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2024年9月14日公開

今季はリリーフ転向によってフォームを崩してしまった松本航投手

松本航投手

やはり松本航投手はリリーフに回ったことでフォームを崩してしまっていると思う。リリーフに回る前は先発として、勝ち星こそ思ったように付いてはいなかったが、それでもマダックス(100未満での完封勝利)を狙えるほど、打たせて取るというスタイルを確立しかけていた。

元々ボールに力がある松本投手ではあるが、今季は力で押すピッチングではなく、小さく動く変化球で上手くバットの芯を外すピッチングが上手くいっていた。だがそこから急にリリーフに転向させられたことにより、腕をリラックスさせて振って上手くいっていたことが、力強く投げ始めてしまったことにより色々と上手くいかなくなってしまった。

今日の試合のフォームを見ていても、決してフォームがバラバラというわけではないのだが、リリーフ時のようにどこか力で押しに行っているような姿も見られた。そして腕の振りに関しても、どこかスッキリ振り抜けていないようにも見えた。ファームではそのあたりを調整していたと語る松本投手だが、もしかしたらまだ調整途中だったのかもしれない。

豊田清投手コーチとしては甲斐野央投手を肘痛で欠いたことで、松本投手には自身の現役時代のように先発からのリリーフ転向で大成して欲しいという願いも込めてのリリーフ転向打診だったのかもしれない。だが結果的にこの転向は上手くいかなかった。だがもし豊田清投手のように先発から「守護神」への転向ということであれば、松本投手のモチベーションも変わっていただろう。だが実際にはそうではなく、甲斐野投手の代役というポジションだったため、リリーフに対して気持ちを入れ切ることができなかったのかもしれない。

先発に戻ってからも、松本投手は先発へのこだわりを口にしている。それを考えると、やはり松本投手は一年間先発投手として起用すべきだったと思うし、今季に関してはやや可哀想な起用法だったなという印象を筆者は持っている。そしてこれに関しては豊田清投手コーチの失策と言えるのではないだろうか。

残念ながら今季の松本投手の成績は1勝8敗で防御率は3.50となっている。松本投手は「チームに貢献したい気持ちが強い」という言葉を口にすることも多く、早々とメジャー移籍を公言する髙橋光成投手平良海馬投手とは異なる気持ちでライオンズのためにプレーしてくれている。だからこそ豊田コーチからのリリーフ転向打診も快く受諾したわけだが、しかし来季以降は一年間先発投手として勝負させてあげたい。

松本投手は力むことなくスッと腕を振って投げている時は、まるでファイターズ時代の良かった時期の有原投手のようなピッチングを見せてくれる。もし今季、シーズンを通してマダックスを狙えた時のようなピッチングを続けられていれば、確実に二桁勝利を挙げられていたはずだ。もちろん打線の援護次第ではあるが、リリーフ転向前はそれほどのピッチングを垣間見せることもあったのだ。

だが松本投手は今年28歳とまだまだ若い。来年再来年は、これまで磨いてきた投球術によって毎年のように二桁勝利を挙げられる投手になるだろう。そのためにも松本投手には今後は、先発としての調整に集中させてあげたい。

THE埼玉西武ライオンズガゼット筆者/カズ
筆者 2010年1月よりパーソナルコーチとしてプロ野球選手のサポートを行うプロフェッショナルコーチ。 選手の怪我のリスクを正確に分析し、怪我をしないフォームに変える動作改善指導が特に好評。 このブログではプロコーチ目線でライオンズについて冷静に、そして愛を込めて書いていきます!
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