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2024年4月16日公開

● 2024年04月16日 千葉ロッテ4 - 3埼玉西武/3回戦 ZOZOマリン

千葉ロッテマリーンズ vs 埼玉西武ライオンズ/3回戦
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 R H E
Lions 0 0 0 0 0 0 3 0 0 0 0 3 2 1
Marines 0 0 1 0 0 0 2 0 0 0 4 9 0

継投平良海馬本田圭佑H甲斐野央HアブレイユH佐藤隼輔●増田達至
敗戦投手増田達至 0勝1敗0S 2.45
本塁打山村崇嘉(1)
失策炭谷銀仁朗(1)

秋本真吾コーチと契約を結んだ西武球団の判断には多少の疑問あり

ライオンズはこんなにも弱いものだろうか。戦力や個々の能力では決して他球団より劣っているわけではない。しかし対マリーンズ戦は今日の敗戦で3戦3敗となり、チームも目下6連敗中となっている。そして先週までは首位争いをしていたものが、今日は単独最下位に転落してしまっている。

さて、ライオンズは先日スプリントコーチとして秋本真吾コーチと正式に契約を結んだわけだが、筆者はそれ以前にメンタルコーチと契約を結ぶべきだと考えている。ライオンズはここぞという勝負どころで力を発揮することができずに、ここまでズルズルと連敗を6まで伸ばしてしまっている。

では、スプリントコーチの役割とは何なのだろうか?単純により速く、より怪我のリスクを減らす走り方を指導するというのが主な役割だと思う。だがここまでライオンズの盗塁数は7で、パ・リーグでは下から3番目の数となっている。つまり今のところ、スプリントコーチと契約した結果は目に見える形では出て来てはいない。

秋本コーチはここ2年くらい、オフになるとライオンズの臨時スプリントコーチを務めていた。その縁もあり今回正式にフルタイムに近い形でのコーチに就任したわけだが、筆者はやや疑問を抱いている。その理由は野球と、秋本コーチの専門分野である陸上とでは走り方が異なるからだ。

例えば極端な話、韋駄天じゃなかったとしても投手のモーションを盗むのが上手い選手はたくさん盗塁することができる。また、やはり韋駄天とは言えなくても自らのトップスピードにより早く入っていける選手も盗塁数を稼ぐことができる。ライオンズはかつて片岡易之選手がスピードスターとして活躍していたわけだが、片岡選手は決してチーム1の瞬足ではなかったし、50m走では当時は岸孝之投手の方が片岡選手よりも良いタイムを出していたほどだった。

確かに秋本コーチの指導により、走っている最中の怪我を防げるようになるのであれば秋本コーチと契約を結ぶ価値もあると思う。しかし盗塁を増やすという意味では秋本コーチはチームの力にはなれないはずだ。

大昔の話で恐縮なのだが、かつて飯島秀雄選手というスプリンターがいて、1964年当時の日本記録を29年振りに塗り替え、1964年の東京オリンピック、1968年のメキシコシティオリンピックでも活躍された。つまり当時、飯島選手は日本で最も足の速い選手だったということになる。

その飯島選手の韋駄天ぶりに目をつけたのが当時のロッテオリオンズで、1969年、ロッテは代走要員として飯島選手と正式に契約を結んだ。まさに盗塁をするためだけに契約された選手だったわけだ。

しかし結果的には3年間で僅か23個しか盗塁することができなかった。野球の走塁と陸上の走りには、それだけの差があったということだ。そして今ライオンズは、陸上競技を専門としている秋本コーチと正式に契約を結んだわけだが、飯島選手の例もあるだけに、筆者はこの契約には疑問をいただいているのである。

もちろん臨時コーチとしてならば良いと思う。陸上の走り方のエッセンスを学ぶことで、それを自らの走塁に取り入れられる選手も出てくるだろう。だがフルタイムのコーチとなると、盗塁指導をすることができない秋本コーチの存在意義はそれほど濃くはならないように感じるのだ。

盗塁技術ということであれば、阿部真宏内野守備走塁コーチ、赤田将吾外野守備走塁コーチの方がよほど高い指導力を持っている。だがそれでも秋本コーチと契約を結んだということは、きっと秋本コーチの指導により走っている際の怪我が減ったという確かなデータが出ているからなのだろう。

しかし盗塁数ということであれば本日時点ではホークスが12個、イーグルスが11個、マリーンズが8個、ライオンズとファイターズが7個、バファローズが2個ということになっている。

今日の7回裏の継投は絶対に本田圭佑投手ではなかった

本田圭佑投手

スプリントコーチと契約をすることもきっとチームのプラスになるとは思うのだが、それよりも筆者はメンタルコーチと契約を結ぶべきだと考えている。以前ライオンズは鉾山丕メンタルコーチと契約を結んでいたわけだが、その頃は勝負強い選手が多かった。しかし今、アスリートとして全盛期に近い選手の中で勝負強いと呼べる選手はあまりいない。

今日の試合に関しても、0-1でリードを許していた7回表、2つの四球でチャンスをもらうと山村崇嘉選手がライトスタンドに見事なホームランを放った。その打席、直後にやはりライト方向に特大のファールを打っていたため、まさにホームランの打ち直しと言えるような見事な逆転スリーランホームランだった。

これで3-1と一気に逆転したわけだが、しかし絶対に失点を許してはいけない7回裏の場面、本田圭佑投手があっさりとツーランホームランで同点にされてしまい、これで平良海馬投手の2勝目も消えてしまった。

当然本田投手も絶対に失点してはいけないと分かっていたはずだ。しかし左打ちのポランコ選手に投げた5球目はやや甘いアウトコース高めのボールだった。すべての左打者にとってこのコースはホームランボールとなる。そのため投手としてはどんな場面でも、どんな球種でも左打者には投げてはならないコースなのだ。にも関わらず本田投手は絶好のホームランボールをポランコ選手に対し投げてしまった。

これはまさにメンタルスキルが強化されていない好例だと言えるだろう。本田投手自身、そこには投げてはいけないことは分かっていたはずだ。しかもチェンジアップが浮いてそのコースに行っているのだから、これは失投と呼ぶこと以外はできない。だがもし本田投手がしっかりとメンタルスキルを強化していたならば、もっと自らのメンタルを上手くコントロールし、失投を防ぐこともできていたはずだ。

そもそもチームとしては、1-3と逆転した7回裏は佐藤隼輔投手の出番だったと思う。だが逆転したのが7回表二死からで、山村選手の後続の長谷川信哉選手はショートゴロに倒れている。そのため佐藤投手が肩を作る時間がなかったとも言える。

しかしリリーフとはいついかなる場面であっても登板が求められるポジションだ。この場面の佐藤投手、もしくはジェフリー・ヤン投手でも良かったは思うのだが、逆転や同点になったことを想定してあらかじめある程度肩を作っておくべきだったと思う。

0-1というビハインドのままであれば本田投手でも良かったと思う。しかし3-1と逆転した後、ましてや5連敗中ということを考えると、やはり勝利の方程式を投入すべきではなかったろうか。そう考えるとこのブルペンの準備不足と首脳陣の継投策には後悔が残るように感じられる。勝利の方程式の一角を担う佐藤投手じゃなくても、試合の空気を読まずにベストパフォーマンスをすることだけを楽しむヤン投手を出すだけでも、この試合の展開は違ったものになっていただろう。

本田投手も確かにここまで頑張って投げてくれているが、勝利の方程式に組み込めるだけのパフォーマンスには至っていないと思う。相手チームからしても、本田投手が登板してくれる怖さはないはずだ。逆に佐藤投手のスライダーは非常に素晴らしいボールだし、ヤン投手のボールにも力があり、このふたりが出て来た場合は相手チームも嫌だなという印象を持つはずだ。

継投策に「たられば」を付けることはあまり望ましくはないが、しかし今日の継投策に関しては筆者は絶対に間違っていたと思うし、首脳陣の後悔も小さくはないだろうと考えている。やはりチーム状態が悪い時というのは、このような選手起用も後手後手になってしまうものなのかもしれない。

金本知憲選手にできて栗山巧選手にできないはずはない

さて、フランチー・コルデロ選手が登録抹消となったわけだが、筆者はこれにも賛成ではない。コルデロ選手の守備力の低さは獲得前から分かっていたことなのだから、それを理由にするべきではないと思うのだ。

打撃に関しても確かに低調が続いていたわけだが、しかし果たしてDHとして起用していたならばどうだったのだろうか?DHであれば守備に対する不安なく打席に立てるわけで、コルデロ選手もレフトを守っている時以上に打席に集中することができていたはずだ。筆者としては、それを試さずに登録抹消したことに納得がいっていない。

確かにDHには栗山巧選手中村剛也選手がいるわけだが、守備力という意味ではコルデロ選手よりも栗山選手の方がはるかに上であるはずで、コルデロ選手をDH起用する場合でも、栗山選手がレフトを守ることができていたはずだ。

報道ではコルデロ選手が「打てない守れない」と書かれているわけだが、守れないのは最初から分かっていた。今二軍に落ちてしまったわけだが、二軍で守備練習をしたところでコルデロ選手の守備が短期間で上達することは考えにくい。だからこそもし守備の要素も二軍降格の理由になっているのであれば、筆者はそれは違うと思うのである。

ちなみに阪神タイガーズの金本選手は44歳まで外野手として守り続けた。金本選手にできて、栗山選手にできないはずがない。ベテランだから酷使を避けてDH専任にするというのは、逆に栗山選手や中村剛也選手に対し失礼になるのではないだろうか。

確かに10年前と比べればふたりの守備力は低下しているだろう。しかしベテランだからもう守れないという考えは首脳陣も持つべきではないと思う。そもそもふたりは毎試合出ているわけではないのだから、守備の負担が増えたとしてもそれほど大きな問題にはならないはずだ。

それならばレフト栗山選手、サード中村選手というオプションも交えながら、コルデロ選手を打つことだけに集中できるDHでも試すべきだったというのが筆者の正直な意見となる。確かにコルデロ選手の守備力はプロレベルではないわけだが、しかし上述の通りそれは獲得前から分かっていたのだから、首脳陣もそれに応じた起用をすべきではなかっただろうか。

THE埼玉西武ライオンズガゼット筆者/カズ
筆者 2010年1月よりパーソナルコーチとしてプロ野球選手のサポートを行うプロフェッショナルコーチ。 選手の怪我のリスクを正確に分析し、怪我をしないフォームに変える動作改善指導が特に好評。 このブログではプロコーチ目線でライオンズについて冷静に、そして愛を込めて書いていきます!
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