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2024年2月21日公開

【春季キャンプリポート / 2月21日】直球とフォークの質が戻って来た松本航投手

危機感にも似た闘志が感じられる6年目の松本航投手

松本航投手

今季の松本航投手からは、何やら危機感のようなものが感じられる。松本投手はルーキーイヤーにいきなり7勝を挙げ、2年目は6勝、3年目には初の二桁となる10勝を挙げたわけだが、その翌年からは2022年が7勝、2023年は6勝と成績が下降傾向にある。

だが今季は開幕ローテーション入りも有力視されているルーキー武内夏暉投手や、中学時代に兵庫代表でチームメイトだった甲斐野央投手が新加入したことにより、松本投手の闘志にも再度燃え上がるものが出てきたのだろう。

武内投手の評価は非常に高く、松坂大輔臨時コーチも開幕ローテーション入りに太鼓判を押している。そしてそれは松本投手にとって今季は、開幕ローテーション入りすることさえ容易ではなくなったことを意味する。もちろん松本投手も有力な開幕ローテーション候補ではあるが、仮にオープン戦で不甲斐ない姿を見せてしまった場合は、開幕ローテーション入りは今まで以上に難しくなるはずだ。

松本投手の場合、勝負どころでやや力んでしまうことにより、ピッチングが単調になる悪い癖があった。力んでしまうとやはり制球は少しずつ甘くなるし、ストレートの伸び、変化球のキレも低下してしまう。そのため松本投手が一年間安定したピッチングを見せるためには、常時必要以上に力まずに投げ続けられるかにかかっている。

調子が良い時の松本投手のストレートの力強さはまさに半端ではない。そういう意味では調子が良い時はどんどん力で押していけるのだが、やや調子が落ち始めた時に同じようなピッチングをしてしまうと、ストレートが打者に合わされやすくなり余計に力を入れてしまい、その結果さらに球質が低下してしまうという悪循環に陥ってしまうことが多々あった。

髙橋光成投手は西口文也現2軍監督から力の抜き方を教わり覚醒していった。松本投手も同様に力の抜き方を身につけることができれば、もっと安定して球質の良いボールを投げ続けられるはずだ。そして松本投手の場合安定感さえ向上させることができれば、すぐにでもタイトル争いに加わっていけるだろう。

そして今季はテンポ良く投げるられるようにするため、昨季までは二段モーション気味に上げていた左脚を、今季は一段階でサッと上げるだけのフォームに改良している。と言うよりは、以前のその形に戻したと言った方が正確かもしれない。そしてこのフォーム変更により、ストレートの伸びやフォークの落ちがまた良くなってきたと言う。

10勝した際の奪三振率は7.82と、完投すればほぼ8奪三振という数字を残していた。だが6勝に終わった昨季の奪三振率は6.87で、ルーキーイヤーの水準に戻ってしまった。しかしストレートの質が戻って来た今季は、再び8.00前後の奪三振率を残していけるだろう。

奪三振率が向上し、逆に昨季は3.70だった与四球率がもっと小さい数字になっていけば、自ずと1.29だったWHIPも良くなっていき、そうして背負う走者が少なくなっていけば勝ち星も自然と増えていくはずだ。

松本投手はかつては三本柱とも呼ばれていた投手だ。だがこの春は先発ローテーションが確約されているわけではない。昨季の前半戦はかなり苦しんだ松本投手だったが、後半戦に関しては2点台の防御率で好投することが多かった。昨季後半のその流れを汲み、さらにレベルアップさせたピッチングを披露することができれば、松本投手は最多勝争いに加わっていてもまったく不思議ではない。

逆を言えば、今までタイトル争いに加わっていなかったことの方が不思議だと言える投手のはずで、だからこそ今季松本投手にはただローテーションを守るだけではなく、投手主要タイトルを獲得するくらいの活躍を見せ、一気にエースの座をもぎ取っていってもらいたいと筆者は大きな期待を寄せているのである。

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THE埼玉西武ライオンズガゼット筆者/カズ
筆者 2010年1月よりパーソナルコーチとしてプロ野球選手のサポートを行うプロフェッショナルコーチ。 選手の怪我のリスクを正確に分析し、怪我をしないフォームに変える動作改善指導が特に好評。 このブログではプロコーチ目線でライオンズについて冷静に、そして愛を込めて書いていきます!
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