2024年4月 3日公開
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E | |
Buffaloes | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 |
Lions | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 | × | 3 | 5 | 0 |
継投/○武内夏暉〜H甲斐野央〜Sアブレイユ
勝利投手/武内夏暉 1勝0敗 0.00
セーブ/アブレイユ 0勝0敗3S 0.00
盗塁/外崎修汰(1)
ベルーナドームで行われたバファローズとの2回戦、この日先発マウンドに登ったはルーキー武内夏暉投手だった。結果的には7回を投げ抜き被安打1、奪三振7、失点0という満点のデビュー戦となった。そして試合は3-0のままゲームセットとなり、武内投手にはプロ1勝目がもたらされた。
ピッチング内容は炭谷銀仁朗捕手の好リードもあり非常に素晴らしかった。特にこの日は右打者への外角高めのボールが効果的で、ここで空振りを取ったりファールを打たせることにより、早い段階でピッチングカウントに持っていくことができていた。
初回に関しては先頭打者を打ち取った直後に四球を出してしまったわけだが、この四球はまったく気にする必要のない四球だった。その理由は投げたいボールをほとんど投げたいコースに投げられていたからだ。残念ながら打者が手を出せなかった沈むボールが僅かにボールゾーンに落ちて四球になってしまったわけだが、投げていたボールはほぼ炭谷捕手が構えるミットの辺りに行っていた。だからこそ今日出した2四球はまったく気にする必要がないと言えるのだ。
元々ライオンズの先発陣にはかなりの安定感があったわけだが、今季に関しては髙橋光成投手が出遅れており、開幕ローテーションには加わっていない。しかし武内投手が加わったことで、髙橋投手の穴をまったく感じることなく戦いを続けることができている。
それにしても武内投手のプロ初登板はまさに堂々としたものだった。昨季のリーグ覇者を相手にしても決して臆することなく、炭谷捕手のミットを目掛けてただ淡々と投げ続けていた。流石は松坂大輔臨時コーチも太鼓判を押しただけのことはある。ストレートの質が良く失速せずに打者の手元を攻めていくことができるし、変化球もストレート同様にしっかりと腕を振って投げている。そのためバファローズ打線もボールの見極めにかなり苦労していたように見えた。
ちなみにライオンズでプロ初登板初先発で初勝利を飾った投手は、1955年の佐川守一投手、1981年の杉本正投手と小野和幸投手、1999年松坂大輔投手、2019年の松本航投手、2022年の隅田知一郎投手と佐藤隼輔投手、そして武内投手が8人目となった。歴史的初勝利と言うほどではないのかもしれないが、しかしライオンズ史にしっかりと名を刻む好投だったことは間違いない。
2年前の隅田投手はこの初勝利の後は残念ながら10連敗を喫してしまったわけだが、武内投手が同じ轍を踏むことはないだろう。もちろんいつも今日のような好投ができるというわけではないし、調子が悪く苦しいピッチングになってしまうこともあるだろう。だが初登板でこれだけ鮮やかなピッチングを披露できるポテンシャルがあるのだから、調子が悪くてもそれなりに試合を作ることはできるだろうし、大崩れすることもないのではないだろうか。
隅田投手の場合、勝てなかった時はとにかくあっさりと先制点を献上してしまうことがほとんどだった。武内投手はそこにさえ気をつけていけば、調子が悪い日があったとしても、ルーキーイヤーから確実に二桁勝利を挙げていくことができるだろう。言い方を変えれば、これだけのピッチングができる投手が二桁勝利できないはずはない。
ライオンズでは近い将来主力先発投手二人がメジャー移籍してしまう見込みとなっているわけだが、その将来にまったく不安を感じさせない、これ以上はないと言えるほどの素晴らしい内容のデビュー戦となった。武内投手にはぜひ裏ローテの二番手として一年間投げ抜き、先輩投手たちのタイトル獲得を脅かすような活躍を筆者は期待したいと思う。
さて、一方打つ方では今日はバファローズ投手陣に上手く抑え込まれてしまった。飛び出したヒットは散発の僅か5本だけで連打は一切なかった。それでもライオンズ打線はもらった9四死球を上手く活かし3得点を挙げた。中でも栗山巧選手は4回打席に立って四球と死球を2つずつ得る驚異の出塁率を見せた。死球に関しては怪我が心配であるわけだが、直撃して後遺症が残るような死球には見えなかったため、その辺りはおそらく大丈夫だと思われる。
通常9四死球となるともっと点が入りそうな気もするが、しかし制球が定まらずに出してしまった四球はそれほど多くはなく、どちらかと言えば好調ライオンズ打線をケアするために厳しいところを突き過ぎて、結果的に微妙にボール球が増えてしまったと見る方が今日に関しては正しいと思う。
9四死球とは言え、結果としてはバファローズの投手陣は好調の二番フランチー・コルデロ選手、三番外崎修汰選手を8打席でノーヒットに抑えたのだから、バファローズバッテリーの攻め方としては四死球の数ほど悪いものではなかったと言える。
今のライオンズは二番三番に当たりが出ると得点に繋がりやすい状況になっている。その二人を徹底して抑え込んだため、ヘスス・アギラー選手に2安打出ても大量点に繋がることはなかった。そういう意味でもバファローズバッテリーの攻め方は間違いではなかったと言えるのではないだろうか。
逆にライオンズ打線からすると上位打線は上手く抑え込まれてしまったため、今日受けた攻められ方を明日の試合に生かすことが大切になってくる。特にコルデロ選手と外崎選手は要注意人物として相手バッテリーにはかなりマークされているだろうから、そこは何か対策が必要になってくるだろう。
相手バッテリーからすると、二番三番さえ封じ込めてしまえば四番アギラー選手にはより大胆な配球を組んでいくことができる。結果的にアギラー選手には2安打されているわけだが、もし二番三番を出塁させ、アギラー選手に対し消極的に配球を見せた場合は、今日のように9四死球を出しながら3失点で済むことはなかっただろう。
バファローズからすると9四死球のうち、今日ノーヒットだった二番三番に与えたのは1つだけであり、これが試合を壊すことがなかった要因だと考えられる。逆にライオンズからすると二番三番を封じられてしまったことがかなり痛く、これが明日の試合でどう影響してくるかが非常に気になるポイントとなってくる。
そしてその明日の試合はボー・タカハシ投手が先発マウンドに登る予定となっており、オープン戦では好投することが多かったボー・タカハシ投手とは言え、日本での先発マウンドはまだ不慣れと言えるため、できるだけ早く援護してあげたい一戦となる。そのためにも二番三番の二人には明日はしっかりと打ってもらわなければ困るのである。