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2024年4月 5日公開

【ゲームレビュー】2024年04月05日 北海道日本ハム vs 埼玉西武 1回戦

北海道日本ハムファイターズ vs 埼玉西武ライオンズ/1回戦
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 R H E
Lions 0 1 0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 2 6 1
Fighters 0 0 0 0 0 0 2 0 0 0 0 3 14 0

継投今井達也H甲斐野央HアブレイユH本田圭佑H佐藤隼輔●豆田泰志
敗戦投手豆田泰志 0勝1敗0S 3.38
本塁打コルデロ(a)
盗塁西川愛也(1)
失策若林楽人(1)

開幕戦同様の好投も、今日の今井投手が10安打されてしまった理由

降板直後の今井達也投手の表情

ローテーションが一周し、今日ファイターズ戦の先発マウンドに登ったのは開幕投手の今井達也投手だった。結果は7イニングスで113球を投げて被安打10、奪三振4、失点2、自責点1という内容で、2試合登板後の防御率は0.64となった。

2失点(自責1)したものの一週間前よりも調子が悪かったかと言えば、決してそんなことはなかったと思う。もちろん多少の違いはあるだろうが、開幕戦に負けじ劣らずの素晴らしいピッチングを見せてくれた。では一体何が今日と先週では違っていたのか?

筆者はその問いに対し「同じだった」と答えたい。そしてこれこそが今日の試合のバッテリーミスだったと筆者個人は感じていた。今日の今井投手の配球は、先週の開幕戦で見せた配球とほとんど変わらなかった。もちろん昨季と比べても大きく変わったというわけではないのだが、配球のパターンに関しては一週間前とほとんど同じように見え、カウントの作り方はまるで先週のリプレーを見ているかのようだった。

相手チームのスコアラーは基本的には、最新の試合データからピッチングの傾向を探り出し、それを首脳陣に上げていく。つまりファイターズのスコアラーが今日の試合で重視したのは昨年のデータよりも、開幕戦のデータになるということだ。

恐らくまだ若い今井-古賀バッテリーは開幕戦での成功体験そのままに今日の試合に挑んだのではないだろうか。筆者は自身のクライアントである選手たちには常々話しているのだが、自分自身の一番自信があるピッチング、一番自信があるスウィングを続けたからといって、野球というスポーツでは勝負に勝てるわけではないのだ。

正直言って今日の今井投手も本当に素晴らしいボールを投げていたと思う。球速は自己最速となる159km/hをマークしていたし、スライダーにも先週同様のキレがあり、チェンジアップもやはり良い高さに落ちるボールが多かった。だがその配球パターンが開幕戦とほとんど同じだったのだ。これでは流石に一軍レベルでは通用しない。

今日の試合を見ていても、繰り返しになるが今井投手は本当に素晴らしいボールを投げていた。それでも失投ではないスライダーやチェンジアップに上手く合わされて打たれた場面が非常に多かった。筆者が見ていた感じでは、完全にスライダーが来ると分かって振りに来た打者が多かったように思う。

その結果、開幕戦ではスライダーで上手く空振りが取れていたのだが、今日の試合では空振りを取りたい場面で取れないケースが非常に多く、ヒットにならなかった場面でも上手く合わされて打たれたボールが多かった。投げているボールは素晴らしかったのにこうも簡単に10安打も打たれてしまうというのは、やはり配球の問題だったと考えるべきだろう。

そしてこんな時こそ抑え捕手として炭谷銀仁朗捕手を投入すべきだった。筆者個人としては、8回表に一死二塁という勝ち越しの場面を迎えた際に、二塁ベース上にいた古賀捕手に代走を送るべきだったと考えていた。

首脳陣としては正捕手として育ち始めている古賀捕手を代え辛かったのかもしれないが、結果的にその後源田壮亮主将のレフト前ヒットで一死三塁一塁となり、西川愛也選手のスクイズで古賀捕手がホームに突っ込むも憤死してしまった。

この憤死はリプレー検証にも持ち込まれたほど微妙なタイミングだったため、例えばここで高松選手などを代走として送っていれば、このスクイズは成功していた可能性の方が高かった。そして8回裏からは2-3と勝ち越した上で抑え捕手として炭谷銀仁朗捕手を起用するのが、勝つためにはベストだったのではないだろうか。

ただ、松井稼頭央監督はそれを分かっていても育成のために辛抱して起用し続けることがよくある。そういう意味では松井監督も、配球が読まれていると知りつつも、それを学ばせるために古賀捕手を代えなかったのかもしれない。松井監督の昨季の采配からすると、その可能性も高いと考えるべきだろう。

そしてもしそうだったとすれば、今日の1敗は後々2勝3勝となってチームに還元されることになるはずだ。松井監督は想像以上にクレバーな采配を執るし、これまでのどの監督よりも数字に強い監督だ。そして今日の経験を生かし、古賀捕手も次戦では必ずやもっと相手を幻惑させるようなリードを見せてくれるだろう。

ついに飛び出したコルデロ選手の来日第1号ホームラン

そして打つ方ではフランチー・コルデロ選手に待望の来日第1号ホームランが飛び出した。外角のボールを比較的力を抜いて振っていたように見えたのだが、打球はグングン伸びてセンターバックスクリーンに飛び込んでいった。これにはもう流石のパワーだと唸るより他ない。

コルデロ選手は調子が上がってくるにつれて舌も滑らかになっているようで、「これからもどんどんホームランを打ってチームの勝利に貢献したいし、自分はそのために日本にやってきた」という趣旨のコメントも残している。ラテン系の選手は乗り始めるとガンガン打ち始めることがよくあるため、週末の残り2試合も、コルデロ選手には大きな期待を寄せられそうだ。

一方ヘスス・アギラー選手も今日は2本の二塁打を放ちチームの得点に絡んでいる。アギラー選手に関しては決して好調というわけではなさそうだ。ここ数試合目立つのが、初球の甘いファーストストライクを簡単に見逃し、厳しいコースに行ったセカンドストライクを振りにいくケースが増えている。

ボールをよく見ていくアギラー選手の場合、これを決して悪いことだとは言えないわけだが、しかし相手チームもアギラー選手の情報として、ファーストストライクを見逃してくることが多いというデータを持っているはずだ。そのため相手バッテリーもアギラー選手に関しては、ファーストストライクは積極的にストライクゾーンに投げてくることがここまでは多い。

だがセカンドストライクになると、ボールになっても良いという際どいコースに投げてくることが多く、アギラー選手はここ数試合、そのボールを打たされてしまうという場面が目立っている。そのため今日はマルチヒットを放ちながらも打率は.250に留まり、初ホームランもまだ飛び出していない。

しかしアギラー選手としても逆に、自分に対して相手は積極的にファーストストライクを取りに来る、というデータをすでに得ているはずだ。そのデータを生かし、アギラー選手も甘く入ったファーストストライクを積極的に狙いにいけば、今週末にでも初ホームランが飛び出すのではないだろうか。

いずれにせよアギラー選手とコルデロ選手は、それぞれ.250、.240というまだ凡庸な打率に留まっているものの、この数字以上にインパクトのあるバッティングを見せてくれている。この調子で行けばこのふたりは、ゴールデンウィーク前にはヒット、ホームランの量産体制に入っていくのではないだろうか。

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THE埼玉西武ライオンズガゼット筆者/カズ
筆者 2010年1月よりパーソナルコーチとしてプロ野球選手のサポートを行うプロフェッショナルコーチ。 選手の怪我のリスクを正確に分析し、怪我をしないフォームに変える動作改善指導が特に好評。 このブログではプロコーチ目線でライオンズについて冷静に、そして愛を込めて書いていきます!
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