2021年1月10日公開
渡辺久信GMは松坂大輔投手に関し、春季キャンプは不参加にさせる可能性を示唆した。松坂投手は昨年7月に、首の痛みと左手のしびれを治すための手術を受けており、以来家族がいるアメリカで懸命なリハビリを続けている。
辻発彦監督も「見通しが立たない」と話している通り、今季開幕に間に合う目処はまったく立っていない。そのため渡辺GMも春季キャンプに参加させるために無理に来日させるのではなく、まずはしっかりと治し、投げられる状態になり、コロナウィルスの状況も改善した後で来日させるつもりでいるようだ。
筆者個人としても渡辺GMの考えには賛成だ。仮に松坂投手の年俸が1億円だったとすればそれでは困るわけだが、今季の年俸は推定2000万円で、今年41歳になる年齢を踏まえても無理をさせる必要はない。チームに疲労が見えてきた後半戦に颯爽とカムバックして、チームを救う活躍をピンポイントで見せてくれれば良いと思う。
現状、松坂投手に二桁勝利を求めることはできない。それならば気温も上がった後半戦、もしくは交流戦明けくらいを目処に松坂投手自身の開幕を設定し、まずはシーズン4〜5勝程度を目指すくらいの起用法で十分だと思う。
しかしだからと言ってのんびりし過ぎることも許されることではない。松坂投手にはチームに貢献するピッチングをすることだけではなく、百戦錬磨のその経験値を後輩たちに継承してもらうという役割もある。
つまりいつまでもアメリカでリハビリだけをしてもらっていては、マウンドで投げることができないだけではなく、後輩たちにその経験を伝えることもできないということだ。
特に今季のルーキー、育成ドラフト1位の赤上優人投手の憧れの人はまさに松坂大輔投手であり、入寮時には「松坂モデル」のグラブを持参しているほどだ。この投手を育成の星として輝かせるためにも、松坂投手の力添えは不可欠だ。
この記事を書いている最中、松坂投手に関する最新のニュースが飛び込んできた。なんとアメリカでリハビリ中だと思われていた松坂投手だが、コロナウィルスの状況悪化が本格化し始めたことを踏まえ、飛行機の往来が再び止まる前の2020年の内にすでに来日していたようだ。
そして春季キャンプに関してもB班の春野で参加する形になるらしい。開幕に間に合わなかったとしても、とにかく春季キャンプに参加できる形になったというのは現時点では最良だったと思う。
松坂投手には自身のリハビリを進めながらも、内海哲也投手とともにB班の若手投手たちにその経験値を伝えてあげて欲しい。そしてこの左右両腕の経験値により、ライオンズには再び投手王国と呼ばれるチームになっていって欲しい。
投手王国と呼ばれた黄金時代には渡辺久信投手、工藤公康投手、郭泰源投手、石井丈裕投手、新谷博投手、松沼博久投手などなど、錚々たる先発投手陣の顔ぶれがあり、3連戦3連敗などまずあり得なかった。
辻監督の理想もやはり、ディフェンス力で勝てる野球だと思う。それを実現させるためにも松坂投手の経験値は年俸2000万円以上の価値がある。まだ投げられないのであれば、投げずにチームに貢献することもできる。今松坂投手に求められているのは自身のリハビリとともに、そういう面である筆者は思うのである。