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2023年8月19日公開

ファームで虎視眈々とチャンスを窺う現在2軍で絶好調の高木渉選手

高木渉選手の最大のライバルはルーキー蛭間拓哉選手

ファームで虎視眈々とチャンスを窺う現在2軍で絶好調の高木渉選手

ライオンズ期待の若手スラッガーとして今後の成長に最も期待したいひとりが高木渉選手だ。2017年の育成ドラフトで指名され、1年目が終わるとすぐに支配下登録され、今季は支配下選手としては5年目のシーズンを迎えている。

だが高木選手としては今季は正念場を迎えていると言って良いだろう。昨オフ、ライオンズはドラフト1位で蛭間拓哉選手を指名し、その蛭間選手は現在1軍のリードオフマンとして外野の一角を任されている。

同じ左打ちの外野手として一学年下の蛭間選手が1軍で活躍している姿は、高木選手の目には良きライバルとして映っているはずだ。だが今季ここまで、高木選手は1軍で5試合に出場し打率.158と結果を出すことができなかった。

しかし高木選手はある程度起用し続ければ1軍でも結果を出し始めると思う。高木選手には長打も期待されているわけだが、それ以上にポイントゲッターとしての活躍が期待されている。結果を求めすぎて大振りせず、2軍同様のプレーをすることができれば、高木選手は1軍でも通用する打者になれるはずだ。

ファームでは主に3番打者として試合に出続けているわけだが、ファームでの今季ここまでの通算打率は.263と決して高くはない。だが出塁率は.327で、焦ってボール球に手を出しているというわけではない。

高木選手の1軍でのプレーを見ていると、ファームでプレーしている姿よりも動きが硬くなっているように見える。恐らくは少ないチャンスをモノにしようと必死になりすぎ、それが力みに繋がってしまっているのだろう。

1軍の試合でのスウィングを見ていると、ファームの試合で打っている時のようなバッティングの柔らかさがやや見えてこない。つまり、左打者としての右膝を上手く使えておらず、その結果変化球で簡単にフォームを崩されてしまっているように見える。

だが、すぐに2軍に落とされるかもしれないという心境さえ克服し、1軍でもファームの試合同様の柔らかいバッティングを見せられるようになれば、高木選手は今すぐにでも1軍で通用する打者になれるはずだ。

高木渉選手は現在ファームで絶好調!

今季ここまでのファームでの通算打率は.263と上述したが、最近10試合では主に3番として8試合に出場し、32打数10安打、1本塁打、8打点、打率.313という好成績をマークしている。

これは恐らくは1軍で活躍している蛭間選手の存在が発奮材料になっているのではないだろうか。1学年下のルーキーが活躍する姿を見て何も感じなければ、その選手をプロと呼ぶことはできない。高木選手自身、蛭間選手には絶対に負けたくないという気持ちでプレーをしているはずだ。

ライオンズは蛭間選手の活躍により、ようやく1番打者が固定されそうな兆しを見せている。だがクリーンナップトリオに関してはまだまだ固定されそうな気配はない。

中村剛也選手はもう試合に出続けることは難しい年齢であるし、外崎修汰選手も打率は.258と主軸としては低空飛行を続けている。そしてマキン選手とペイトン選手はよく頑張っているが、安定性という意味ではまだまだクリーンナップとしては物足りない。

そのため現状ではクリーンナップと呼ばれる3〜5番打者に関しては、誰も固定されていないというのが現状だ。だからこそ高木選手にはそこに食い込むチャンスがある。

ファームでは直近10試合中、高木選手は8試合に出場して8打点を挙げている。これは絶好調と言って良い数字だろう。現在1軍の若手外野手としては岸潤一郎選手と西川愛也選手が登録されているが、共に打率は1割台と低迷している。そのためこの二人のうちどちらか、もしくは両方がファームに戻されるのは時間の問題だろう。

その機会を今、虎視眈々と狙っているのが高木渉選手だ。特に西川選手の場合は高木選手と同じく左打ちの外野手であるため、この二人が近い時期入れ替わる可能性は高いと言えるのではないだろうか。

当然高木選手も1軍打者たちの成績は毎日チェックしているはずだ。中でも特に同学年で同じ左打ちの外野手である西川選手の数字には注視しているかもしれない。

もちろん西川選手の成績低迷を願うようなことは高木選手は決してしないと思うが、しかし西川選手が1軍で活躍できていない状況は、自らのチャンスとして見ているはずだ。

そして「次は自分の番だ!」と言わんばかりに、ファームでのアピールを続けている。このアピールは当然1軍首脳陣の耳にも届いているはずで、高木選手に再度1軍でのチャンスが与えられる日は間近であるはずだ。

将来は1軍の3番打者としても期待される高木渉選手

高木選手の弱点としては、やや怪我が多い点が挙げられる。今年の春季キャンプでもA班でチャンスを与えられていたが、コンディション不良でB班送りにされている。このあたりのコンディショニングをしっかりと見直し、体を常時良い状態で維持できるようになれば、高木選手はもっと安定したプレーを見せられるだろう。

筆者が常々書いている通り、1軍で主軸としてプレーするための絶対条件は怪我に強いことだ。いくらホームランを打てたとしても、毎年のように怪我をして戦線離脱されてしまっては困る。

首脳陣としても、高木選手がどれだけ怪我への耐性が高くなっているかはよく観察しているはずだ。コンディショニングに関しては、ライオンズはそれを具体的に数値化させられる技術を持っている。

トレーナー陣もその数値を観察しながら、高木選手のストレングスが年々上がって来ていることを確認しているはずだ。その結果、高木選手自身コンディショニング不良があったとしても、長期離脱することは最近はなくなってきたように思う。

高木選手は高卒の育成ドラフトでライオンズ入りし、今季は大卒2年目と同じ年齢を迎えている。大卒で考えると、2〜3年目のシーズンというのはまさに勝負所となる。このあたりのシーズンで活躍できないと、戦力外通告を受けるリスクは急上昇していく。

高木選手自身、蛭間選手が加入した今季は特に背水の気持ちでプレーしているはずだ。1軍首脳陣にはぜひその高木選手の覚悟を汲み、高木選手が絶好調であるまさに今、1軍でチャンスを与えてあげて欲しい。

もし仮に高木選手が1軍に対応し始めることができれば、1番蛭間選手・3番高木選手・4番渡部健人選手という打順はかなり魅力的だ。

そして現在2番を打っている源田壮亮主将が9番を打ち、パンチ力もある韋駄天若林楽人選手が2番に座れば、上位でジグザグ打線を組むこともできるため、相手投手としてはかなり投げにくくなる。

そんな次世代のライオンズ打線に期待を馳せながら、筆者は高木選手にまもなく与えられるであろう今季二度目の1軍でのチャンスを心待ちにしたい。

THE埼玉西武ライオンズガゼット筆者/カズ
筆者 2010年1月よりパーソナルコーチとしてプロ野球選手のサポートを行うプロフェッショナルコーチ。 選手の怪我のリスクを正確に分析し、怪我をしないフォームに変える動作改善指導が特に好評。 このブログではプロコーチ目線でライオンズについて冷静に、そして愛を込めて書いていきます!
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