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2023年12月 4日公開

平野投手にできて増田達至投手にチームをV3に導けないなんてことはない!

平野佳寿投手にできて、増田達至投手にできないなんてことはない

平野佳寿投手にできて、増田達至投手にできないなんてことはない

大ベテラン増田達至投手は今季、4年契約の3年目を終えた。結果としては4勝4敗19S、防御率5.42という成績に終わり、守護神として満足のいくシーズンを送ることはできなかった。

近年、増田投手の活躍は隔年になってきている。2020年は無敗のままセーブ王を獲得し、2021年は8S、2022年は31S、そして今季2023年は上記のような成績となり、良い年と悪い年を交互に繰り返している。となると、来季の増田投手は好成績を残してくれるだろうという期待が高まってくる。

名守護神たちでさえも越えられなかった35歳の壁』でも書いた通り、これまで多くの守護神たちが35歳という壁を打ち破れずにユニフォームを脱いでいった。そして今季は増田投手も同様に35歳となるシーズンを苦しんだまま終えてしまった。

しかし増田投手もここが限界というふうには筆者は考えていない。もちろん増田投手がここから突然変異を遂げ、さらにレベルの高い守護神になることは想像できないが、しかしオリックスの平野佳寿投手は今季39歳だったが、安定したピッチングを続け29Sを挙げている。

そしてオリックスは平野投手がメジャーリーグから戻ってきて以来リーグ連覇を続けている。この平野投手は今季39歳という年齢だったが、オリックスに復帰してから3年連続で安定した成績を残している。平野投手に35歳の壁を破れて、増田投手に破れないなんてことはあるだろうか?

もちろん過酷な守護神というポジションにおいて、35歳を過ぎてなお一線で居続けるというのは容易なことではない。だがスポーツ科学は日進月歩で進歩しており、例えば豊田清投手が35歳の壁に苦しんだ頃と比べると、現代では年齢の壁を破るためのアプローチ方法を、多方面から得られるようになっている。

増田投手の場合、コンディションさえ良ければまだまだ守護神としてマウンドに立ち続けることができる。だが今季は開幕直後に右肩のコンディション不良、そしてペナントレース終了直前には腰痛を患ってしまった。

このようなコンディション不良をトレーナーと共に先回りしながら予防していければ、増田投手は来季はきっと再びセーブ王争いに加わっていくことができるだろう。

感触と実際のフォームにギャップがあったと思われる2023年の増田達至投手

現代ではバイトメカニクスに関連する技術が目に見えて発達してきている。ライオンズもバイオメカニクスチームを持っており、その中で今季は榎田大樹氏や武隈祥太氏がフォームを分析しながら選手を支えていた。

当然増田投手のデータもそこにはあるわけで、増田投手は来季、そのデータをもっと活用すると良いのではないだろうか。なぜそう思うかと言うと、増田投手は今オフのインタビューで「体の変化やフォームは悪くなかった。どこかがおかしかったと思うけど」という言葉を残しているからだ。

これはつまり、増田投手自身の感触としては違和感はなかったわけだが、実際には好調時と比較すると体やフォームに変化があったからこそ、数字が大幅に低下してしまったということになる。もっと平たく言うと、増田投手の"感触"と"実際のフォーム"にギャップがあったということだ。

このギャップを埋められるのがバイオメカニクス技術であり、まさに筆者の専門分野となる。筆者は普段、バイオメカニクスの専門家としてプロ野球選手やアマチュア選手のパーソナルコーチングを行っている。

増田投手レベルともなれば、やるべきことはしっかり分かっているし、やるべきことをしっかりとやっているとも思う。だが筆者の経験上、「今自分はどういうフォームで投げていると思いますか?」と選手に聞き、その答え通りのフォームになっている投手はほとんどいない。筆者が知る限りそこにほとんどギャップがなかったのは、杉内俊哉投手くらいだった。

とすると増田投手も、自分の感触とフォームの間にギャップがあった可能性が高いと言える。来季はライオンズのバイオメカニクスチームをもっと活用することで、増田投手はそのギャップを埋めることができ、成績も再び安定した守護神らしいものへと戻していけるはずだ。

平野投手のように、増田投手もその力でチームをV3へ導け!

増田投手は現在通算194Sで、200Sまであと6つというところまで来ている。この数字は当然来シーズン、早ければ4月中にでも達成していくことが予想されるわけだが、しかし増田投手は200Sではなく、250Sを最低限でも目指していって欲しい。

ちなみに2023年、平野佳寿投手は日米通算250Sを達成して名球会入りを果たしている。増田投手にもここで年齢に負けてしまうのではなく、来季はもっと科学の力を活用して復活を果たしてもらいたい。

今季、筆者は「増田劇場」という言葉を目にするたびに苛つきを覚えていた。ライオンズファンを名乗る者たちがこの言葉を使って増田投手を揶揄しているのには、とてもじゃないが我慢できなかった。

確かに今季、増田投手は幾度もセーブ場面で失敗してしまった。だが首脳陣、そしてチームメイトは増田投手に対し全幅の信頼を置いているからこそ、誰も増田投手を責める者はいなかった。一部のライオンズファンを除いて。

2024年、増田投手には今季増田投手を揶揄した一部のファンを黙らせるようなピッチングを見せてもらいたい。そしてこれは、コンディションに問題がなければまったく難しいことではないはずだ。増田投手にはそれだけの実力と経験値があるのだから。

そして増田投手よりも年上の平野投手がオリックスをV3に導いたように、来季からは増田投手が大ベテランとしてチームを牽引し、ライオンズをV3に導き、2008年以来の日本一を達成してもらいたい。

増田投手は来季は12年目となる。今季ここまで11年間プレーしてきても、実は増田投手は日本シリーズをまだ一度も経験していない。そういう意味でも増田投手はまだまだ老け込んで良い年齢ではないのだ。増田投手の活躍でライオンズが日本一になるまでは、増田投手は決して一線を退いてはならない。

ちなみに増田投手と、バイオメカニクスチームの武隈祥太氏は親友同士だ。そのためきっと筆者の想像以上に増田投手はバイオメカニクスを活用したのだと思うが、しかし生かし切れていない部分も多々あったのだと思う。

せっかく気心知れた人物がバイオメカニクスチームにいるのだから、増田投手も他の若手投手を見習い、もっと科学の力を活用して選手生命をどんどん伸ばしていってもらいたい。そして5年後にもまだまだ守護神としてマウンドを守り続けていて欲しい。

THE埼玉西武ライオンズガゼット筆者/カズ
筆者 2010年1月よりパーソナルコーチとしてプロ野球選手のサポートを行うプロフェッショナルコーチ。 選手の怪我のリスクを正確に分析し、怪我をしないフォームに変える動作改善指導が特に好評。 このブログではプロコーチ目線でライオンズについて冷静に、そして愛を込めて書いていきます!
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