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2024年6月26日公開

10回裏のオーバーランは長谷川選手ではなく、99%阿部真宏コーチの判断ミス!

埼玉西武ライオンズ vs 北海道日本ハムファイターズ/9回戦 大宮
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 R H E
Fighters 2 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 2 8 1
Lions 0 2 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 2 0 2

継投武内夏暉Hジェフリー・ヤンHアルバート・アブレイユH松本航H羽田慎之介本田圭佑投手
失策山村崇嘉選手(1)、山村崇嘉選手(2)、

埼玉西武ライオンズ

児玉亮涼選手に続き、外崎修汰選手も2球続けてバントミス!

やはりこれだけミスをしていては勝てるゲームも勝てなくなってしまう。よく、勝ちに等しい引き分けと言われることがあるが、今日のライオンズの引き分けは負けに等しい。そもそも引き分けが勝ちに等しくなるのは上にいるチームだけで、1つでも多く勝たなければならない下にいるチームにとって引き分けは負けに等しいのである。

さて、では今日はどのようなミスが出たかと言えば、まずは2回裏、無死二塁一塁という場面だ。先日は児玉亮涼選手が2球続けてスクイズを失敗してしまったわけだが、今日は外崎修汰選手だった。この場面で外崎選手に出されたサインは送りバントだったわけだが、外崎選手はこれをしっかりと決めることができなかった。

まずは初球、外角低めに構えられた捕手のミットに反しほぼ真ん中に入ってきたボールを、セーフティ気味にバントしてファールにしてしまった。この場面は投手を揺さぶりたいのではなく、1球でしっかりとバントを決めて流れを作らなければならなかったわけだから、セーフティ気味ではなく、最初からしっかりとバントの構えをすべきではなかっただろうか。

そして2球目はフォークボールがすっぽ抜けてストライクゾーンのかなり高めに来たわけだが、それもファールにしてしまった。2球ともバントをするのにはさほど難しいボールではなかったため、副主将がこのようなミスを立て続けていてはチームが勝てないのも不思議ではない。

結果的に外崎選手はサードゴロに倒れたわけだが、しかしミスをしたのはライオンズ側だけではなく、この場面、ファイターズ側にも大きなミスが出た。ファイターズのサード郡司選手が、正面に入れた打球で正面には入らず、体の横にグラブを出して腰を引き気味に捕りに行ったため、グラブがボールを弾きこれがタイムリーエラーとなってしまった。人工芝慣れした選手によくありがちな、土のグラウンドでのエラーだ。

外崎選手としては救われたわけだが、しかしファイターズ側にミスが出たとは言え、外崎選手の2球連続でのバントミスはチームの流れを悪くしてしまった。今のライオンズは本当にバントが下手な選手が多い。ヒットを打てないのであれば、今日のように四球でもらった走者を大切に送りながら、チームバッティングで点を取っていくしかないわけだが、今のライオンズはヒットを打てなければバントを決めることもできない。

ペナントレースはまだ半分も終わっていない。今後1つでも上に順位を上げていくためにも、今のうちにチーム全体でバントの特訓をしておくべきではないだろうか。そしてその際にはバッティングマシンでバントをするだけではなく、投手陣にも協力してもらい、バントをしにくいボールを投げてもらって練習をすべきだろう。

10回裏の長谷川信哉選手のオーバーランは、99%阿部真宏コーチのミス

そして今日のミスは外崎選手のバントミスだけには終わらなかった。2-2の同点で迎えた10回裏、二死二塁一塁というサヨナラの場面でも致命的なミスが出てしまった。この場面、9回の守備から入っていた滝澤夏央選手が打席に立ち、コースに逆らわない見事なバッティングでレフト前ヒットを放った。

この場面でミスをしたのは阿部真宏三塁コーチだ。走者二塁一塁という場面でヒットが出た際の三塁コーチの仕事は、右腕で二塁走者、左腕で一塁走者をコントロールすることだ。一部スポーツ紙は「三塁コーチがストップをかけていたにもかかわらず長谷川信哉選手がオーバーランした」と書いているがそうではない。これは明らかに阿部コーチのミスだ。

阿部コーチは長谷川選手が三塁ベースに差し掛かろうとした際、右腕をグルグルと回し、左腕ではほとんど何もしていなかった。長谷川選手としては、阿部コーチが右腕を回していたため当然ホームに突っ込むつもりで三塁を駆け抜けようとした。しかし長谷川選手が三塁ベースに至った瞬間、阿部コーチは突然両腕でストップをかけた。だが勢いづけて走ってきている長谷川選手がそれによってオーバーランせずに止まることなど不可能だ。

筆者は以前監督を務めていた際にずっと三塁コーチとして立っていたため、三塁コーチの難しさはよく分かっている。だが走者が2人いたこの場面では両腕を使って2人を走者を制御するのが三塁コーチの務めであり、それを難しいだの何だのと言うことはできないし、それができないのならば三塁コーチとして立つ資格などない。

この場面で阿部コーチが出さなければならなかったシグナルは、両腕共にストップをかける動作だ。まったく難しくはない。なぜなら滝澤選手のレフト前ヒットは決して深い当たりではなく、二塁走者も一塁走者も2つの進塁を狙うことはほとんど不可能だったからだ。そのためこの場面では、二死満塁で三番の栗山巧選手を迎えるべきだったのだ。

ハッキリ言って、なぜ阿部コーチが腕をグルグル回していたのかは筆者にはさっぱり分からない。ファイターズのレフト水谷選手は、長谷川選手が三塁に到達する前に捕球をしていたし、しかもその場所は内野の土エリアから4〜5mしか離れていない場所であり、もし長谷川選手がそのままホームに突っ込んでいたとしても、長谷川選手がスライディング体勢に入る前にボールはバックホームされてキャッチャーミットに収まっていただろう。つまり余裕でアウトになっていたということだ。

これは100%阿部コーチのミスというかボーンヘッドであり、長谷川選手には1%の非もない。あるとすれば三塁に向かって走りながらレフトの動きは見えていたはずなので、それによって自主判断で止まらなかったのは確かに長谷川選手のミスと言えるのかもしれない。だが三塁コーチが腕をグルグル回していたのだから、三塁ベースに到達してレフトに背を向けた長谷川選手としては、「阿部コーチが腕を回しているからレフトが後逸したのかもしれない!」という判断となり、やはりオーバーランは致し方なかったと言える。100%とは言わない。だが99%は阿部コーチのミスだ。

バントミスにしろ三塁コーチのミスにしろ、こんなことをやっていたらもしホークスの小久保監督ならば激怒していただろう。もちろん渡辺久信監督代行もこれらのミスをスルーすることはしないと思うが、しかし阿部コーチはこれまでも決して判断力が高い三塁コーチではなかったため、二軍の小関コーチらとの入れ替えを図ることも必要となるのではないだろうか。コーチングスタッフにしても、今季最後までこのメンバーで戦うことに拘る必要はないと思う。

先輩選手たちが足を引っ張ってしまった武内夏暉投手の復帰登板

武内夏暉投手

さて、コロナ感染から復帰して久しぶりの一軍マウンドとなった武内夏暉投手はよく投げてくれたと思う。初回こそ3連打を浴びていきなり2失点(自責1)してしまったが、2回以降は降板する8回まで連打を許さな好投を続けてくれた。

初回に関してはもしかしたら大宮のマウンドがしっくりいかなかったのかもしれず、どのボールもだいたいボール1個分ずつ高かった。そこを狙われての3連打だったわけだが、それに加えて一塁に入っていた山村崇嘉選手のエラーも重なり、不運な点の失い方をしてしまった。

だが先制されると圧倒的に弱くなるライオンズが、今日は奇跡的に2回にあっという間に追いついてくれて、武内投手に負けがつくことはなかった。これでルーキーの開幕5連勝という記録は次回に持ち越されることになったわけだが、来週の登板日には打線にはもう少し奮起してもらい、もっと楽に武内投手に投げさせてあげて欲しい。

せっかくルーキーがこのように頑張っているのにエラーしたり、バントミスしたり、三塁コーチが判断ミスしたりと、本来はルーキーを盛り立てていかなければならない先輩たちがルーキーの足を引っ張ってしまっていた。今日の試合、筆者は武内投手を本当に不憫だと思いながら観戦していた。もちろんこれらのミスがなくても武内投手に白星が付いていたかは分からない。だがルーキーが頑張った試合で先輩方がこのようなミスをしているようでは示しがつかない。

明日は一日試合がない日が挟まれるわけだが、山形に移動する前に打撃陣は自主的にバントの特訓をしておくべきだろう。シーズン中のこのような全体練習は異例と言えるわけだが、しかし今年のライオンズの負け方も異例であるのだから、そのような状況で今までと同じことをやっていてもダメだ。バントミスが立て続けに起きているのだから、ヒットを打てないのであればバントくらいはしっかりと決める野球をするためにも、明日はぜひ新幹線に乗る前にバントの特訓をしておいてもらいたい。

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THE埼玉西武ライオンズガゼット筆者/カズ
筆者 2010年1月よりパーソナルコーチとしてプロ野球選手のサポートを行うプロフェッショナルコーチ。 選手の怪我のリスクを正確に分析し、怪我をしないフォームに変える動作改善指導が特に好評。 このブログではプロコーチ目線でライオンズについて冷静に、そして愛を込めて書いていきます!
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