2024年3月31日公開
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | R | H | E | |
Lions | 0 | 0 | 3 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 | 9 | 1 |
Eagles | 0 | 0 | 3 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1× | 4 | 9 | 1 |
継投/松本航〜
増田達至〜
佐藤隼輔〜
本田圭佑〜
アブレイユ〜
水上由伸〜
糸川亮太
敗戦投手/糸川亮太 0勝1敗0S 13.50
盗塁/古市尊(1)
開幕3戦目、ライオンズはあと一歩で開幕3連勝ということろまで攻め立てるもあと一本が出ず、最後は延長11回の末にサヨナラ犠牲フライを打たれてしまった。そのサヨナラ打を浴びたのはルーキー糸川亮太投手だったわけだが、開幕カードでルーキーがプロの洗礼を浴びるのはライオンズでは2年連続となってしまった。
さて、この試合の分岐点は一つ目はやはり松本航投手が5回しか投げられなかったことだろう。結果的には5回3失点で、QSをクリアすることすら叶わなかった。しかも点の取られ方が悪く、味方が幸先よく3点を先制してくれた3回の、すぐその裏の守りで3点を失ってしまった。これだけあっさりとリードを返上されてしまうと、終盤や延長であと一本が出ないというリズムの悪さにも合点がいくというものだ。
ただし点を取られた3回以外は、不安定ながらもそれなりに抑えていた。球数もまだ95球だったし、あと1イニングくらいは行くのかなと思っていたら、6回からは思いのほか早く増田達至投手の出番となった。
筆者は一つ目の分岐点を松本投手の5回降板というところに見たわけだが、もし松本投手が3回に3点を失ったとしても、あと1イニング、せめて6回まで投げてQSをクリアできていれば、11回の非常に難しい場面でルーキー糸川投手を起用する必要はなかったものと考えられなくもない。
つまり松本投手がもし6回まで投げ抜いていれば、増田投手は7回から登場すれば良いことになり、それ以降の投手たちも1イニングずつ後ろにずれる計算となっていく。そうすれば12球団屈指のブルペン陣で11回までは一人1イニングずつ抑えていき、12回まで行った場合はもうそれ以上の延長はないため、総力戦で最後の1イニングを抑えにいくことができた。
ライオンズにとってこの試合は、延長に入っていった時点で引き分けも勝ちに等しい状況となっていた。つまり負けなければ単独首位で居続けられたということだ。僅か3試合目で単独首位も何もないわけだが、しかし一度も首位を陥落せずに戦い続けることは優勝への最短距離となるため、やはり理想としては3球団の同率首位ではなく、ライオンズの単独首位の座を守りたいところだった。
そして筆者が二つ目として考えた分岐点は、前日の試合の8回裏にあった。8回表が終わった時点でライオンズは6-2とリードしており、ホールドが付く場面ではなくなっていた。そしてこの試合はライオンズの優勢が続いた状態で試合が進んでいたため、5-2のままだったとしてもライオンズが逆転される可能性は高いとは言えなかった。
だが首脳陣はここでホールドが付かない場面であるにもかかわらず、開幕戦に続いて甲斐野央投手をマウンドに上げてしまった。松井稼頭央監督は「3連投はない」と明言していることから、この時点で甲斐野投手の開幕3戦目での登板はなくなった。
しかし上述したように2戦目は点差的にも試合展開的にも余裕があったことから、筆者はここで甲斐野投手を起用する必要性を感じていなかった。試合展開に余裕があるこのタイミングでこそ、ルーキーの糸川投手に初登板を踏ませるべきではないかと考えていた。もしそこで糸川投手が不安定なピッチングを見せたとしてもすぐに豆田泰志投手にスイッチすればいいだけだし、そもそも余裕のある場面であれば糸川投手もオープン戦同様のピッチングを見せられていた可能性もあった。
もし2戦目で甲斐野投手の登板を取りやめていたら、熾烈な延長戦となった3戦目の重要な場面で甲斐野投手を起用することができた。しかしそれができずに今日は糸川投手が打たれてしまったわけだが、糸川投手が打たれてしまった場合は「ルーキーだから仕方ない、次また頑張ってもらおう」と考えるより他ない。だが現実問題としてはこの重要な場面でルーキーを起用し、2年連続で開幕カードでルーキーに辛い思いをさせてしまった采配に疑問符を持ったファンは筆者だけではなかったのではないだろうか。
もちろん「プロの洗礼」と言えば通過儀礼のようにも聞こえるわけだが、しかしこの3連戦を2勝1敗で終えるのと、2勝1分で終えるのとでは大違いだった。首脳陣としてはもちろん、オープン戦での糸川投手の好投を見た上でのこの場面での起用になったと思うのだが、しかし上述したように筆者個人としては、ブルペンのマネジメントは最善ではなく、2戦目で石橋を叩きすぎたのでは、という印象を持ったというのが正直なところだった。
さて、話は変わって外崎修汰選手が絶好調だ。昨日の試合でも2安打1打点、今日の試合でも3安打1打点と、三番打者としてここまで満点の活躍を見せてくれている。近年の外崎選手のバッティングを見続けた上で、筆者は外崎選手は二番や下位打線を打たせた方が仕事をしやすいのではないかと考えていたのだが、それは大きな間違いだった。外崎選手はここまで、立派に三番打者の務めを果たしてくれている。
そして守備力も相変わらず抜群で、この試合でも強烈な打球を難なく捌くなど幾度も投手を助けていた。ポジションの違いこそあれど、筆者は外崎選手を何となく黄金時代の石毛宏典選手と重ねて見ている。顔が色白である点や、右の中距離砲としての存在感などが何となく筆者には重なって見えるのだ。
石毛選手も一時は三番打者を務めたこともあったわけだが、外崎選手にも石毛選手同様、20本台の本塁打を打ちながらも3割以上の打率を残せる打者になっていってもらいたい。外崎選手も2019年には26本塁打をマークしたこともあるため、このまま3割以上の打率をキープしながら、少しずつホームランも積み重ねていってもらえたらなと筆者は期待している。
そしてオープン戦は不振が続いていたフランチー・コルデロ選手が強打の二番として2試合連続打点を挙げている。本来であればコルデロ選手はクリーンナップを打つべき選手なのだから、外崎選手の好調さや、中村剛也選手と栗山巧選手の状態の良さもある関係で、今はコルデロ選手を二番に据えるというオプションが可能となっている。
このままコルデロ選手が二番を打ち続けるのかどうかは誰にも分からないわけだが、しかし一番打者が出塁して二番コルデロ選手がホームラン、三番打者が出塁してさらに四番ヘスス・アギラー選手もホームランという流れも期待できるこの打順は、非常に斬新さを感じさせながらも、機能すればかなり面白みも出てきそうな予感も与えてくれる。
ちなみにコルデロ選手はやはり日本野球をしっかりとリスペクトしてくれていた。オープン戦からずっと不振が続いていたわけだが、その間はずっと日本人投手の研究を続け、タイミングの取り方も嶋コーチや高山コーチ、さらにはチームメイトたちから助言を受けながら、日本人投手のボールに合わせやすいタイミングの取り方にマイナーチェンジさせてきている。
他球団では2軍落ちするのが嫌で退団してしまった外国人選手も出ている中、ライオンズは投打共に本当に素晴らしい新助っ人たちを連れてきたと思う。そして彼らには日本一を達成した秋には助っ人というよりは、チームには欠かせないレオ戦士の一人として他球団からも見られるような存在になっていて欲しいと筆者は願っている。