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2024年4月20日公開

試合結果/2024年04月20日(土) 埼玉西武2 - 8東北楽天 5回戦 ベルーナD

埼玉西武ライオンズ vs 東北楽天ゴールデンイーグルス/5回戦 ベルーナドーム
1 2 3 4 5 6 7 8 9 R H E
Eagles 0 0 2 0 0 0 0 2 4 8 12 0
Lions 0 1 0 0 0 1 0 0 0 2 5 0

継投隅田知一郎H本田圭佑●佐藤隼輔ジェフリー・ヤン
敗戦投手佐藤隼輔 0勝1敗0S 2.25
盗塁長谷川信哉(1)

最近場当たり的にも見える松井稼頭央監督の起用法

ようやく連敗が止まり、松井稼頭央監督自身今日の試合が大事だとコメントされていたが、結果は2-8での大敗となってしまった。これで最近9試合は1勝8敗ということになり、この間の勝率は実に.111という低さになる。

松井監督と平石ヘッドコーチの采配は、この頃場当たり的に見える。例えばここ数日岸潤一郎選手が調子が良く本塁打も2本放っていたことから、今日は三番での抜擢となった。

もちろん今日は外崎修汰選手が背中の張りを訴えての代役三番としての起用だったとは思う。しかしせっかく二番を打って良い仕事をしていた岸選手を二番から外す必要はなかったのではないだろうか。

代役ということであれば、それこそ今日一軍に上がってきたばかりの平沼翔太選手や、長打もある佐藤龍世選手、もしくは将来の主軸候補とも目される山村崇嘉選手などを代理三番として起用すべきではなかっただろうか。

もちろん結果論でしかないわけだが、せっかく良い形になっていた部分を変えるべきではなかったと思う。だが変えてしまった結果、三番に入った岸選手は送りバントは決めたものの、今日は打つ方ではほとんど良いところなく試合を終えてしまった。

そして悪い時というのは悪いことが重なるものだ。外崎選手の背中の張りは、回復次第では明日は試合に出られる程度の軽症のようだが、山村選手はどうやら右ハムストリングスを肉離れしてしまったようだ。せっかくここまで良い働きを見せていただけに、非常に残念な結果となってしまった。

大乱調で大誤算となってしまった四番手ジェフリー・ヤン投手

ジェフリー・ヤン投手

さて、投げる方では先発の隅田知一郎投手が2点を失いながらも粘り強く6回まで投げてくれた。理想を言えば味方が先制してくれたその直後の失点は絶対に防がなければならないところだったが、しかし結果としてはまずまずと言って良いのかもしれない。

しかし誤算だったのが、ここまで非常に良いピッチングを見せていた三番手の佐藤隼輔投手が2-2の同点となっていた8回表に2失点してしまったことだ。確かにここは抑えなければならない場面だ。しかしここまで良いピッチングを続けてくれていた佐藤投手を、この1試合良くなかったからと言って責めることはできない。年間を通せば、リーグを代表するような絶対的守護神でさえ失点することはあるものだ。

そしてさらに誤算だったのは四番手として9回のマウンドに登ったジェフリー・ヤン投手だろう。ヤン投手は1イニングで被安打4、奪三振1、死球1、失点4という大乱調だった。ヤン投手に関してはまだまだ未完成の投手であると渡辺久信GMも評しているだけあり、今日の登板はいわゆるモップピッチャー(敗戦処理)としての起用だったとは思う。

ヤン投手としてはビハインドの場面で良いピッチングを続けて勝ちパターンに食い込んでいきたいところではあったが、下位打線に2長打を浴びるなど、今日はボールの勢いに精彩が見られなかった。ヤン投手の場合、ボールに勢いがある時は多少コントロールが甘くなってもそう簡単に打たれることはない。だが今日の試合に関しては、オープン戦の好調時のボールと比べるとやや勢いがなかった。

しかしヤン投手に安定感を求めることはできない。中米のウィンターリーグで投げていた時から、勢いは凄まじいものの安定感があった試しはないのだ。そのため今後の起用法としては、流れを変えたい時にヤン投手を投入するという形になっていくと思う。だが今日に関しては流れを変えるどころか、逆にその流れに呑み込まれてしまったようだ。

勝率が末期的水準になってきた松井稼頭央監督の2年目

今日の敗戦でライオンズは再び同率最下位に転落してしまった。大方の予想通り今カードはまさにライオンズとイーグルスの最下位争いという様相だ。もちろん明日勝てばまた最下位は脱出できるわけだが、しかしこんなことをしていては首位の背中はどんどん遠ざかるばかりだ。

さて、ライオンズ史上唯一途中解任された監督はは、2014年伊原春樹監督ただ一人だ。2013年を限りに勇退した渡辺久信監督の後任として監督再登板したのだが、FAに悩む涌井秀章投手に余計なことを言ったことで、絶対的エースだった涌井投手をマリーンズに流出させてしまったり、同時に「涌井投手が投げる時は必ず活躍する」とも言われていた片岡易之選手もFA流出させてしまい、まさに前途多難の中での船出となった第二次伊原政権の幕開けとなっていた。

渡辺監督時代は選手に伸び伸びと野球をやらせることで個々を生かし、それをチーム力に変えていた。その結果、就任2年目こそ4位とBクラスに転落したが、初年度から見ると1位、4位、2位、3位、2位、2位と6年間で5度チームをAクラスに導き優勝争いを演じている。

だが前年2位だったライオンズは伊原監督に変わった2014年、前年までの伸び伸び野球とは打って変わり、時代錯誤の管理野球を徹底しようとしたことで選手の心が伊原監督から一気に離れ、その結果開幕53試合で20勝33敗となったところで更迭され、事実上の途中解任となった。

20勝33敗という数字は勝率.377となる。そして今18試合を終えて7勝11敗となっているライオンズの勝率は.389だ。つまり今季ここまでの戦績は、伊原監督が途中解任された際と同水準の勝率になってきているということになる。ちなみに万が一明日負けることになると勝率は.368まで落ち、伊原監督解任時以下の勝率となってしまう。さらに付け加えておくと、辻発彦監督が最下位に転落した際の勝率でさえ.440だった。

もちろん筆者は松井監督を解任すべきだとは考えていない。そもそも人望のなかった伊原監督に対し、松井監督は選手からもフロントからも信任を得ている。だがここまで打撃面がまったくと言って良いほど機能していないことを考えると、何か手を打たなければならないだろう。

泣いて馬謖を斬るではないが、打撃戦略コーチの肩書きを持つ平石ヘッドコーチと、二軍の小関竜也コーチを入れ替えるくらいのことはすべきではないだろうか。打撃戦略がここまでまったくと言って良いほど成り立っていないのだから、やはり打撃戦略を任されている平石コーチはその責任を負わなければならない。

まさに鳴り物入りでライオンズにやってきた平石コーチではあるが、しかし残念ながら松井監督を上手く支えることができていないのが現状だ。そう考えると松井監督の更迭を語る前に、まずは平石コーチの責任を問う必要があるのかもしれない。

もちろん平石コーチも全身全霊をかけて勝とうとしてくれているとは思う。だが結果が全てのプロ野球ということを考えると、PL繋がりのよしみというだけで平石コーチの立場を守り続けることはもはやできない。

THE埼玉西武ライオンズガゼット筆者/カズ
筆者 2010年1月よりパーソナルコーチとしてプロ野球選手のサポートを行うプロフェッショナルコーチ。 選手の怪我のリスクを正確に分析し、怪我をしないフォームに変える動作改善指導が特に好評。 このブログではプロコーチ目線でライオンズについて冷静に、そして愛を込めて書いていきます!
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