2024年3月15日公開
埼玉西武ライオンズvs福岡ソフトバンクホークス/オープン戦
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E | |
Lions | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 1 | 1 | 0 | 0 | 4 | 8 | 0 |
Hawks | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 6 | 1 |
ペイペイドームで行われたこの日のホークス戦、ライオンズとしては非常に後味の悪い結果となった。まず予想されたのは、山川選手に対するライオンズファンからの大ブーイングだった。しかし当の山川選手は結局この試合には出場せず、ブーイングを浴びせられることはなかった。
では何が後味が悪かったのか?それは死球だ。ライオンズはこの試合、岩井投手と渡辺投手からそれぞれ2死球をぶつけられた。5回から7回にかけての僅か3イニングスの間の4死球で、これは流石にプロレベルとしてはどうかと思う。ライオンズの高山打撃コーチも4つ目をぶつけられた際にはダグアウトから身を乗り出すようにしホークスに抗議した。
死球そのものは仕方ないと思う。どんなに制球力に優れた投手でも死球を当ててしまうことはある。しかし1試合4つは無論のこと、3イニングスで4死球というのは異常だ。
これがもし、4回にホームランを放っていたフランチー・コルデロ選手に対し6回の打席で死球を当てられていたら、報復とみなされて確実に乱闘騒ぎになっていただろう。ちなみに当てられたのは古賀悠斗捕手、古市捕手、そして元山飛優選手が2打席連続だった。
古賀捕手に関しては左肘にぶつけられ、その直後に古市捕手に代わったわけだが、その古市捕手も代わった最初の打席で死球をぶつけられている。元山選手に関してはここまで好調を維持しているだけに、この2つの死球によってフォームを崩してしまわないかが懸念されるわけだが、その辺りは恐らくは嶋コーチ、高山コーチと確認しているはずだ。
ホークスの岩井投手は2イニングスを投げて打者10人に対し2死球、渡辺投手は1/3回で打者4人に対し2死球だった。この二人に関してはまったく一軍レベルではないと言える。そのような投手をライオンズの主力相手に投げさせて、死球により万が一でも怪我をしてしまったらそれこそ取り返しのつかないことになる。この日死球をぶつけられた3人に関しては、とにかく怪我をしなかったことを祈るばかりだ。
さて、打つ方では四番ヘスス・アギラー選手、五番コルデロ選手という並び方がやや落ち着いて来たように思える。そしてこの試合ではコルデロ選手に待望のオープン戦第1号ホームランが飛び出した。
打ったのは僅かに甘く入ったカットボールだったのだが、コルデロ選手のバットがそれを上手く拾い上げた。すると打球は初速164km/hという速度で26°の弾道で上がっていき、そのままライトテラス席へと飛び込んでいった。ちなみに打球は、物理的には26°〜30°の弾道になると最も遠くまで飛んでいくようになり、その角度に弾道を狙って入れていく打ち方のことをバレル打法と呼ぶ。
やはりアギラー選手やコルデロ選手のようにステイバックで打っている打者の打球は良い角度で上がっていくことが多い。コルデロ選手もこの日の一発で安堵した部分もあるだろう。そしてそれにより次戦以降ではさらに力を抜いて、いつも通りプレーをしていけるのではないかと思われる。
コルデロ選手の場合、長いリーチでボール球に手を出すことがなければ、不調は長くは続かないはずだ。状況によってはなかなかストライクゾーンで勝負してもらえないケースも増えていくとは思うが、そんな時でも決して苛立つことなくしっかりとボール球を見極めていけば、コルデロ選手は確実に30本塁打を越えていくことになるだろう。
さて、投げる方では今井達也投手が先発マウンドに登り、5回を投げて被安打3、奪三振8、失点1という好投を披露した。このピッチングにより、ちょうど二週間後の金曜日に開催される開幕戦での先発はほぼ確実になったと言えるだろう。
そして先日はルーキー武内夏暉投手が圧巻の三者連続三振を披露したわけだが、この試合では同じくルーキーの糸川亮太投手が6回に二番手として登板し、先頭打者にヒットを打たれた後は同様に三者連続三振でホークス打線を封じ込めた。しかも近藤選手、ウォーカー選手、中村選手という主軸三人を相手にした三者連続三振であり、これは開幕一軍に向けてかなり株を上げたと言えるだろう。
その他登板した投手では、水上由伸投手に関しては無失点ながらも、残念ながら1回を投げて被安打2、四球1と良い結果を出すことはできなかったが、ジェフリー・ヤン投手とアルバート・アブレイユ投手に関してはこの試合は危なげなくそれぞれ1イニングを三者凡退に抑えてみせた。
NPBの公式球は、MLBの公式球に比べるとグリップがよく効く。そのため慣れるまでは外国人投手の場合はボールが引っかかることも多くなるわけだが、ヤン投手もアブレイユ投手もそろそろNPBの公式球に慣れて来たようにも見える。そして開幕まではまだあと二週間あるわけであり、これだけの期間があればふたりとも十分にNPBの公式球を上手く扱えるようになっているだろう。
さて、ライオンズはここまで6試合のオープン戦を戦って来て、4勝1敗1分の勝率.800という数字を残し12球団中2位となっている。ちなみに首位は6勝1敗1分のオリックスだ。確かにオープン戦でいくら勝っても優勝には一切関係ないわけだが、しかしオープン戦でしっかりと勝ち慣れた状態にしてシーズンインすることは大切だ。
オープン戦で負け込んで「オープン戦の勝ち負けは関係ない」と考えながら開幕を迎えるのと、オープン戦でもしっかりと勝って自信を持った上で開幕を迎えるのとでは大違いだ。ライオンズは例年、オープン戦ではそれほど目立った勝ち方をすることは多くはないのだが、今季はここまで非常に好調だ。
ここまで来たら残りのオープン戦でもシーズン同様に勝ちにこだわりながら戦い、首位に立ってオープン戦を締めくくり、その勢いのままシーズンインしていってもらいたい。やはり優勝するためにはロケットスタートはかなり効果的となるため、まずは29日から始まるイーグルス戦でスイープ(同一カード3連勝)するところから今年のペナントレースをスタートさせてもらいたいと思う。