試合結果/2024年04月21日(日) 埼玉西武0 - 1東北楽天 6回戦 ベルーナD

2024年4月21日公開

埼玉西武ライオンズ vs 東北楽天ゴールデンイーグルス/6回戦 ベルーナドーム
1 2 3 4 5 6 7 8 9 R H E
Eagles 0 0 1 0 0 0 0 0 0 1 5 0
Lions 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 5 0

継投●髙橋光成田村伊知郎水上由伸中村祐太
敗戦投手髙橋光成 0勝2敗0S 3.46
盗塁/高松渡(3)

ダイジェスト

首脳陣の危機感の現れも見える一軍選手の二軍起用

今日の敗戦で直近10試合の戦績は1勝9敗となってしまった。だが、もちろん松井稼頭央監督も何もせずにただ手をこまねいているわけではない。今日は一軍はベルーナドームで14:00プレーボールだったわけだが、カーミニークで13:00プレーボールだった二軍の試合には、西川愛也選手と高松渡選手が一軍の試合が始まるまで出場していた。

これはもちろん一軍ではなかなか打席数を稼げないための対策となるわけだが、しかしスポーツ紙も書いているように、二軍がデーゲーム、一軍がナイトゲームという場合にはこのような起用はよくされるのだが、今日のようにプレーボールが1時間しか違わない日に行われるのは非常に珍しい。首脳陣もそれだけ打力不足に危機感を覚えているという表れなのだろう。

さて、今日は大量7人の入れ替えが行われた。まず昨日の試合で頭部にバットを受けて脳震盪特例措置により登録抹消された古賀悠斗捕手に代わり、柘植世那捕手が登録された。また、やはり昨日の試合で右ハムストリングスを肉離れした山村崇嘉選手と不振だった元山飛優選手に代わり、若林楽人選手山野辺翔選手が登録された。

そして驚きだったのが、確かにここまでヒットこそあまり出ていなかったものの、出塁率はそれなりに高かった栗山巧選手が抹消されたことだった。だが栗山選手に関しても一軍ではなかなか打席に立てず、それにより調子を上げることが難しかったという事情もあるため、二軍でしっかりと打席数を稼いで状態を上げて、代打の出番が増える交流戦までに戻ってきてもらうための措置ではなかっただろうか。

7人の入れ替えと聞くとかなり多いなとも思えるが、しかし今のライオンズには一軍二軍の風通しの良さが必要だ。二軍で調子が良い選手を、調子が良いうちに一軍で使ってあげることが必要であるため、まずは昨日二軍でサヨナラホームランを放つなど好調を維持していた若林選手を一軍に呼んだというのは良かったと思う。

オカルト的にヒットが出なかった一番打者が今日はマルチヒット!

さて、その若林選手だがここまで一軍では1本もヒットを打てていなかった。だが今日は七番ライトでスタメン出場し、兎にも角にも今季初ヒットが飛び出した。三塁への内野安打だったわけだが、この1本で間違いなく若林選手の気持ちは楽になったはずだ。

1本出たことでノーヒットの呪縛から解放され、月曜日からはまた、昨日まで二軍で見せてくれていたような自然体での活躍を、一軍でもできるようになるのではないだろうか。とにかく若林選手は韋駄天が武器になるため、一日一度ずつでも出塁することが求められる。若林選手が塁上にいるかいないかで、相手バッテリーにかかるプレッシャーも大きく変わってくるためだ。

そして今日は若林選手は守備で素晴らしいプレーを見せてくれた。ライト線を破るかとも思われた大飛球を快足を飛ばして見事好捕し、ボーンヘッドで飛び出していたイーグルス走者のミスもあり、見事併殺で3回のピンチを1失点のみで切り抜けることができた。

若林選手の今季初ヒットに加えて、今日は一番を打つ長谷川信哉選手に2安打、今季初出場の柘植捕手にも最初の打席で初ヒットが飛び出した。残念ながらそれらが得点に繋がることはなかったわけだが、しかしこの三人のヒットは今後に向けて明るい兆しとなっていくのではないだろうか。

特に一番打者に関しては今季、誰が一番に入ってもヒットが出なくなるというオカルト的な現象にライオンズは悩まされていた。だが今日はその一番にここ数試合入り続けている長谷川選手がマルチヒットを記録した。この良い流れを来週以降にも繋げていき、長谷川選手がだいたい毎試合1本ずつでもヒットを打てるようになっていければ、ここまで見せている極端な得点力不足も自ずと解消されていくだろう。

さて、打線に関しては高木豊氏が「5回制のアマチュア野球みたいに一番打てる打者を一番から並べていくのが良い」というコメントを松井稼頭央監督に対しYouTube上で送ったようだが、筆者はそれが良いとは思っていない。ただ、高木氏が仰る「固定概念は捨てるべき」という言葉には同調したい。

例えばかつてのレオのプリンス、高木大成選手は慶應大学時代、チームで最も打てる打者として捕手でありながらも一番を打つことが多かった。確かに5回制じゃなくても、9回制の大学野球でもそのような戦術を取られることはあるのだが、しかしアマチュア野球の場合、最も打てる選手と相手投手たちの平均値には大きな隔たりがある。

例えば高木大成選手は大学時代はまさにスター選手であったわけだが、仮にその高木選手をS級だとしたら、相手投手たちの中にS級はほぼおらず、たまにA級がいて、あとはほとんどB級以下の投手との対戦が続く。そのため高木大成選手未満の打者であっても、打線を繋げていくことは決して難しくはない。しかしプロ野球の場合はそうではなく、一軍レベルではほとんどの投手がA級だ。

しかも投手の分業制が完全に成り立っている現代野球では先発投手は初回から飛ばしていけるし、リリーバーたちも1イニングを全力で抑えにくる。そうなると一番打てる打者を一番に据えて仮に初回から出塁できたとしても、その後の打線が尻すぼみになり結局は得点できないケースが増えていく。

それならば一番二番に関しては、確かに一番タイプ、二番タイプという固定観念に縛られる必要はないのだが、仮にヒットを打てなくても何とかして出塁してくれる打者を据え、三番四番にクラッチヒッターを据えた方が打線は繋がりやすくなるはずだ。

高木豊氏が語ったライオンズ打線に対する今回のコメントは、もちろんYouTube上だからこそ言える極論なのかもしれない。だが固定観念を捨てることは確かに今のライオンズには必要であると思われるため、それに関しては首脳陣も自らに固定観念がなかったかどうかを顧みても良い時期なのかもしれない。

今日髙橋光成投手に求められていたのは決して先制点を許さないという気迫

髙橋光成

さて、今日は髙橋光成投手が先発し、好投しながらも援護なく見殺しにされたと書かれていることも多いようだが、筆者はそれは違うと思う。確かに7回1失点という数字だけを見れば好投だったと言える。しかし髙橋投手は今季は圧倒的な数字を残すと宣言しているのだ。そのようなレベルにある投手を、簡単に先制点を与えているにもかかわらず好投だったと評価すべきではない。

もちろん7回1失点は勝ちに相応しいピッチングだ。しかし圧倒的なピッチングというのは、今季の今井達也投手のように援護がなくてもできる限り我慢して決して先制点を許さないという気迫溢れる姿勢を見せるピッチングのことだ。

しかし髙橋投手は3回、先頭打者の八番打者を四球で出すと九番打者にヒットを打たれ、一番打者に犠打を決められると、二番打者にタイムリーヒットを打たれてしまう。三番打者こそ若林選手の好捕によりアウト、しかも相手のボーンヘッドにより併殺に取ることができたが、今のチーム事情を考えれば、髙橋投手クラスならば決して先制点を許してはいけない。仮に今日の試合も先制点を許していなければ、ライオンズ打線もまた違った流れを見せていただろう。これまで幾度も書いてきているように、野球はビハインドになると使える打撃戦術が一気に減ってしまうスポーツであり、低い得点力に苦しむライオンズの場合、特に先制点を相手に許してはいけないのだ。

髙橋投手は仮にも昨季まではエースと呼ばれていたのだが、もっとその名に相応しい、決して先制点を許さないという気迫溢れるピッチングを見せてもらいたかった。しかし先週は熱中症を患い、今日は早い段階で先制点を奪われるピッチング。これではまったく圧倒的なピッチングと呼ぶことはできない。髙橋投手も本気でメジャーに移籍したいのであれば、自らのパフォーマンスでチームを蘇らせるくらいのピッチングを見せなければならないだろう。

かつて絶対的エースと呼ばれた涌井秀章投手を失ってからかなり久しい。そしてその涌井投手以来、ライオンズには絶対的エースと呼ばれる存在は出現していない。それが大事な時期の勝負弱さにも繋がっているわけだが、今季は今井達也投手が涌井投手以来の絶対的エースに進化を果たそうとしている。

今井投手が絶対的エースとなり、それに負けじと髙橋光成投手も同レベルのパフォーマンスを見せてくれれば、ライオンズが今最下位に沈んでいるはずはないのだ。髙橋投手はもう並レベルの投手ではない。並以上が求められており、自らも今季は圧倒的数字を残して今オフのメジャー移籍を目指すと言っているのだから、筆者は髙橋投手に対しては、より高いレベルのパフォーマンスを今後も期待していきたいなと考えている。

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THE埼玉西武ライオンズガゼット筆者/カズ
筆者 2010年1月よりパーソナルコーチとしてプロ野球選手のサポートを行うプロフェッショナルコーチ。 選手の怪我のリスクを正確に分析し、怪我をしないフォームに変える動作改善指導が特に好評。 このブログではプロコーチ目線でライオンズについて冷静に、そして愛を込めて書いていきます!
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