかりだった。そしてポジションも、1イニングを投げ切らないリリーフ起用(ワンポイント起用を含む)が増えていった。

さらに言えば大魔神佐々木主浩投手でさえも35歳となったマリナーズでの最後のシーズンでは精彩を欠き、その後出戻ったベイスターズでも思い通りのパフォーマンスを発揮することができず、日本復帰後は2年間プレーしただけで引退を迎えている。

豊田投手でも佐々木投手も35歳の壁を越えることはできなかった。そう考えると松井稼頭央監督はそろそろ増田投手の配置転換も考える必要があるだろう。この増田投手の守護神起用にこだわり続けてしまえば、ここ数試合のように最終回に逆転され敗れる試合が増えかねない。

次期守護神との併用や配置転換が望ましい現状の増田達至投手

だからと言って増田投手に今すぐ花道を用意する必要もない。コンディションさえ安定していれば、増田投手はまだまだ勝ち試合での戦力となってくれる。

だからこそ連投が求められる守護神ではなく、連投させない起用も可能となるセットアッパーが現状ではベストではないだろうか。ちなみに豊田投手はジャイアンツ移籍後は、セットアッパーとして新境地を切り開いている。

もしくはこのまま守護神起用を続けるにしても、次期守護神候補と併用していくことが望ましい。例えば今季の成績で見ていくとすれば、ボー・タカハシ投手などは次期守護神として十分役割を果たしてくれるはずだ。

タカハシ投手の今季ここまでの成績は、22試合の登板で28イニングスを投げ、防御率は2.25と安定している。そして何よりもWHIPは1.00というのが素晴らしい。あと数試合三者凡退イニングを作れれば、WHIPは0点台に突入する。

制球力にはまだ課題があるわけだが、それでも死球を恐れずに内角を攻めていく度胸もあるし、奪三振率も6.11とまずまずの数字をマークしている。例えばイメージとして、同じ日系選手だったマイケル中村投手のパフォーマンスによく似ている。

タカハシ投手も連投に耐えうるタフネスさを持ち合わせているため、スタミナを気にすることなく首脳陣も起用していける。あとは奪三振率が今後8〜9点台まで上がってくれば、文句なしで守護神を任せられるようになるだろう。

チームの雰囲気が良い今こそ、増田投手を配置転換する絶好の機会

かつて多くの監督たちが同じ過ちを犯してきた。「功労者だから」「今季はこの選手で勝ってきたから」という温情的な理由で、明らかに調子が落ちているのに勝負どころや短期決戦でその選手の起用にこだわり、結局そこを突かれて敗れるという過ちだ。

例えばライオンズでは2002年、ベンちゃんこと和田一浩選手の大活躍によってリーグ優勝を果たしたわけだが、日本シリーズを前にし調子をかなり落としてしまった。それでも伊原春樹監督は和田選手のクリーンナップ起用を貫き、結局はチャンスがすべて和田選手の打席で潰え、日本シリーズではジャイアンツ相手にまさかの4連敗を喫してしまった。

このような監督の「理想本意」の起用法は勝利を遠ざけるだけではなく、不調なのに起用された選手をも傷つけかねない。だからこそ松井監督には増田投手の守護神起用にこだわりすぎず、増田投手のためにも増田投手をもう少し楽なポジションに移動させてあげて欲しい。

増田投手はタイプ的には守護神にこだわるというよりは、与えられたポジションで全力を尽くすタイプの投手だ。そのため仮にセットアッパーに配置転換したとしても、増田投手がそこで腐ってしまうことは人柄的には絶対にありえない。

首脳陣は増田投手をこのまま守護神起用し続けて潰してしまうよりは、活躍の場を少しずつ移動させながら、いつか引退する最後のシーズンまで1軍で投げ続けられる道筋を示してあげて欲しい。

増田投手と同じ年齢の頃、同じように壁にぶち当たった豊田清投手コーチであれば、きっと増田投手にとって最善となる道を与えてくれると思う。

さすがに守護神が3試合連続で失点するというのは普通の光景とは言えないため、チームが一つになりつつあり、山川事件以降ようやくチームの雰囲気も良くなって来た今こそ、松井監督と豊田コーチには増田投手の配置転換という英断を下してもらいたい。そうすれば増田投手のパフォーマンスももっと安定していき、選手寿命を伸ばすことにも繋がるはずだ。

THE埼玉西武ライオンズガゼット筆者/カズ
筆者 2010年1月よりパーソナルコーチとしてプロ野球選手のサポートを行うプロフェッショナルコーチ。 選手の怪我のリスクを正確に分析し、怪我をしないフォームに変える動作改善指導が特に好評。 このブログではプロコーチ目線でライオンズについて冷静に、そして愛を込めて書いていきます!
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