2024年3月 2日公開
埼玉西武ライオンズvs千葉ロッテマリーンズ練習試合
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E | |
Marines | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 8 | 0 |
Lions | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 4 | 0 | 0 | 0 | 4 | 6 | 0 |
ライオンズもいよいよ春季キャンプを終え、プレシーズンマッチ(練習試合)やオープン戦を転戦していく時期に入ってきた。キャンプそのものではほとんど怪我人が出ることなく、例年にないほど充実した内容だった。それもやはり選手一人一人が自分に求められている役割を理解し、オフシーズンにしっかりと準備をしてきた賜物だろう。
さて、昨季は外野手を一切固定できなかったライオンズだが、今季はレベルの高い外野手争いが展開されている。まずフランチー・コルデロ選手に関しては打力を考えると、よほどの大不審ではない限りスタメンを外れることはないだろう。
ちなみに本日のマリーンズとのプレシーズンマッチでは、コルデロ選手はDHとして三番に座った。ヘスス・アギラー選手の一塁の守備が非常に上手いため、栗山巧選手と中村剛也選手の状態次第ではコルデロ選手をこうしてDH起用していくことができる。
そしてコルデロ選手がDHに入ったことで、この日の試合はレフト蛭間拓哉選手、センター西川愛也選手、ライト長谷川信哉選手という布陣となった。左投げの蛭間選手がレフトに入り、右投げの長谷川選手がライトに入ったことには少し「おや?」とも感じられたが、それほど長谷川選手の守備力が蛭間選手を上回っているということなのだろうか。もしくは首脳陣がライン際よりも左中間・右中間の打球をケアしたいということなのかもしれない。
2月の練習試合でもバッティングでアピールしている西川選手と長谷川選手だが、この日の試合でもそれぞれがしっかりとヒットを放っている。今この二人を見ていて何が良いかと言うと、しっかりとバットを振り抜いているところだ。これはもちろんライオンズの他の打者にも同じことが言えるわけだが、当てるだけではなく、しっかりとバットを振り抜いているからこそ打球がヒットゾーンに飛ぶ確率が高くなっている。
西川選手、長谷川選手、蛭間選手それぞれ、仮に少しヒットが出ない試合が続いたとしてもそこで消極的にはならず、今後もしっかりとバットを振り抜く打席を続けていってもらいたい。そうすればそれぞれが今季、それぞれのキャリアハイの成績を残していけるはずだ。
投手陣に関してはまず先発マウンドに登ったのは今井達也投手だった。だがピッチングを見るとまだ本調子とは言えず、地方球場のマウンドもあまり上手く使いこなせていないのかなという印象を受ける内容だった。
もちろんまだ完全に仕上がっているという段階ではないわけだが、唸りを上げるようなストレートはまだ時期ではないとしても、制球がやや甘い印象だ。一応3イニングスを1失点で抑えるまずまずの内容ではあったが、開幕投手候補の一人としては、もう少しペースが上がってきても良いのかなというピッチング内容だった。そしてそれに関しては先日すでに今季対外試合初登板のマウンドに登っている平良海馬投手と隅田知一郎投手にも同じことが言える。
ちなみに髙橋光成投手に関しては肩の張りによりやや出遅れていたため、ここまでの仕上がり速度で考えるならば、今季の開幕戦の登板はやや難しくなってきている。そういう意味でも今井投手、平良投手、隅田投手はもう少しペースを上げて行っても良いのかもしれない。
特に今井投手に関しては年齢的にも実働年数的にも、そろそろエース格としてチームの柱になってもらわなければ困る存在だ。だが今日のような走者を背負い続けるピッチングを見せてしまうと、松井稼頭央監督も開幕投手を決めかねてしまう。もちろん各投手これからさらに状態を上げてくるわけだが、開幕投手争いはもう少し高いレベルを期待したいところだ。
先発陣はまだ仕上がり前といった感じだが、ブルペン陣に関してはここまで順調な調整を見せてくれているのではないだろうか。中でもこの日の試合で登板した豆田泰志投手は、最終回を僅か6球で三者凡退に抑えるパーフェクトリリーフを見せつけてくれた。投げっぷりを見ていても、球質を観察していても、この日の試合に関してはまったく打たれる気配がなかった。
開幕守護神候補はもちろん増田達至投手で、次点はアルバート・アブレイユ投手になるわけだが、しかし豆田投手が今日のようなピッチングを続けて来たら、チームの将来を考えれば松井監督も豆田投手を守護神起用したいと思うようになるのではないだろうか。
ただしプロ野球はあくまでもビジネスであるため、費用対効果を考えないわけにはいかない。つまり重要なポジションには、それなりに高い年俸を得ている選手を起用するというのが基本路線だ。そう考えると年俸が高いのは増田投手とアブレイユ投手であり、まだ高額年俸には至っていないのが豆田投手、田村伊知郎投手、佐藤隼輔投手、甲斐野央投手ということになる。
各ブルペン陣がそれぞれ順調であるならば、開幕守護神の座に就くのは増田投手かアブレイユ投手ということになる。だがもし豆田投手が今後も圧倒的なピッチングを続けていくようであれば、額面も度返しされることになるだろう。
現在守護神の座は上記6投手によって争われているわけだが、今季ライオンズのブルペン陣は12球団屈指と言って間違いない。通常は守護神争いを生み出すだけでも苦労すると言うのに、今季のライオンズには6人も守護神候補がいて、それぞれがここまで順調な仕上がりを見せて来ている。
まだ安心感を見せられていない先発陣に対し、ブルペン陣に関しては今季はまったく不安を感じさせる要素がない。万が一でも増田投手が昨季同様不振に陥ったとしても、増田投手に取って代われる投手がいくらでもいる状況だ。この状況には松井監督も豊田清投手コーチもにんまりしているのではないだろうか。
豆田投手はこの日、有無をも言わせぬ本当に素晴らしいピッチング内容で首脳陣の嬉しい悩みを増やして見せた。そして佐藤投手に関しても同様に安定感抜群のピッチングを見せている。だが佐藤投手に関してはブルペン陣にサウスポーが少ないという状況もあり、その能力があったとしても最終回に固定するのは少し難しそうだ。とは言え、豆田投手にも佐藤投手にも、このまま守護神争いから脱落することなく開幕を迎えてもらいたい。