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2024年6月24日公開

全盛期前の若林楽人選手を出して獲得したのは30歳目前でこのトレードに価値はあるのか?!

届いた報せは一軍復帰ではなく、若林楽人選手の巨人への放出だった

若林楽人選手

今日はライオンズファンにとって非常にショッキングなニュースが飛び込んできた。何と若林楽人選手がトレードでジャイアンツに移籍するという報せだった。そして代わりにライオンズにやってくるのは松原聖弥選手だ

松原選手は育成出身の選手で2020年から台頭し始め、2021年には135試合に出場して打率.274というそこそこの好成績を残した。しかし2022年から今年にかけてはほとんど活躍することができていない。確かに2021年はそれなりの活躍を見せた松原選手ではあるが、ライオンズの危機を救える選手かと言えばまったくそんなことはないと言える。

西武球団としては一・二番タイプの打者を求めてのトレードだったようだが、果たして若林選手を出す価値があるほどのトレードだったのだろうか。なお若林選手は子どもの頃から西武ファンで、中島裕之選手や片岡易之選手に憧れてプロ入りしてきた選手だ。最近ではセカンドにコンバートし、生き生きとした表情を見せながら二塁手として守っていた。そのため外崎修汰選手の後継とも目されたわけだが、果たして西武ファンでライオンズ愛を持っていた若林選手を出してもよかったのだろうか。

筆者個人としては若林選手には大きな期待を寄せていた。キャプテンシーもあり人格者で、チームメイトからもファンからも愛されていた選手だ。確かに近年は膝の怪我により思うようなプレーはできておらず、今季も手術後の膝に動きを慣らしている最中だった。だからこそ筆者は思うのである、ライオンズで怪我をした選手なのだから、100%の完全回復となるまではライオンズで面倒を見るべきではないだろうかと。

突発性の腰痛から復帰した後は、最近は二軍でもよく打っていた。そして近年期待通りの打率を残せていない外崎選手に代わり、今後は若林選手が打線を引っ張っていくのではないだろうかとも思われていた。ファームではそれほどよく打っていたのだ。そのため一軍復帰も近いと筆者は考えていたのだが、しかし届いた知らせは一軍復帰ではなく、ジャイアンツへの放出だった。

西武球団はなぜ全盛期を迎える若林選手を出して30歳を迎える松原選手を獲ったのか?!

年齢的には、学年年齢で今季30歳の松原選手に対し、若林選手はまだ26歳だ。30歳でほぼ伸び代のない松原選手に対し、若林選手は昨オフようやく膝の金具を除去することができ、これからいよいよ本格的に上り詰めていくと見られていた。今季はファームでも一軍でもサヨナラホームランを打っており、華もある選手だった。

そんな若林選手を出して得たのが松原選手であり、ファン心理としては決して釣り合っているとは思えないトレードとなった。なお今季ファームでの成績は若林選手の打率.323に対し、松原選手は.238でしかない。ハッキリ言ってこれは補強にはなっていない。西武ファンでライオンズ愛を持った若林選手を出す価値はないトレードだ。

そもそもリードオフマンということで言えば、若林選手だって十分リードオフマンを目指せるタイプの選手だ。それこそ若林選手が憧れる片岡易之のように、パンチ力もある一番打者として活躍できたはずだ。これがせめて松原選手が若林選手よりも若いのであればまだしも、今年30歳なのだから、ここからさらにレベルが上がってくることは考えにくい。

アスリートの全盛期は27〜29歳の3年間だと言われている。この3年間で伸びることができなかった選手は、それ以降で伸びる可能性はほとんどないのだ。もちろん遅咲きタイプの選手もいるわけだが、それは非常にレアなケースであり、20代で活躍できなかった選手が30代になって突然活躍し出すケースはほとんどない。そしてなぜ西武球団はいよいよアスリート的に全盛期を迎える前の年というタイミングで若林選手を出してしまったのだろうか。

松原選手にしてももしかしたらある程度の活躍はできるのかもしれないが、30歳を間近に控えここからキャリアハイを目指せるかと言えばそんなことはないだろう。もちろん不可能ではないが、今季はライオンズと同じイースタンリーグでもほとんど打てていない選手が、果たしてパ・リーグの一軍で心機一転を理由だけに活躍することなどできるだろうか。

繰り返すがもちろん不可能ではない。不可能ではないのだが、筆者個人としては松原選手に対してはほとんどワクワク感がないのだ。若林選手が打席に立った時のように、「もしかしたらまたサヨナラ弾みたいなド派手なことをしてくれるのではないだろうか?!」という気持ちを持てないのだ。いや、もちろん松原選手に対しては非常に失礼になるわけだが。

マスコミ受けも非常に良かった好感度抜群の若林楽人選手

西武球団は地域密着を謳っているわけだが、しかしそれは12球団の大半がそうしている。そのため地域密着ということ自体は特別珍しいことではないわけだが、しかし地域密着を謳うのであれば、ライオンズ愛を持っている選手の放出は避けるべきではなかっただろうか。子どもの頃からライオンズファンだった若林選手を出すべきではなかったのではないだろうか。

そもそも放出するのであれば、一体なんのためのセカンドへのコンバートだったのだろうか。もちろんプロの世界であるためトレードは黙って受け入れるべきなのだろうが、しかしファンとしてはそう割り切れるものではない。成績が伴わないのに髪や髭を伸ばしてチャラチャラしているわけでもないし、昨オフFAで移籍していった選手のようにマスコミからの評判が悪かったわけではない。むしろ逆にかつてのイチロー選手のように、着ているTシャツのロゴさえも注目されるような選手だった。

筆者が知る限り、ライオンズを取材している記者の方と話した中では若林選手は抜群に好感を持たれていた。なお昨オフFAで出て行った選手は人によって態度を変え、まともにぶら下がり取材に答えるのはルックスの良い女性記者に対してのみだった。しかし若林選手はまったくそのような悪評のない選手だ。

残念ながら松原選手の野球以外の面については筆者はほとんど何も知らない。セ・リーグの試合は交流戦と日本シリーズでしか観ない筆者としては、松原選手に対する印象は「数年前に少しだけ活躍した選手」という程度だ。そのため松原選手に関しては今はまだ何かを書くことはできないわけだが、しかし渡辺久信GMや潮崎哲也編成ディレクターがGoサインを出したのだから、若林選手を放出してでも獲得する価値のある選手なのだろう。

若林選手とブランドン選手のコンビには非常に大きな期待を寄せていた筆者個人としては、今はそう思うのが精一杯だ。そしてきっと多くのライオンズファンが今、心の整理ができない状態だと思う。だが若林選手を出してでも獲得した選手なのだ。松原選手にはそれ相応のしっかりとした活躍を期待するしかない。そして松原選手にはその活躍によって我々ライオンズファンを納得させてもらいたい。

それにしても今日は、若林選手を一年目から本気で応援していた筆者にとっては朝から辛い誕生日になってしまった。

THE埼玉西武ライオンズガゼット筆者/カズ
筆者 2010年1月よりパーソナルコーチとしてプロ野球選手のサポートを行うプロフェッショナルコーチ。 選手の怪我のリスクを正確に分析し、怪我をしないフォームに変える動作改善指導が特に好評。 このブログではプロコーチ目線でライオンズについて冷静に、そして愛を込めて書いていきます!
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