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2024年6月13日公開

スタンドで中村祐太投手の西武ユニを掲げてくれたカープファンにありがとうと伝えたい!

埼玉西武ライオンズ vs 広島東洋カープ/3回戦 ベルーナドーム
1 2 3 4 5 6 7 8 9 R H E
Carp 0 0 0 2 0 0 3 0 0 5 13 0
Lions 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 2 0

継投●ボー・タカハシジェフリー・ヤン平井克典豆田泰志中村祐太
敗戦投手ボー・タカハシ 1勝5敗0S 3.55

犠打を1球で決めてビッグイニングを作った昨日と、犠打を1球失敗した今日の違い

埼玉西武ライオンズ

今日のカープ九里投手は本当に良かったと思う。ストレートにも力があったし、落ちるボールも効果的なところに落とし、ミート力抜群の栗山巧選手でさえもフォークボールを連投されて空振りをしてしまうくらいだった。そのため序盤から、打つ方では厳しいだろうなぁという印象の試合だった。

だが渡辺久信監督代行の言葉通り、さすがに2安打ではどうにもならない。ただ、まったく攻めることができなかったわけでもない。初回は相手のエラーで一死二塁一塁というチャンスを作ることができ、立ち上がりの九里投手をある程度苦しい状況に追い込むことができた。

ただ、ピンチになったことで九里投手のギアが入れ替わったのか、中村剛也選手と好調陽川尚将選手が倒れてしまい、結果的には無得点に終わってしまった。しかし陽川選手のセンターフライは悪い打球ではなかった。今日はノーヒットで終わった陽川選手だが、状態は悪くはないと思われる。

そして続く2回も一死から源田壮亮主将が上手く合わせたレフト前ヒットで出塁し、古賀悠斗捕手がバントで進めた。しかしこの古賀捕手がバントを1球で決めることができず、一度失敗してからの犠打となった。もちろん犠打は犠打なのだが、昨日のコラムでも書いた通り、犠打はファーストストライクで1球で決めることによって試合の流れが良くなる。

ピッチャーからすると同じ犠打で送られるという状況であっても、一度失敗させて1ストライクとなった後だと気持ち的に余裕が出てくるのだ。だがここでヒットを打たれた直後に1球で犠打を決められると連打を浴びたような心境になり、ただの走者二塁という状況が大ピンチに感じられることもあるのだ。これはまさにピッチャー心理の話であり、このようなことがあるため、野球では犠打を1球で決めると流れが良くなることが多いのだ。

ただ、古賀捕手がバントを失敗したボールはアウトローへのスライダーで、バントをするには最も難しい球種とコースだった。そういう意味ではそれほどバントが上手くない古賀捕手に、それを1球で決めろというのは酷かもしれない。だがボールそのものは見逃せばボール球のようにも見えたため、バントを失敗したこの初球は見逃すべきだったかなとも思えた。

もしここで古賀捕手が、昨日の源田主将のように1球で完璧なバントを決めていたとしたら、九里投手の滝澤夏央選手に対するボールも力みから少しずつ甘くなり、昨日のようなビッグイニングを作れていたとも限らなかった。ただこれに関しては結果論になるため、あくまでもそのような可能性もあったという話に過ぎない。

捕手のサインに首を振り自信を持って投げた球を打たれた平井克典投手

先発したボー・タカハシ投手に関しては及第点と言えるピッチングだったのではないだろうか。点を取られた4回に関しても完全に攻略されたと言うよりは、内野安打2つと四球が重なってピンチとなり、その後1本のクリーンヒットで失点したという形だった。今日は8安打打たれたボー・タカハシ投手だが、そのうち3本が内野安打だったため、これは不運だったと言うべきだろう。

これら内野安打があと少し場所がずれていればすべてアウトになっており、そうなっていれば6回までは無失点で切り抜けられたのではないだろうか。ただしこれに関しては、ボー・タカハシ投手のボールが僅かに甘かった分野手の正面に打たせることができなかったとも言えるため、そのような細かい制球に関しては今後のボー・タカハシ投手の課題となるのではないだろうか。

さて、一方心配なのは平井克典投手だ。今シーズンは開幕から遅れて一軍に合流し、ここまで13試合に投げているのだが、どの試合もそれほど内容が良いわけではないのだ。当然かもしれないがボールにも全盛期の勢いはまったく感じられず、今日も捕手のサインに首を振って投げたボールをヒットにされていた。

首を振って投げたということは、その場面ではそれが平井投手にとって最も自信のあるボールだったということだ。それを簡単にライト前に弾き返されているあたり、やはり平井投手のボールは打者からすると球速表示ほど速くは感じず、変化球の曲がりもやや早くなっているのだろう。

平井投手が登板した場面は、せっかく増田達至投手が一軍に合流してきたのだから、増田投手に試運転をさせてもよかったのかなと筆者は思いながら見ていたのだが、しかし平井投手は一死奪う前にあっという間に失点してしまい、最終的には2/3回を投げただけで3点を失ってしまった。

平井投手のこのようなパフォーマンスを見ていると、体調が良くなり二軍で投げ始めている羽田慎之介投手をもう一度一軍で試してみても良いのかなとは思うのだが、しかしFAで2年契約を結んだ投手のパフォーマンスとしては、今年の平井投手のボールはあまりにも力がなさすぎる。このあたりの起用法には、渡辺監督代行も豊田清投手コーチも頭を悩ませているのではないだろうか。

スタンドでライオンズのユニフォームを掲げてくれたカープファンにありがとう!

さて、先日の甲子園での陽川選手然り、今日の中村祐太投手然り、それぞれタイガースファン・カープファンが温かく二人を迎えてくれる光景に筆者の心はとても温められた。今日もスタンドではカープファンが、カープ時代とライオンズ時代の両方の中村投手のユニフォームを掲げて応援してくれていた。何よりもカープファンがライオンズのユニフォームを掲げてくれることが嬉しいではないか。

そして中村投手はそのカープファン、そしてカープに恩返しするかのように今日も好投を披露してくれた。中村投手は細身の体から非常に力強いストレートを投げてくるわけだが、今日もそのボールには力があり、カープ打線も中村投手のボールをまったく捉えることができなかった。

ライオンズは中村投手、陽川選手をそれぞれ現役ドラフトで獲得したわけだが、こうして見るとライオンズの現役ドラフト戦略は完全に正しかったと言える。陽川選手に関してはもうベテランであるため、一般的に考えれば現役ドラフトの対象にはなりにくい選手であるわけだが、しかしライオンズはその陽川選手を獲得し、今は四番五番を任される打者として活躍している。

中村投手に関しても一軍に戻ってきてからは8試合連続無失点投球が続いている。しかも最近6試合ではヒットも1本しか打たれておらず、リリーバーとして非常に安定したピッチングを続けてくれている。この中村投手も広島時代は2017年の一軍デビューした年に15試合投げたのが最高で、2018年から昨年にかけては10試合未満の出場試合数が続いていた。だが今季の中村投手はまだ6月の時点で、キャリアハイに迫る13試合に登板している。

中村投手は元々は先発投手で、昨季からカープでリリーフに転向していた。だがカープではリリーフとしてもなかなかチャンスを得られなかったわけだが、今季はライオンズのブルペンにはもはや欠かせない存在となっている。ボールを見る限りは先発としても十分通用しそうなピッチングをしているが、しかしリリーフに適性があったのだろう。リリーフ転向2年目でリリーフ慣れしてきた今季は、まるで水を得た魚のように生き生きとしたピッチングを見せてくれている。

ライオンズの生え抜きの若手たちはまだなかなか良い働きを見せ続けることができていない。こんな時だからこそ陽川選手、中村投手、甲斐野央投手、そして元山飛優選手ら移籍組には外様という言葉など存在しないような顔でライオンズの主力を張っていってもらいたい。移籍組がもっとチームを引っ張れるようになれば、ライオンズのチーム状態ももう少し上がっていくだろう。そのためにもまずは打つ方で、陽川選手と元山選手の明日以降の活躍に期待していきたい。

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THE埼玉西武ライオンズガゼット筆者/カズ
筆者 2010年1月よりパーソナルコーチとしてプロ野球選手のサポートを行うプロフェッショナルコーチ。 選手の怪我のリスクを正確に分析し、怪我をしないフォームに変える動作改善指導が特に好評。 このブログではプロコーチ目線でライオンズについて冷静に、そして愛を込めて書いていきます!
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