2024年4月14日公開
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E | |
Hawks | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 3 | 0 | 0 | 0 | 4 | 12 | 0 |
Lions | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 1 | 6 | 0 |
継投/ ●髙橋光成投手〜 田村伊知郎〜 本田圭佑〜 ジェフリー・ヤン
勝利投手敗戦投手/髙橋光成 0勝1敗0S 6.00
本塁打/ヘスス・アギラー(2)
言葉がない。開幕直後こそ上々の滑り出しを見せたライオンズだったが、今日ホークスに3タテされ連敗は5に伸びてしまった。先週まで首位争いをしていたのが幻だったかのように、今は最下位争いを演じている。
このような状況が続いてくると、松井稼頭央監督の指導力にも疑問符が付き始める。例えば松井監督は走魂を掲げ、昨季から盗塁数を増やすことを一つのテーマにしてきた。しかし今季ここまでの盗塁数は6で、トップに立つホークスのちょうど半分の数字に留まっている。
もちろんリードオフマンを固定できないという事情もある。一番を打つ打者がまったくと言って良いほど打てていないため、盗塁をさせようにもさせられる状況にならないという現実もある。しかしリードオフマンの不在はもう何年も続いている状況であり、今年も同じようにリードオフマンを固定できない状況になっているのは、これは完全に首脳陣の失策だと言える。
そしてチームの得点力は先週まではホークスと同水準だったのだが、今日5連敗後の数字はホークスが58、ライオンズが42で、ライオンズのチーム得点数はホークスよりも16点も少ない。
さて、松井監督はよく「明日に繋がる」「次に繋がる」という言葉を使うが、重要なのは明日の試合ではなく、今日勝つことだ。確かに一年間戦えばチーム状態には必ず浮き沈みが出てくる。しかしライオンズの場合はあっという間に沈んでしまい、そこから立ち直れずに5連敗となっている。
そしてリードオフマンに関しても今日は外崎修汰選手を一番に据えたわけだが、好調外崎選手でも一番に入るとヒットが出ず、そもそも好調だったのが嘘だったかのように今日の試合は打率.246で終えている。
今のライオンズからは「絶対に勝つ!」という雰囲気がまったく感じられない。「勝てれば良いな」「打てれば良いな」「抑えられたら良いな」という程度の気持ちしかファンには伝わって来ていない。もちろん選手たちはそれを否定するだろう。しかし応援しているファンにはそのようにしか伝わってこないのだ。
今日の試合後にライオンズナインがファンに挨拶をした際、栗山巧選手だけは口を一文字に閉じ、険しい表情でファンに頭を下げていた。そう、その姿はまさに申し訳ないと頭を下げているように見え、決して試合後の挨拶をしているような表情ではなかった。
勝利への執念を前面に出しているのは栗山選手だけだ。40歳を越える大ベテランだけがファンに戦うための表情を見せているのが現状のライオンズだ。この状況ではもう、とにかく栗山選手を試合に出し続けてもらいたい。中村剛也選手の一発も魅力的ではあるが、今は栗山選手の闘志あるプレーが見たい。
相手バッテリーは、栗山巧選手が良く打つことを知っている。だからこそ簡単にまともなストライクを投げることができず、栗山選手は多くの四球を得ているのだ。つまり栗山選手がフル出場して4〜5打席立てば、必ずどこかの打席ではヒットを打ってくれるはずなのだ。そしてもし今日打てなくても、明日は打ってくれるはずなのだ。
「ベテランだからフル出場は望めない」なんて言葉は今はナンセンスだ。敗戦への怒り、勝利への執念を全面に見せている栗山選手こそレギュラーに相応しい選手だ。そして栗山選手のその闘志に付いて行けない選手は、首脳陣はどんどん篩にかけていくべきだ。
正直なところ源田壮亮主将と外崎副主将は今のところチームを鼓舞することができていない。チームを仲良く一つにはまとめているのかもしれないが、しかしチームを戦う集団にすることはできていない。
逆にホークスの小久保監督は自らが先頭に立ち戦う姿を見せている。監督があれだけ勝利に対する執念を見せているのだから、選手がそれに負けるわけにはいかない。しかしライオンズは主将・副主将にそれができておらず、松井監督も小久保監督のように厳しさを前面に出すタイプではない。
だが栗山選手はすでにそれを見せている。他の選手がそれに気付いているかどうかは分からない。いや、気付いていないからこそこんな呑気に5連敗を喫しているのだろう。
さて、ライオンズには昨季まで山川選手の助言を受けた選手が大勢いる。その山川選手は後輩の特徴を把握した上でアドバイスをしていたはずであり、その山川選手の情報がまた完全にホークスに流れていると考えて間違いないだろう。
昨季はバファローズに情報が流れ、今季はホークスに。ライオンズは何を同じことをいつまでも繰り返しているのだろう。山川選手により情報がホークスに流れることはもう分かっていたのだから、その対策をまたもやしていなかったことに筆者は失望している。
これに関しては首脳陣やスコアラーに責任がある。今までと同じ野球をやっていては、ホークスに流れた情報をそのまま利用されてしまうことになる。だからこそ昨季とは違う野球をしなければならないわけだが、ライオンズの各打者はそれほどの工夫をしているようには見えない。
かつて2008年に打撃コーチを務めたデーブ大久保コーチは、勝負どころでは選手が打席に入る前に必ずネクストバッターズサークル付近で耳打ちをしていた。デーブ大久保コーチは野球に対し本当に研究熱心な方で、ライオンズのコーチ時代は寝る時間を削ってでも対戦相手の研究をすることに余念がなかった。
その結果デーブ大久保コーチは体調を崩すこともあったのだが、しかし的を射たデーブ大久保コーチの耳打ちにより選手たちはより多くのヒットを打つことができ、最終的にライオンズは日本一を達成することができた。だが現在の打撃コーチを見ていると、そのような的確なアドバイスをまったく送れていないように見える。
ちなみに2008年、デーブ大久保コーチの役割は対戦相手に対する対策を練ることで、技術的なアドバイスをするのが熊澤とおる打撃コーチ補佐の役割だった。当時はこのように役割分担が明確になっており、それぞれのコーチがしっかりとその役割を果たすことで、この年のライオンズは198本のホームランを放っている。
さて、当時のデーブ大久保コーチの役割は恐らくは平石洋介ヘッド兼打撃戦略コーチの務めになるのだと思う。しかし打撃戦略はここまで明らかに成り立っていない。もちろんヘスス・アギラー選手とフランチー・コルデロ選手の状態が上がってくるのを待っているという側面もあるだろう。しかしアギラー選手はここに来て2試合連続ホームランを打っている。
平石コーチの打撃戦略が成り立っていないのであれば、ここは平石コーチはヘッド職に専念させて、例えば嶋重宣コーチを二軍に配置転換し、二軍の小関竜也ファーム野手総合コーチに一軍打撃兼打撃戦略コーチを任せてみてはどうだろうか。
とにかく何かをしなければこのままズルズル最下位争いを続けてしまうことにもなりかねない。そしてもし今年も最下位争いをしたままシーズンを終えるようなことになれば、松井監督が来季もユニフォームを着ることはないだろう。
そうならないようにするためにも、渡辺久信GMは選手がもっと危機感を持つような一手を打たなければならない。それこそ闘志のないプレーを見せた選手を即トレードに出すくらいのことをしていかなければ、今のチーム状況が変わることはないのではないだろうか。
マリーンズ戦の2連敗だけでもライオンズファンはすでに失望していたわけだが、それに続けて因縁のホークス相手に、しかもホームで3タテを食らってしまったのだ。この5連敗によりベルーナドームから足が遠ざかるファンはさらに増えるだろう。
ファンは「次に繋がる結果」など求めてはいない。次に繋がろうと繋がらなかろうと、目の前の試合に勝つことだけをファンは望んでいるのだ。そして今、ライオンズでそれを理解しているのは栗山巧選手だけのように見える。