2024年5月22日公開
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E | |
Marines | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 2 | 5 | 2 |
Lions | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 | 4 | 1 |
継投/ ●隅田知一郎〜 平井克典〜 松本航〜 田村伊知郎
敗戦投手/隅田知一郎 2勝4敗0S 3.94
失策/佐藤龍世(4)
この試合の敗戦により、今季のマリーンズ戦は8戦8敗となってしまった。対マリーンズにしろ対ホークスにしろ、ライオンズはカモにされ過ぎている。そしてライオンズの各打者を観察していくと、どうも球速が速い投手に対し付いていけていないように見える。
ただ、中村剛也選手に関して言えば年齢的にも間違いなく動体視力は低下しているはずで、この加齢によりスピードボールに弱くなるというのは仕方ない面もある。だがこの試合でクリーンナップを打った外崎修汰選手にしろ、蛭間拓哉選手にしろ、トータルで見ていくとストレートに力負けしている打席が非常に多い。
例えば外崎選手の場合、高めのストレートを振りにいくケースが非常に多いのだが、そのストレートの球威に上から出していったバットが押し返され、バットでボールの頭を撫でるようなバッティングになってしまいチャンスでボテボテのゴロを打っている場面をよく見かける。
そう考えるとやはり、ライオンズ打線は練習でのスウィング数が足りていないと言えるのかもしれない。現在でもライオンズの各選手は早出や試合後の特打を行っているわけだが、その練習の質が良くない可能性がある。例えばマシンから飛んでくるボールをバッティングセンターの乗りで打ち続けても練習効果はほとんどない。
もちろんアマチュア選手がバッセンに通って打ち込みを行うことは大切であるわけだが、しかしプロ野球選手の場合はそれだけでは十分だとは言えない。例えば現代では150km/h以上のボールを投げてくる投手はまったく珍しくない存在となっている。そんな投手たちのボールを打っていくためには、160km/hのボールに力負けしないようにする練習が必要なのだ。
実は少し前までのプロ野球は現在とは真逆で、打高投低の時期が続いていたことがあった。その理由として語られていたのが、バッティングマシンが投げられる速度は170km/h、180km/hとどんどん速くなっていくが、生身の投手が投げられる球速には限界があったためだ。
しかし近年は筋トレ科学やピッチングフォームの科学がどんどん進化してきており、日本球界でもたびたび160km/hという球速表示を目にするようになった。ダルビッシュ有投手は以前「今の日本人投手が160km/hを投げることは難しい」と話していたが、そこから時代は変わり、可能になってきたといことだ。
さて、ここで日本のプロ野球とメジャーリーグの試合前の打撃練習法の違いについて少し書いておこうと思う。まず日本では基本的にはそれほど速いボールを打つことはしない。その理由は単純にBP(バッティンピッチャー)がそんなに速いボールを投げることができないからだ。
そのため「引きつけて打つ」という練習が常時メインになっており、15m程度の距離からBPに遅いボールを投げてもらい、そのボールをギリギリまで引きつけてセンターから逆方向に打つという練習が非常に多い。
一方メジャーリーグの場合は練習でも速いボールをガンガン打っていく。多くのメジャーリーガーは本拠地の近くにプライベート練習場を持っており、そこに高速球を投げられるマシンを置いて160km/h程度のボールをガンガン打ち込んでから球場入りする選手が多い。ちなみにプライベート練習場でのトレーニングには、選手個々が個人契約しているパーソナルコーチが帯同しているケースも日本とは比べられないくらいに多い。
松井稼頭央監督はメジャー流のやり方を取り入れることも多いため、それならば練習法もいっそのことメジャー流にしてみてはどうだろうか。つまりベルーナドームでの試合前練習ではマウンド付近にマシンを置いて、160km/hのボールをガンガン打っていくのだ。そしてそのボールに力負けしなくなれば、生身の投手が投げてくる豪速球にも簡単には力負けしなくなるだろう。
今日のマリーンズ戦の各打者のバッティングを見ていても、バットスウィングがマリーンズの先発種市投手の球威に押されているように筆者には見えていた。そしてもちろんそれはこの試合に限ったことではなく、他の試合でも同じことが言える場面が多い。
打てないライオンズ打線を変えていくためには、練習方法から変えていくべきだと筆者は考えている。松井監督も打撃コーチ並みに打者陣を熱心に指導しているわけだが、フォーム云々の前に、もしかしたら今のライオンズ打者陣たちは力負けしない力強いスウィングを先に作っていく必要があるのかもしれない。