試合結果/2024年05月14日(火) 北海道日本ハム4 - 1埼玉西武 6回戦 エスコンF

2024年5月14日公開

北海道日本ハムファイターズ vs 埼玉西武ライオンズ/6回戦 エスコンF
1 2 3 4 5 6 7 8 9 R H E
Lions 0 0 0 1 0 0 0 0 0 1 8 0
Fighters 0 1 2 0 0 0 0 1 × 4 7 0

継投●髙橋光成増田達至羽田慎之介
敗戦投手髙橋光成投手 0勝4敗0S 3.30
盗塁蛭間拓哉(1)

ハイライト

髙橋光成投手のボールも古賀悠斗捕手の配球もまだまだ満足できるレベルではない

改めて厳しい言い方をすると、やはり髙橋光成投手はまったくメジャーレベルではない。今日のピッチングを見ていても、勝負どころで絶対に抑えなければならない場面のストレートでも150km/h出るか出ないかという程度で、制球力に関してもストレート系のボールが真ん中付近に入るケースが非常に多かった。

今日の試合に関して言えばその甘く入ったストレートを運良く見逃してもらえた場面もいくつかあったわけだが、これがメジャーのマウンドであれば、大袈裟ではなくすべてホームランとなっていただろう。抜群の球威があるわけでも、四隅を突く制球力があるわけでもない。調子が良ければもちろん素晴らしいピッチングを披露してくれる髙橋投手ではあるが、今季ここまでのボールに関しては、とてもメジャーレベルだと言える球質ではない。

髙橋投手はオフシーズンに筋出力を上げて球速をアップさせるという試みをして来たわけだが、それがここまでは上手くいっていないのだろう。初速と終速の数値を見れるわけではないため厳密なことは言えないのだが、初速と終速の差は決して小さくないように見える。つまり打者から見ると失速して見える打ちやすいボールだということだ。

アマチュア野球の場合腕力に頼った手投げをすると、仮に初速145km/hだったとしても、終速が135km/h程度まで下がってしまうこともよくある。この場合初速と終速の差は10km/hということになるわけだが、ストレートのバックスピンを増やせないフォームになっているとマグナス力が働かなくなり、このようになってしまい、球速表示そのものは速かったとしても簡単に打たれれるケースが多くなる。もちろん髙橋投手の初速終速差は10km/hまでには至っていないわけだが、少なくとも昨季までの好調時と比較するとストレートの伸びには物足りなさを感じる。

そしてさらに言うと、スライダーが曲がり始めるのがかなり早いように見える。もしかしたらスラーブを投げている可能性もあるわけだが、中継画面でスライダーと表示されているボールのほとんどが、打者よりもかなり手前で曲がり始めているのだ。その結果ボールを見極められやすくなっており、アウトローに逃げるスライダーを難なく打者に見逃されてしまっていた。

そして古賀悠斗捕手の配球もはやり疑問符が付くものが多かった。もちろん配球に絶対的な正解はなく、まさに勝てば官軍負ければ賊軍ということになるわけだが、しかし3球続けてフォークボールを投げさせて、3球目のフォークに上手く合わされてしまったり、あとは外角低め一辺倒の配球で打者を揺さぶれていない場面が、特に失点したイニングでは目立っていた。

ピッチャーとしてはもちろん丁寧に低めをつきながら上手く打たせていきたいわけだが、しかしプロの一軍レベルの場合、いくら良いボールであっても低め一辺倒の配球では簡単に打たれてしまうし、コースも見極められやすい。だからこそ対角線や奥行きをしっかり使って行かなければならないわけだが、炭谷銀仁朗捕手の配球が3Dになっているのに対し、古賀捕手の配球は2Dのように筆者には見えてしまっている。

そしてそれに対し髙橋投手も首を振っておらず、ほとんどのボールを古賀捕手の要求通りに投げていた。つまりこれはまだ経験値が浅い古賀捕手だけの責任ではなく、疑問符が付く配球に対して首を振らない髙橋投手にも責任があるのだ。

良いボールを投げれば抑えられる、という考え方が通用するのはそれほどレベルが高くはないクラスのアマチュアまでだ。プロ野球では良いボールを持っていてもそれを生かす配球ができなければ意味がないし、逆にストレートが130km/h台だったとしても、ホークスの和田毅投手のようにそのボールを150km/hだと錯覚させられる投球術を持っていると、10年20年と一軍で投げ続けることもできる。

そういう意味でも人的補償で和田毅投手を獲得できなかったのが筆者個人としては残念で仕方がない。だがそんな中朗報と言えば、人的補償でライオンズ入りしたものの、右肘の違和感で離脱していた甲斐野央投手がファームの試合でいよいよ投げ始めたということだ。状態が良ければすぐにでも一軍に上がって来れそうな雰囲気であるため、これはファンとしては期待できそうな予感がする。

プロ初タイムリーヒットを放ち打率は.300となった村田怜音選手

さて、良いニュースと言えば今日はやはり村田怜音選手のプロ初タイムリーヒットだろう。本人としては決して本意な打球ではなかったとは思うが、4回表二死二塁一塁という場面でショートの右を抜けていく渋いタイムリーヒットを放った。

しかもそのタイムリーヒットのみに終わらず、最終回にもライト前にヒットを放っている。これで3試合での打率は.300となった。まだまだ打球が上がることは少ないわけだが、こうしてしっかりとバットを振り続けている中で少しずつ打球が上がっていけば、プロ初ホームランが飛び出す日もそう遠くはないだろう。

筆者は先日、ライオンズのほとんどの打者が引っ張るばかりのバッティングになっていると指摘したわけだが、村田選手のヒットはいずれもセンターから反対方向で、無理に引っ張りに行く強引な打撃にはなっておらず、このようにボールに対し素直に反応してバットを出していくスウィングを続けていけば、このまま最後まで一軍で出続けることもできるはずだ。

ただ村田選手は守備力がまだ非常に低いため、現状では指名打者以外で起用するのはやや怖い部分もある。村田選手は一塁手であるわけだが、特に接戦ではかなり不安があるため、仮に今後一塁を守ることがあっても、試合の終盤では守備固めを起用されるケースは多くなるだろう。

しかしレオのガリバーだけあって村田選手の体は非常に大きい。そのため内野手としては的が大きくて送球しやすいというメリットがあり、これは一塁手としては大きなアドバンテージとなる。それを生かすためにも今は村田選手も必死に守備練習をしていると思うのだが、今後はヘスス・アギラー選手のようなハンドリングの柔らかさを身につけていく必要があるだろう。

古賀捕手のパスボールで花を添えられなかった羽田慎之介投手のデビュー戦

羽田慎之介投手

さて、今日の試合ではもう一つ収穫があった。それはプロ初登板となった羽田慎之介投手だ。常時155km/h程度のストレートを投げ込み、ポテンシャルの高さをまざまざと見せつけてくれた。ピッチングを見る限り、まだまだ一軍レベルの精度は持っていない。だがこの投手の精度が高まって来たら、それこそ所沢のランディ・ジョンソンの異名に相応しい成績を残し始めるのではないだろうか。

ではどの辺の精度が甘いかと言うと、今日に関してはプロ初登板という力みももしかしたらあったのかもしれないが、ボールが続けて抜けてしまうケースが見受けられた。ただこれに関しては今後一軍の舞台に慣れていけば改善される可能性もあるため、今日のピッチングだけですべてを判断することはできない。

だが抜けた球は一旦横に置いておいたとしても、コントロールは全体的にボール1個分ずつ高かった。投げるボールに力があるため、それでもそう簡単に打たれることはないとは思うのだが、しかしクリーンナップクラスの打者であれば少しでも甘く入ったらしっかりと捉えてくるだろう。

そしてもう一点、これは経験が浅い若さということもあるかもしれないし、性格とも言えるのかもしれないが、ヒットを打たれた後にあからさまにガッカリしてしまう表情を見せている。もちろんプロの一軍で初めて対戦する打者にヒットを打たれたのだから当然ガックリ来るだろうが、しかし投手としてはそれをチームメイトに見せてはいけない。

マウンド上で投手がガッカリしている姿を見ると、野手陣はそこから不安を感じ始めてしまうのだ。そして不安の中プレーをするとエラーの連鎖も起きやすくなる。野手陣にいつでも落ち着いて守ってもらうためには、投手はどんな時でもポジティブな表情や、戦う選手の表情を見せ続けなければならない。だがこのあたりに関しては確実に豊田清投手コーチから指摘が入ると思われるため、今後どうなるかは楽しみに観察を続けていきたい。

そして羽田投手に好感が持てる点は、大きな体を目一杯使って投げている点だ。例えば投球フォームの上半身の前傾と左太腿の高さを観察していただきたいのだが、両方ともほとんど水平になっているのだ。これはまさに下半身主導でボールを投げられている投手に見られる動作であるわけだが、羽田投手は体の大きさに頼って投げているのではなく、しっかりと体全体を使ってボールを投げている。

実は髙橋投手も平良海馬投手も以前はそのようなフォームで投げていたのだが、近年は年が変わるたびに下半身の使い方がどんどん小さくなって来ている。羽田投手も髙橋投手・平良投手と自主トレを一緒にしているため、同じようなフォームに変わっていかないかやや心配ではあるが、しかし現状のフォームのダイナミックさは本当に素晴らしいと思う。

現時点ではまだまだ「将来のエース候補」という表現にとどまるわけだが、しかしポテンシャルの高さはライオンズの中でも随一と言って良いのではないだろうか。今後今日のようにリリーフ登板を重ねながら経験を積んでいけば、どこかで先発する機会にも恵まれてくるだろう。

羽田投手にはその時のためにもただ勢いだけで投げるのではなく、配球を理解して1球先、2球先を読みながら投げられる投手に成長していってもらいたい。

そして最後にもう一点古賀捕手について付け加えておくと、今日羽田投手が失点した場面(自責0)は古賀捕手のパスボールだった。低めに投げられたボールのスピードにミットの切り返しが間に合わずに弾いてしまったというパスボールだったわけだが、このようなパスボールを一軍で見ることは非常に稀だ。

他の打者も打ち始めている今、配球面でも捕球面でもやはり一旦古賀捕手には考える時間を持たせることも必要なのではないだろうか。せっかく炭谷銀仁朗捕手という名捕手が控えているのだから、炭谷捕手のレベルの高さを見せながら学ばせることも大切だと思う。少なくとも今はそれが可能な程度炭谷捕手は元気なのだから、古賀捕手一択にこだわるのは起用法としてはやや危険な気がしなくもない。

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THE埼玉西武ライオンズガゼット筆者/カズ
筆者 2010年1月よりパーソナルコーチとしてプロ野球選手のサポートを行うプロフェッショナルコーチ。 選手の怪我のリスクを正確に分析し、怪我をしないフォームに変える動作改善指導が特に好評。 このブログではプロコーチ目線でライオンズについて冷静に、そして愛を込めて書いていきます!
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