【ゲームレビュー】2024年04月06日 北海道日本ハム vs 埼玉西武 2回戦

2024年4月 6日公開

北海道日本ハムファイターズ vs 埼玉西武ライオンズ/2回戦 - エスコンフィールド
1 2 3 4 5 6 7 8 9 R H E
Lions 0 0 0 4 0 0 0 0 1 5 10 1
Fighters 0 0 0 0 0 0 0 0 2 2 7 0

継投○隅田知一郎本田圭佑水上由伸Sアブレイユ
勝利投手隅田知一郎 2勝0敗0S 1.42
セーブアブレイユ 0勝0敗4S 0.00
本塁打佐藤龍世(1)、 岸潤一郎(1)
盗塁金子侑司(2)
失策源田壮亮(1)

ダイジェスト
佐藤龍世選手のヒーローインタビュー

本格的に名捕手の育成を始めたように見えるライオンズバッテリー

隅田知一郎投手

エスコンフィールドでのファイターズ2回戦、先発マウンドに登ったのは隅田知一郎投手だった。開幕第2戦となった先週は、調子が良くないなりにしっかりと試合を組み立てた隅田投手だったが、今日投げていたボールは先週のボールよりも球質が良くなっているように見えた。

結果的には得意とするエスコンフィールドで7回で98球投げて被安打4、奪三振5、四球1、失点0という素晴らしい内容だった。打たれたヒットもすべて散発で、四球を含めてもピンチらしいピンチをほとんど背負うことなく先発としての役目を全うした。

ここまでの隅田投手を見ていると、侍ジャパンの欧州代表戦で一度ピークに持っていき、そこからやや状態が落ち着き、また上がり始めているのが今日の試合だったのではないだろうか。今日は非常に力強いボールを投げていたわけだが、さらに状態が上がっていけば球質はもっと良くなり、今日は5つに留まった奪三振ももっと増えていくことになるだろう。

今日の隅田知一郎投手のピッチング

さて、隅田投手も含めて今季のライオンズ投手陣の姿を見ていると、古賀悠斗捕手のサインに首を振るシーンがやや多くなっているように感じる。だがこれは決してバッテリー間の意思疎通ができていないということではなく、恐らくは豊田清コーチの指示によるものではないだろうか。

現役時代の豊田清投手はいわゆる「東尾チルドレン」の一人だった。当時の東尾修監督の元で力を付けていった投手で、当時東尾監督は投手陣に対し、配球は捕手任せにするのではなく自分自身でも考えて、自分自身の意思も持ちながらサイン交換するようにと指示していた。

辻発彦監督時代の投手陣は、もちろん時々は捕手のサインに首を振ることはあったが、ほとんどは捕手のサイン通りに投げていた。当時の正捕手であった森友哉捕手の配球がそれだけ信頼されていたのかもしれないが、しかし元プロ野球選手である評論家たちの間では森捕手の配球に対する評価は決して芳しいものではなかった。

ライオンズでは東尾監督が退任すると細川亨捕手、野田浩輔捕手の二人が台頭していくわけだが、二人は当時、年下の投手でも納得がいかないサインが捕手から出されると、イニング間で投手に叱られることがあったという。特に当時のエースであった松坂大輔投手は自らの意思をしっかり反映させた配球を求めたと言う。

そして当時ライオンズのスター選手であった松井稼頭央監督はもちろんその姿をベンチで見て記憶しており、それが名捕手の育て方であると現役選手でありながらもそこで学んだのかもしれない。

昨日の今井投手にしても、今日の隅田投手にしても、古賀捕手のサインに首を振るシーンが目立ったのは首脳陣のそのような思惑が反映されていたからではないだろうか。つまり名捕手を育てるために、あえて投手に自らの意思を主張させている可能性がある。

松坂大輔投手をはじめ潮崎哲也投手、西口文也投手、石井貴投手、豊田清投手、森慎二投手ら歴戦の投手陣に揉まれた結果、その後正捕手の座を掴んだ細川亨捕手は、あの野村克也監督が褒め称える名捕手へと育っていった。松井稼頭央監督は東尾修監督が生み出したそのような名捕手を育成する土壌を今、バッテリー間に植え付けようとしているのかもしれない。

2失点という数字以上に気になる水上由伸投手のボール

さて、抜群の安定感を誇る投手陣の中で唯一心配なのが水上由伸投手だ。今季初登板となった楽天戦と、2試合目のオリックス戦に関しては素晴らしいパフォーマンスを見せてくれた(2試合目は1球で牽制アウトを取って火消し)。しかし3試合目の登板となった4月4日のオリックス戦から少しずつ雲行きが怪しくなってくる。

そして今日は4点リードした楽な場面での9回登板となったわけだが、ヒット2本、四球1つで2点を失ってしまった。決して不調という感じには見えなかったのだが、ピッチングには力みがあるように見えた。

最初の打者を迎えた時点から逆球が多く、古賀捕手が出した右打者内角へのシュートは2球連続で引っかかって外角に流れ、その直後には外角のサインに対し内角に投げてしまい痛打を浴びている。これらがすべて力みのせいだったのか、それともフォームに何らかの違和感があったのかは分からないが、確かに言えることは投げたいところにまったく投げられていなかったということだ。

2点を奪われたとしても、これがもし厳しいコースに決まったボールを上手く打たれてしまったというのならば別の見方もできる。しかし今日の水上投手に関しては2失点という数字以上に、ピッチングの内容が悪すぎた。豊田コーチもまさかアブレイユ投手を投入せざるを得なくなるとは思わなかったのではないだろうか。

アブレイユ投手とすれば打者1人に投げて4セーブ目を挙げられたのだから、幸運だったと思ったかもしれない。しかしブルペンのマネジメントに責任を持っている豊田コーチからすれば、3連戦3連投を避けるためにもアブレイユ投手は温存したいと思っていたはずだ。

もちろんこの1試合の失敗で水上投手が即2軍落ちとなることは考えにくいが、しかしこれが2試合3試合と続いた場合は、首位争いを繰り広げている現状からして、松井監督も比較的早く決断することになるのではないだろうか。

4月4日に水上投手が奪った牽制アウト

さて、松本航投手の先発が発表されている明日の試合は非常に大切な一戦となる。ホークスが下位チーム相手にほとんど取りこぼすことなく戦っていることから、ライオンズとしても最低限2勝1敗ベースは死守していかなければならず、そのためにも明日は必勝の一戦となってくる。

先週の松本投手はややチームの勢いを削いでしまうような姿を見せてしまったため、挽回の機会となる明日の登板には大きな期待を寄せいたい。明日松本投手が好投することによりしっかりとチームを勝利に導いてくれれば、ライオンズは気持ち的にも体力的にも余裕を持って火曜日の県営大宮球場に向かうことができる。ホークスを首位の座から引き摺り下ろすためにも、明日は松本投手の快投に期待したい!

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THE埼玉西武ライオンズガゼット筆者/カズ
筆者 2010年1月よりパーソナルコーチとしてプロ野球選手のサポートを行うプロフェッショナルコーチ。 選手の怪我のリスクを正確に分析し、怪我をしないフォームに変える動作改善指導が特に好評。 このブログではプロコーチ目線でライオンズについて冷静に、そして愛を込めて書いていきます!
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