HOME > ゲームレビュー (87記事) > 18日の試合に敗れれば自力優勝の可能性が消滅するライオンズの今そこにある危機

2024年5月18日公開

18日の試合に敗れれば自力優勝の可能性が消滅するライオンズの今そこにある危機

福岡ソフトバンクホークス vs 埼玉西武ライオンズ/10回戦 みずほPayPay
1 2 3 4 5 6 7 8 9 R H E
Lions 0 0 0 0 0 0 1 1 0 2 7 0
Hawks 0 3 1 0 1 0 0 0 × 6 11 0

継投●ボー・タカハシ 田村伊知郎豆田泰志中村祐太
敗戦投手ボー・タカハシ 1勝3敗0S 3.86
本塁打古賀悠斗(2)

レオのガリバー村田怜音選手の左膝の怪我は全治3ヵ月だった!

ここまでのライオンズの悪い流れを断ち切ってくれるのはルーキー村田怜音選手かもしれないと思われていた矢先、先日の試合でフェンスに激突してしまい、その結果左膝後十字靭帯損傷という全治3ヵ月の大怪我を負ってしまった。恐らくは手術は必要ないようなので、若林楽人選手のケースよりは早く治る見込みではあるようだ。

それにしても本当に残念である。全治3ヵ月ということは怪我が完治した頃はもう8月終盤で、そこから最速でファームの 試合に出て行ったとしても、常識的に考えると今季中の一軍復帰はほとんど絶望的だと言えるだろう。村田選手は本当にここまでよく頑張ってくれていたため、本当に残念でならない。もはや感想はただそれだけに尽きる。

だがこの怪我を良いきっかけにしリハビリを頑張り、今度は怪我をしない体づくりをして来年また一軍に戻ってきてもらいたい。彼が真のガリバーであれば、間違いなく不屈の精神を持っているはずだ。だからこそこんな全治3ヵ月の怪我に負けることなく、来年はさらに一回り大きくなって一軍に戻ってきて欲しい。筆者はその日を待ち望みながら、村田選手の怪我の一日でも早い回復を祈りたい。

もう少しリズム良くマウンドに送り出してあげたいボー・タカハシ投手

ボー・タカハシ投手

さて、松井稼頭央監督は最近のチーム状態を「良くなってきている」と評価している。これに関しては数日前のコラムにも書いた通り筆者も同感だ。もちろんまだまだ「良い状態」と言えるわけではないが、少なくとも今季の最悪の状態はすでに抜け出していると言って良いと思う。

ただそれでも勝てないのは、投打がなかなか噛み合わないためだ。やはり今日の試合もそうだが、先発投手が簡単に相手に先制点を与えていることが最たる敗因だと言える。点が取れない以前に、まずこの状況をなんとかしなければ打者陣もかなり苦しいはずだ。

そして今日に関してはボー・タカハシ投手が山川選手にホームランを打たれてしまった。ボー・タカハシ投手は外国人選手であるため、もしかしたら山川選手がライオンズに残した遺恨をあまり理解できていない可能性もある。しかしライオンズの投手陣は、山川選手にだけはホームランを打たせてはならない。

古賀悠斗捕手ももっと厳しく内角を要求し、死球さえ厭わない厳しい攻めを見せるべきだった。この試合に関しては試合に負けたということよりも、ライオンズの投手が山川選手にホームランを打たれたことの方が筆者は個人的には悔しかった。

それにしてもボー・タカハシ投手の投げ抹消は何を意図しているのだろうか。まだ先発経験が浅いため、スタミナを消耗しすぎないように中10日以上空けているのか、それとも先発投手の駒が豊富に揃っているから中10日空けなければ出番を与えられないのか。

今日の試合に関しては5回5失点と踏ん張りきれなかったボー・タカハシ投手ではあるが、前回まではしっかりと試合を組み立ててくれることの方が多かった。そのためもう少しリズム良く、登板感覚が薄れないうちに次の先発マウンドに立たせてあげた方がいいのでは、と筆者は疑問に思っている。

明日負けると自力優勝の可能性が消滅してしまうライオンズの現状

松井監督の言葉通り、ライオンズのチーム状態は間違いなく良くはなってきている。しかし勝てるようになるのはヘスス・アギラー選手の足首が癒え、同時にリハビリをしながら配球に対する頭を整理できた後になるだろう。

さすがに今のライオンズ打線でアギラー選手なしで勝ち切ることは難しい。怪我をするまではずっと四番としてチームを牽引してくれたアギラー選手がいてこそ、打線も機能し始めるというものだ。そして抹消されるまでのアギラー選手が不運だったことは、五番打者がほとんど機能していなかったことだ。

五番打者が機能していない場合、相手バッテリーは四番アギラー選手は歩かせても良いというくらいの厳しい配球を見せてくる。逆に五番打者が機能していれば相手バッテリーも簡単にアギラー選手を歩かせることができなくなるため、アギラー選手に対してもストレートゾーンで勝負せざるを得なくなり、その結果アギラー選手も的を絞りやすくなる。

だが今は中村剛也選手が率は低いものの、相手バッテリーが油断できない程度の活躍を続けてくれているため、近いうちアギラー選手が四番として戦列復帰した際は、今日も2本の二塁打を放っている中村選手を五番に入れれば、それぞれの相乗効果を得られるのではないだろうか。つまりアギラー選手はストライクゾーンで勝負してもらえるようになり、中村選手も打点を稼げるようになるということだ。

打線に関しては僅かではあるが、間違いなく良くなってきている。あとは先発陣が何とか先制点の献上を防いでくれれば、先行逃げ切り型の野球ができるようになり、今後ライオンズが勝っていくためにはこの戦い方しか現状では考えられない。得点力が低い状況を考えると、先制点を与えてしまうと最低での2点取らなければ勝てなくなる。ましてや今日のように2回に一気に3点を先制されてしまうと、4点取らなければ勝つことは不可能で、今のライオンズが4点取ることは簡単ではない。

だからこそ投手には、点を取られたとしても先制点だけは献上して欲しくないのだ。ここさえ何とか改善できれば、少なくとも五分五分の戦いはできるようになるだろう。ただもちろん、五分五分の戦いでは負け越しが増えないだけで、その負け越しが減っていくことはない。だがまずは五分五分の戦いをしてこれ以上負け越しを増やさないことが肝要だ。

まだまだ厳しい戦いが続きそうな雰囲気ではあるし、もし明日の試合で負け、もしくは引き分けに終わってしまうと、何と5月18日という時点で自力優勝の可能性が消滅してしまうことになる。もちろんこの可能性は復活することもあるわけだが、さすがにこのような早い時期に自力優勝の可能性が消えるという状況は、ライオンズファンとしては非常に寂しい。だが決してはそうはならないはずだ。明日は今季初先発となる渡邉勇太朗投手が必ずや自力優勝消滅というチームの危機を救ってくれるはずだ!

関連記事

THE埼玉西武ライオンズガゼット筆者/カズ
筆者 2010年1月よりパーソナルコーチとしてプロ野球選手のサポートを行うプロフェッショナルコーチ。 選手の怪我のリスクを正確に分析し、怪我をしないフォームに変える動作改善指導が特に好評。 このブログではプロコーチ目線でライオンズについて冷静に、そして愛を込めて書いていきます!
🐦 筆者カズのTwitter(現X)

Latest Articles - 最新記事