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2024年1月31日公開

中村剛也選手の指南でパームグリップに変更した炭谷銀仁朗捕手

中村剛也選手のアドバイスでパームグリップに変更した炭谷銀仁朗捕手

炭谷銀仁朗捕手

今季、炭谷銀仁朗捕手が6年振りにライオンズに復帰し、自主トレの段階からすでに元気な姿を見せれてくれている。そのような姿見ると、本当になぜ楽天球団が炭谷捕手を戦力外にしたのか理解に苦しんでしまう。

だが楽天球団に関しては2019年オフ、出場機会を求めて自由契約を申し入れた嶋基宏捕手のことも熱心に引き止めることなくリリースしているため、名捕手の経験値を蔑ろにするというのは、もしかしたら楽天球団のやり方なのかもしれない。だがその嶋捕手が最後の教え子となった故野村克也監督なら、このような楽天球団のやり方にはかなりボヤくのではないだろうか。

さて、その炭谷捕手だがこのオフから中村剛也選手の薦めでバットの握り方をフィンガードグリップからパームグリップに変更した。野球選手とゴルファーにはお馴染みの用語であるわけだが、野球の場合、フィンガードグリップは体重移動が主体となるウェイトシフト、パームグリップは体重移動に頼らないステイバックにフィットする握り方となる。

ライオンズ時代の炭谷捕手はウェイトシフトで打っており、調子が良い時はすごく打つのだが、調子が悪くなるとほとんど打てなくなるという好不調の波が激しい打者だった。

巨人・楽天時代もライオンズ時代と同じような打率となっているため、基本的にはウェイトシフトで打っていたのだと思う。ウェイトシフトは高校・大学までであれば、格下に対しては十分通用する。だが同レベル以上やプロの一軍レベルになってくると、現代野球ではウェイトシフトで打率を上げることは困難だとされている。

もちろん今回ステイバックにフィットするパームグリップに変えたからと言って、打ち方までステイバックに変更したかどうかはまだ分からない。それはシーズンが始まって炭谷捕手が打席に立った時に分かるだろう。だがステイバックに関しては、中村剛也選手や栗山巧選手は熊澤とおるコーチからしっかりとした指導を受けている。

そのため今回パームグリップを勧めた中村選手が、炭谷捕手にステイバックを伝授することも十分可能だろう。実際自主トレでは中村選手は、渡部健人選手と巨人の岡本和真選手にステイバックを伝授している。

37歳にしてキャリアハイを目指せるかもしれないまだまだ元気な炭谷銀仁朗捕手

かつて炭谷捕手は「城島二世」と呼ばれるほど、強打の捕手として期待されていた。そしてその期待に応えるべく炭谷捕手はルーキーイヤーの開幕戦からプロ初ヒットを放ち、その数試合後には満塁ホームランも放って見せた。ちなみに高卒ルーキーの満塁ホームランは清原和博選手以来20年振りで、しかも高卒新人捕手としては史上初の快挙だった。

だがその打棒が続くことはなく、打席に立てば立つほど相手バッテリーに弱点を見破られるようになり、打率が上がっていくことはなかった。それでもルーキーイヤーから強打の捕手の片鱗を見せていたことは確かだ。

コラムで度々書いている通り、ステイバックというのはミート力と長打力を同時にアップさせることが可能な技術となる。それなのに日本のプロ野球では今なおステイバックを理論的に教えられるコーチが少ないし、その理論を自ら学ぼうとしている選手も少数派だ。

だが今までウェイトシフトで打つことで泳がされることや、引っ掛けることも多かった炭谷捕手が、もし今季本格的にステイバック打法に取り組んだとしたら、37歳にしてキャリアハイの成績を残す可能性も十分ありうるだろう。

しかもベテランとなると通常は年々出場機会が減っていくものだが、炭谷捕手の場合は昨季こそ65試合に留まっているものの、2021〜2022年は2年連続で90試合以上に出場し、まだまだ一軍の戦力になることを証明してきた。

もちろん今季、炭谷捕手が正捕手として常時起用されることは考えにくいわけだが、しかし万が一でも古賀悠斗捕手柘植世那捕手がのんびりしているようであれば、炭谷捕手が一気にレギュラーを奪い取ることになるだろう。

そしてバットの握り方をパームグリップに変え、さらにステイバック打法まで見せてくることがあれば、炭谷捕手は37歳にして強打の捕手としてようやく花開くことになるかもしれない。そういう意味でも今季炭谷捕手がどんな打撃フォームを見せてくるのか、まずは筆者はオープン戦での炭谷捕手の登場を心待ちにしたいと思う。

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THE埼玉西武ライオンズガゼット筆者/カズ
筆者 2010年1月よりパーソナルコーチとしてプロ野球選手のサポートを行うプロフェッショナルコーチ。 選手の怪我のリスクを正確に分析し、怪我をしないフォームに変える動作改善指導が特に好評。 このブログではプロコーチ目線でライオンズについて冷静に、そして愛を込めて書いていきます!
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