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2023年12月22日公開

山本由伸投手の譲渡金は70億円、ではもし髙橋光成投手が今オフ移籍していたらいくら?

今オフ髙橋光成投手のポスティングを容認して西武球団が得られるメリットはない

ポスティングでのメジャー移籍を目指す髙橋光成投手

現在ライオンズでは髙橋光成投手平良海馬投手が近い将来でのメジャー移籍志望を表明している。

髙橋投手に関しては今オフにでもポスティング申請して欲しいという要望を西武球団に出していたが、これは当然のごとく却下されている。渡辺久信GMも、髙橋投手は好成績を残しはしたが、成績は群を抜いたものではなかったし、優勝もしていないことを却下の理由として語っている。

ちなみに髙橋光成投手の通算成績は65勝57敗で、わずかに通算8つの貯金しかチームにもたらしてはいない。逆に今オフメジャー移籍をする山本由伸投手は今季だけで16勝6敗と10の貯金をチームにもたらし、通算では70勝29敗で、41の貯金をチームにもたらしていいる。

その山本投手の譲渡金として、ドジャースからオリックス球団に支払われる額はなんと70億9000万円となる。確かに今オフ髙橋投手がポスティング申請すれば、どこかは入札しただろう。だがその場合、西武球団が得られる譲渡金が10億円を上回ることは考えにくい。

メジャーのどの球団であっても、髙橋投手に年俸3億ドルどころか、1億ドルすら支払う球団はないだろう。そうなるとポスティング申請をしても、西武球団が得られる譲渡金は微々たるものになり、これまでの髙橋光成投手に対する投資をしっかりと回収できるだけの規模にはならない。

もちろん現実問題として、来季髙橋投手がいきなり山本由伸投手レベルの成績を残せるようになるとは思えない。16勝6敗という数字は、もちろん髙橋投手次第ではクリアできる数字だとは思うが、しかし三年連続投手四冠ということになると、とてもじゃないが今の髙橋投手が超えて行けるとは思えない。

選手としてメジャーに挑戦したいという気持ちはよく分かるし、それに関しては筆者はいつも前向きな姿勢で応援をしている。だがメジャー移籍を目指すのであれば、少なくともパ・リーグ内では突き抜けた存在になる必要がある。

現時点での髙橋投手の成績、さらに言えば平良投手も同様だが、彼らの実績に対し大型契約を結ぶメジャー球団は出てこないだろう。すると西武球団も期待ほどの譲渡金を得ることはできず、早々と彼らのポスティング移籍を容認するメリットは一つもないと言える。

メジャーリーガーと比べるとかなり見劣りする髙橋光成投手のパワーボール

ちなみに山本由伸投手のピッチングは、純粋に日本人タイプのパフォーマンスだと言える。力でグイグイ押しに行くのではなく、伸びのあるストレートで球速表示以上の速さを打者に感じさせ、巧みな投球術で打者を打ち取るタイプの投手だ。

このような純日本人タイプの投手の場合、アメリカには同じタイプの投手がほとんどいないため、希少価値が高まる。だが髙橋投手や平良投手はどちらかと言えばパワーピッチャーであり、本人たちもそれを認めるかのような発言や行動を常々している。

メジャーリーグという世界は、実は変化球で打者を打ち取ってもそれほど高い評価は得られない。ストレート系のボールでバットを圧し折るくらいのパフォーマンスを見せるとようやく評価されるようになる。

もちろん一部の超技巧派タイプは別として、並の投手の場合はパワーを見せつけてようやく評価され、注目されるようになる。だが髙橋投手と平良投手のパワーは、メジャーリーグの投手たちのパワーと比べるとかなり見劣りする。球速にしても球威にしても、髙橋投手と平良投手はメジャーリーグ内では、せいぜい並レベルかそれ以下だと言えるだろう。

仕事でメジャーリーガーのフォーム分析もしたことがある筆者だからこそ思うことだが、正直現時点の髙橋投手と平良投手のレベルでは、メジャーではさほど通用しないと思う。特に先発としてはかなり苦しむことになるだろう。

ポスティング移籍をするために今髙橋光成投手が考えなければならないこと

西武球団にはかつて、松坂大輔投手がポスティング移籍した際に約60億円の譲渡金を受け取った歴史がある。もちろんこの60億円すべてを使えるわけではなく、税金として約半分を差し引かれ、だいたい35〜40億円程度実入りとなった。

この時の譲渡金により西武ドームは大規模改修を行うことができ、ライオンズファンにとって西武ドームは、空調がないことを除けばとても快適な観戦空間へと変わっていった。

ちなみに菊池雄星投手の譲渡金は9億円程度で、税金を差し引くと実入りはだいたい5億円程度ということになるだろうか。松坂投手の譲渡金と比較をするとかなり見劣りし、西武球団としてはまったく期待にそぐわない金額だったと言える。

その菊池雄星投手もNPBでの8年間で73勝46敗という成績を残し、通算では27の貯金をチームにもたらしている。それでも譲渡金はたったの9億円だった。もちろん当時は円高で、現在は超円安ということも大きく影響してくるわけだが、菊池投手の成績でも9億円なのだから、髙橋投手や平良投手が今メジャー移籍をしたとしても、西武球団はほとんど譲渡金を受け取れない状況となるだろう。

渡辺久信GMも、だからこそ「圧倒的な数字を残していない」というニュアンスの言葉を今オフも、昨オフも髙橋投手に対し伝えている。つまり渡辺GMの頭の中には「今髙橋投手をポスティングにかけても大した譲渡金は得られず、まったくビジネスにならない」という考えがあるということだ。

果たして髙橋投手はそこまでの考えを持っているだろうか?ただメジャーに行きたいという気持ちばかりで、お世話になっている西武球団側の損得にまで頭は回っているだろうか。

ビジネスはWin-Winの関係を築けてこそ繁栄していく。髙橋投手や平良投手が本当に近い将来ポスティング移籍を目指すのであれば、松坂大輔投手やダルビッシュ投手、もしくは山本由伸投手ほどの譲渡金とまでは行かなくても、せめて30億円程度の譲渡金を西武球団にもたらすくらいの気持ちを持ってもらいたい。

もちろんメジャー移籍に関しては筆者は応援するが、しかし西武球団側の損得をまったく考えず、ただメジャーに行きたいと言っているだけの選手に関しては、筆者は素直に応援する気にはなれないかもしれない。

山本由伸投手レベルの成績を残していればそんなことを考えずとも、球団には莫大な譲渡金が支払われる。だが髙橋投手や平良投手のクラスであれば、今はまだ自分が移籍したことでどれくらいの譲渡金が西武球団に支払われるのかということを考えながら、ポスティング希望を口にしていくべきではないだろうか。

THE埼玉西武ライオンズガゼット筆者/カズ
筆者 2010年1月よりパーソナルコーチとしてプロ野球選手のサポートを行うプロフェッショナルコーチ。 選手の怪我のリスクを正確に分析し、怪我をしないフォームに変える動作改善指導が特に好評。 このブログではプロコーチ目線でライオンズについて冷静に、そして愛を込めて書いていきます!
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