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2024年1月23日公開

外崎修汰選手はフォーム改造によりトリプルスリーの可能性も見えてきた!

期待通りの活躍を打撃ではなかなか見せられずにいる外崎修汰選手

外崎修汰選手

外崎修汰選手は毎年のように大きな期待をされながらも、なかなか期待通りの活躍をできずにいる。2019年に関しては26本塁打で90打点をマークしていよいよ覚醒かとも思われたが、マークが厳しくなった翌年は8本塁打で43打点と、大きく成績を落としてしまった。

そしてその後も2023年まで、常に主力として期待されながらも主力に相応しい数字を残せないシーズンが続いている。だが守備力に関しては抜群で、源田壮亮主将との二遊間コンビは球界No.1と言って差し支えないだろう。

そんな外崎選手だが、このオフは打撃フォームの改造に取り組んでいる。今まではどちらかと言えば、反対打席から見ると綺麗な二等辺三角形に見えるようなフォームで打っていたのだが、実はこの打ち方は野球科学的には非常に中途半端な技術であり、成績を安定させられない典型的なフォームとして認知されている。

打撃フォームには主に2種類、体重移動をするウェイトシフトという打ち方と、体重移動に頼らないステイバックという打ち方があるのだが、現代野球では日米ともに、毎年のように安定した成績を残している打者のほとんどはステイバックで打っている。

だが外崎選手の場合はステイバックでもウェイトシフトでもない打ち方で打っていたのだ。スウィングしている見た目に関してはすごくバランスが良いように見えるため、昭和を引きずるような指導をされている野球指導者に関しては、プロアマ問わず実はそのような、二等辺三角形を描く打ち方を指導することが多い。

その打ち方を外崎選手はこのオフ変えてきたわけだが、外崎選手のコメントを聞く限りでは、恐らくはステイバックという打ち方にしたのではないかと思われる。現在外崎選手は浅村栄斗選手のグループで自主トレをしているわけだが、浅村選手はまさにライオンズ時代からステイバックで打っていた選手の一人だ。ちなみに浅村選手にステイバックの技術を教えたのは熊澤とおるコーチである。

外崎選手はあるメジャーリーガーの打ち方を参考にしたと話しているが、しかしその打ち方に関しては浅村栄斗選手からもかなりアドバイスをもらえたはずだ。筆者個人としては浅村選手が抜けた後は、外崎選手に浅村選手のような存在になってもらいたいと思っていたのだが、しかし外崎選手はなかなかその域まで到達することができずにいる。それを打破するためにも外崎選手はこのオフ、ステイバックに挑戦する決意をしたのだろう。

ステイバックをマスターすれば外崎修汰選手はトリプルスリーを目指せる!

筆者がプロアマ選手を指導する際も、基本的には打者にはステイバックという技術を指導していく。もちろん選手がウェイトシフトに拘っている場合は話は別だが、拘っていない場合はやはりステイバックを身につけた方が成績は圧倒的によくなるからだ。現に筆者が指導するアマチュア選手たちの多くが、打率.400〜.500をマークできるようになった。

例えばプロ野球の世界で言うと、ジャイアンツの坂本勇人選手は2015年くらいまではウェイトシフトで打っており、その結果好不調の波が大きな選手だった。だがそれをステイバックに変えた2016年には打率がいきなり.344まで跳ね上がり、その後も打率と長打力を同時に伸ばしていくことに成功している。

外崎選手の場合はあるメジャーリーガーを参考にして、ポイントを体に近づけるフォームに変えたとのことだが、これはまさにステイバック特有の動作となる。ちなみにライオンズで言えば、まだステイバックという言葉が一般的に認知される以前、金森栄治打撃コーチがステイバックを指導していた。

その金森コーチの指導を受けてアレックス・カブレラ選手は技術力を高め、ライオンズ史上最強の助っ人となっていくわけだが、そのカブレラ選手は西武球団が金森コーチを解任した際に猛反対した。それくらいカブレラ選手は金森コーチを信頼していたのだ。

そしてその後は、熊澤とおるコーチがステイバック技術をライオンズに再度持ち込み、中村剛也選手栗山巧選手選手、浅村栄斗選手と続々と名スラッガーを誕生させていった。その系譜を今外崎選手も辿っていこうとしているわけだが、もし外崎選手がステイバックを身につけられれば、3割・30本・30盗塁という数字にも手に届くようになるだろう。

ポイントゲッターとしての役割から解放される2024年の外崎修汰選手

コルデロ選手アギラー選手が加入した2024年は、外崎選手には基本的にはポイントゲッターとしての役割は求められなくなるはずだ。もちろん走者がいれば外崎選手に還して欲しいわけだが、しかし基本的に求められる役割はチャンスメイクとなるだろう。

外崎選手は昨季26盗塁したように走力もあるため、リードオフマンを任せようと思えば任せられる。ただこれまではライオンズは大砲不足に悩んでいたため、どうしても外崎選手をポイントゲッターとして起用しなければならなかった。だが大砲不足が解消された今季は、外崎選手を常時リードオフマンとして起用し、源田主将との1・2番コンビを組ませても良いのではないだろうか。

昨季の.260という打率は、やはり期待されている外崎選手の数字としては非常に物足りない。2018年にマークした.287という数字は最低でも超えていかなければならない。そしてそのためにこのオフは打撃フォームの改造に着手したのだと思う。

ちなみにステイバックを身につけてポイントを体の近くに持ってくると、それだけボールを正確に見極めることができ、打率は目に見えてアップしていくことになる。そしてステイバックをマスターし、体重を軸脚に乗せ切ったまま振っていくと、何も意識しなくても自然と頭の移動もなくなっていくため、それもやはり打率をアップさせていくことになる。

さらにはステイバックという技術は軸脚のバックヒップターニングという動作で始動していくのだが、これはまさに下半身主導の典型的な動作となり、これまでの外崎選手がミスショットした時のように泳がされることも確実に減っていくはずだ。なぜそうなるかと言うと、体重を軸脚にしっかりと乗せ切ることにより体が前に突っ込みにくくなり、多少泳がされたとしても軸脚にもう一度乗り直すという意識を持つことにより、泳がされた後でも修正できるようになるからだ。

ステイバックの専門的な説明をしてしまうとこのコラムが永遠に書き終わらなくなってしまうため省略するが、とにかく確実に言えることは、ステイバックは体重移動に頼った打ち方よりもはるかに成績が安定するようになるということだ。

ただ外崎選手の場合はこれまで、ステイバックとも言えないし、ウェイトシフトとも言えないフォームで打っていたのだ。そのため調子が良いと飛距離が伸びていくのだが、一度崩れてしまうとなかなか修正できなくなり、その結果.274という打率を残した2019年以降の打率は2020年が.247、2021年が.220、2022年が.215と完全に右肩下がりとなっていった。

2023年に関しては.260とやや持ち直したようにも見えたが、しかし上述した通り、.260という数字は外崎選手に求められている数字ではない。外崎選手はやはり3割という数字を超えていかなければならない選手だと筆者は考えている。

そして今季もしステイバックをしっかりと身につけてシーズンインすることができたならば、外崎選手は今季、間違いなくキャリアハイの成績を残していくはずだ。外崎選手は今年は32歳になるシーズンを迎えるわけだが、まだまだ老け込むことなくここからさらに進化することによって、今季は今まで以上に素晴らしい活躍を見せてくれるはずだ。

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THE埼玉西武ライオンズガゼット筆者/カズ
筆者 2010年1月よりパーソナルコーチとしてプロ野球選手のサポートを行うプロフェッショナルコーチ。 選手の怪我のリスクを正確に分析し、怪我をしないフォームに変える動作改善指導が特に好評。 このブログではプロコーチ目線でライオンズについて冷静に、そして愛を込めて書いていきます!
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