2024年2月15日公開
ライオンズの春季キャンプも8日目を終えたわけだが、ここまで目立った怪我人も出ずにチームとしては非常に順調に来ていると思う。ここまでの故障者は公式には平沼翔太選手のみで、あとは渡部健人選手が体調不良でやや出遅れた程度となっている。
だが気になる点が一つ。SNS上では髙橋光成投手が帰京したという情報が流れており、もし事実だとすればこれはかなりのイレギュラーだと言える。通常は怪我をしていないのにキャン地を離れるというのは、考えられることとすれば身内に不幸があったり、家族の体調がかなり良くない場合などだ。ちなみに友人の結婚式に出るためにキャンプ地を離れるケースはまず考えにくい。もちろんオフ日を使って日帰りとなれば話は別だが。
しかし髙橋投手に関しては特別に公式なアナウンスがされているわけでもないし、スポーツ紙に情報が出て来ているわけでもない。そのため怪我ではないことを祈ることしか今はできない。
髙橋投手の情報として今確かなことは、どうやら第2クールではブルペン入りしていないということと、帰京してしまったという点のみだ。ただ、もし怪我をしてしまったのであれば球団から何らかのアナウンスは出るはずであり、それがないということは怪我ではないか、もしくは怪我の可能性があって検査を受けに戻ったかというところだろうか。だが検査を受けるにしても、まずは九州の病院で診てもらうことが普通だと思う。
とにかく怪我ではないにしても、このタイミングでの帰京は普通では考えられないためやや心配にはなる。今季は圧倒的な数字を残してチームの日本一に貢献すると宣言していただけに、理由が分からないエースのこの離脱はチームに暗雲をもたらしかねないとも言える。
さて、一方順調なのは平良海馬投手であるわけだが、普通に考えればエースが日本代表に選ばれず、まだエースとは呼ばれていない平良投手と隅田知一郎投手が3月の日本代表に選ばれたというのは、ライオンズファンとしてはやや複雑だ。
やはり日本代表チームなのだから、まずエースに選ばれてもらいたい。だが筆者の記憶が正しければ、髙橋投手はプロ入り後は日本代表には選ばれていないと思う。高校時代にはU-18に選出されているが、ライオンズに入ってからは日本代表のユニフォームとはまだ縁がない。
ライオンズのエースでは、松坂大輔投手や涌井秀章投手が日本代表として活躍して来た。だがそれ以降、ライオンズでエースとされた投手は日本代表には選出されていない。
岸孝之投手はイーグルス移籍後には代表に選ばれているがライオンズ時代には選ばれておらず、菊池雄星投手も代表のユニフォームは着ていない。そして現在のエースである髙橋投手も上述の通り代表とは無縁だ。これはライオンズが日本一から遠ざかっている一因と言っても過言ではないだろう。絶対的エースの不在により、12球団しかないプロ野球でライオンズは16年も日本一から遠ざかっている。
ライオンズでは涌井投手が去って以来、エース対決で勝ち切れる投手がなかなか出てこない。岸投手もエース対決では決して強いとは言えなかったし、菊池投手に関して上位球団にはまったく勝つことができなかった。そして髙橋投手もエース対決で勝率が良いとは言い切れない。
ライオンズが今後常勝時代を築き上げていくためには、やはりエース対決で.500を越える勝率を残せる投手の出現が必要だ。例えばシーズンの通算勝率が.650以上で、エース対決でも.600近くを残せるようになると、絶対的エースと呼べるようになる。
そして今そのような、エース対決での勝利を期待できるのは平良投手と今井達也投手だ。この二人はまだ表ローテの一番手としてシーズンを回ったことはないため、この二人のどちらかにそこを任せたらどうなるかというのを、今季は見てみたい気もする。
また、それによって髙橋投手を裏ローテの一番手以下のポジションで起用できれば、髙橋投手の勝率を上げることも可能になるため、もし平良投手か今井投手がエース対決で勝てるようになれば、その相乗効果は非常に大きい。
なお平良投手は3月6日の欧州代表戦に先発すると言われている。これがもしWBCのような試合であれば、代表に選出された時点で平良投手の開幕投手はなかったと思う。だが3月6日に1試合投げる程度であれば、パ・リーグの開幕戦登板にはまったく支障がないため、平良投手が開幕投手になっても不思議ではない。
一方今井投手に関しては、開幕戦を戦うイーグルに対して滅法強くカモにしている。チームの開幕ダッシュということを考えれば、開幕カードをより確実に勝ち越すためにも今井投手が開幕投手を務める可能性は低くはないだろう。
そして理想を言えば、今のところメジャー指向を口にしていない今井投手が開幕投手を務めるのがベストだと思う。髙橋投手や平良投手に関しては近い将来でのメジャー移籍が濃厚となっているため、彼らをチームの軸にするよりは、まだ当分ライオンズでプレーしてくれるであろう今井投手を軸にできた方が、長期的なチーム作りはやりやすい。
だが基本的には、最も良いパフォーマンスを発揮できる投手が開幕投手を務めることになる。その時もし複数の投手たちが同水準にいた場合は、上記のように相性や将来性によって選ばれることもある。このあたりは松井稼頭央監督次第ということにもなってくるわけだが、松井監督も決して短期的視野ではチームを見ていないはずだ。
個人的には、時々手が付けられないほど圧倒的なピッチングを見せてくれる今井投手の安定感が増していれば、今井投手を軸としてチームを作っていくのが良いのかなとは考えている。だがまさに安定感こそが鍵で、今井投手の弱点は安定感の低さにあった。良い時は凄く良いのだが、調子が落ちると平均的パフォーマンスの維持も難しくなってしまう。
もし今季そのような悪い癖が見られなくなっているようであれば、筆者個人としては今井投手を開幕戦で見てみたいと思っている。カモにしているイーグルス戦からシーズンを始められれば、今井投手自身もロケットスタートを切りやすくなるためだ。
今季パ・リーグの開幕戦は3月29日で、松井監督は春季キャンプ中に開幕投手を決めると話している。そしてライオンズの春季キャンプは4日間+5日間の残り2クールとなっている。つまり今から10日以内には開幕投手が決まるということであり、筆者も一ライオンズファンとしてその発表をワクワクしながら待ちたいと思う。