メジャー移籍を目指しすでに辣腕代理人ボラス氏と契約している平良海馬投手

2024年1月 9日公開

球団批判としても受け取られた平良海馬投手の過去の言動

平良海馬投手

平良海馬投手は先発転向一年目のシーズンを11勝7敗、防御率2.40という素晴らしい成績で終えた。リリーバーの頃のインパクトと比べるとやや物足りない数字にも思えるが、先発転向一年目でこれだけの成績を残したというのは立派だったとしか言いようがないだろう。

そんな平良投手だが、リリーバー時代の2020年には10試合に跨ぎ9回2/3を連続ノーヒットで抑えるなど、インパクト抜群の好成績を残し続けた。そして将来的には増田達至投手の後継者として守護神を務めるだろうとも言われ、ライオンズの守護神は当面安泰だとも思われた。

だが2020年(2019年オフ)に先発転向を志願し、ここから平良投手は先発を目指し、契約更改の席でも毎年のように先発への転向を直訴し続けることになる。だが平良投手のやり方は決して良いやり方とは言えなかった。

2022年オフに発した平良投手の先発転向がなかなか認められないという不満の言葉は、半ば球団批判のように聞こえることがあった。もちろん先発転向がなかなか認められないもどかしさはよく分かるが、しかし球団批判とも取れる言動は慎むべきだったと思う。

そこに影響力のある元プロ野球選手のYouTuberが同調し、そのYouTuberまで西武球団の姿勢を批判するようなコメントを発し、まるで西武球団が悪者のような図式になってしまった。

先発転向がなかなか認められない悔しさは理解できるが、しかし社会人としてはもう少し大人の対応をすべきではなかっただろうか。ちなみにこれが一般企業の場合、転属や転勤を希望してもそれが叶うことなど滅多になく、それどころか逆に希望しなかった部署で働き続けることだって珍しくはない。

一般企業とプロ野球を比較すべきではないと言われるかもしれないし、プロ野球選手は球団に雇用されているわけではなく、あくまでも個人事業主として業務提携を結んでいるだけなのだから、選手には主張する権利があるとも言われてしまうかもしれない。だが筆者はそれ以前に、やはり一社会人としてそれ相応の言動をプロ野球選手もすべきだと考えている。

平良海馬投手が奪三振のタイトルを獲得するために必要な要素

さて、筆者は冒頭で11勝7敗は先発転向一年目としては立派だったと書いた。しかし球団批判とも取れる言動をしてまで先発転向した投手の数字としては物足りなかったと言った方が良いだろう。

事実渡辺久信GMも平良投手にはQS(6回3失点)ではなく、HQS(7回2失点)を求めている。そして投球回数だが、先発一年目という点が忖度された可能性もあるわけだが、ローテーション投手として150イニングスは、規定投球回数に達しているとしても数字としてはかなり物足りない。

平良投手はかねてより奪三振のタイトルが欲しいと公言しているわけだが、150イニングス程度ではタイトルの獲得は難しいだろう。獲れたとしても「山本由伸投手がいなくなったから獲れた」という程度の数字になってしまうはずだ。

山本由伸投手のように、投手の主要タイトルを総なめにしろとは言わないが、しかし一部門くらいはこれまでの山本投手に匹敵する数字を記録してタイトルを獲得してもらいたい。そのためにもやはり150イニングスはかなり少ないため、やはり190〜200イニングス程度は投げていかなければならないだろう。

ちなみに奪三振率ということで見ると、リリーバーだった2022年は11.71だったが、先発転向した2023年は9.18と数字は大幅に低下した。もちろんこれは、先発ではリリーフ時みたく常時力一杯投げられないことが影響しているわけだが、そういう意味でもやはりイニング数を増やしていかなければ、平良投手が山本投手の数字に近づくことは難しい。

そして昨季2023年、山本投手は23試合で164イニングス(1試合平均7.1回)を投げているのに対し、平良投手は同じ23試合で150イニングス(1試合平均6.5回)に留まっている。やはり強く直訴して先発転向したのだから、今季2024年は最低でも1試合平均7イニングス以上投げなければならない。

ではなぜ平良投手の1試合平均は6.5回にとどまったのか?その理由は単純で、首脳陣が平良投手のピッチングを見ていて、だいたい6回くらいになると球威が低下してくると感じたためだ。もし球威の低下が見られなければ、7〜8回を任される試合も増えていたはずだ。

そう考えると平良投手の課題はスタミナにあると言っていいだろう。だが先発転向2年目となる今季はこのスタミナ問題も解決されているはずだ。そして昨季以上のイニング数を投げることができれば、最多奪三振のタイトルもかなり近付いてくるのではないだろうか。

平良海馬投手に目指してもらいたいのはダルビッシュ有投手の数字

さて、平良投手は非常にクレバーにデータを活用しているという特徴を挙げることもできる。実際平良投手は自費でラプソード(球質を数値化する機器)を購入したり、個人でネクストベースという配球分析をするデータ解析企業と契約を結んでいる。

そしてネクストベースとはシーズン中リアルタイムで話し合いの場を持ち、そのデータを常に次の試合で活かしながら投げている。一見するとただの剛腕投手に見える平良投手だが、しかしこのように数字を上手く扱えるという能力が、プロ野球選手として自らのレベルを高めていると言って間違いない。

ただし今季以降注意したいのは、相手チームも先発としての平良投手のデータを一年かけてかなり収集できたという点だ。そして平良投手がデータ偏重タイプの投手だということも各球団にすでに知れ渡っている。

となると各球団のデータ分析チームも、平良投手の配球の傾向をデータから読み解き、より確率の高い次の1球を予測してくるはずだ。このあたりはもう知恵比べになってくるため、平良投手としてはネクストベースのデータ解析能力に今後も期待していくことになるのだろう。

このようにデータを上手く活用したり、ウェイトトレーニングに時間を割いたり、豪速球を投げられるのに変化球の割合が多いという点は、ダルビッシュ有投手とよく似ている。ちなみにそのダルビッシュ投手は日本ラストイヤーとなっている2011年に232回を投げ、276奪三振を奪っている。WHIPに関しても0.83というすば抜けた数字で、28試合に登板して18勝6敗という成績を残した。

筆者は、平良投手に対しこれくらいの数字を求めているのである。276奪三振と言えば、昨季の平良投手よりも123個多いということになり、奪三振率は10.70となる。つまりダルビッシュ投手は1イニングで確実に1個以上の三振を奪っている計算になり、平良投手の場合は1イニングでだいたい1個という計算だ。

2011年、ダルビッシュ投手は18勝を挙げながらも最多勝は獲れなかったのだが、この年は独走で優勝したホークスのホールトン投手と、イーグルスの田中将大投手が19勝を挙げていた。先発投手のレベルは非常に高いシーズンだったと言える。

平良投手も志願して先発に転向したからには、将来のポスティングマネーを釣り上げるためにも、2011年のタイトルホルダーたちと同水準の活躍を今季は見せてもらいたい。スタミナ問題さえ克服できれば平良投手であれば十分彼らに近付けると思うし、近付いて行かなければならない。

ポスティング移籍を目指す際に平良投手が注意すべきこと

平良投手は将来のメジャー移籍を視野に入れ、2021年夏の時点ですでに辣腕エージェントであるスコット・ボラス氏と契約を結んでいる。だが平良投手には十分注意してもらいたい点がある。それはメジャー移籍を目指す際の言動だ。

順番から言えば先輩でもありエース格として投げ続けている髙橋光成投手が先にポスティング移籍を目指すことになると思う。だがその時、チームが優勝してなおかつ髙橋投手と平良投手の成績が同水準だったのに平良投手のポスティング申請は認められなかった場合、「どうして髙橋投手が認められて自分が認められないのか?」という趣旨の発言はしないことだ。

西武球団としては、当然同年に2人の選手のポスティング移籍を認めることはできない。だが平良投手の過去の言動を振り返ると、そのようなことを口にしてしまいそうな性格を持っていることが分かる。もしそのようなことを少しでも口にしてしまえば、西武球団と喧嘩別れするような形でメジャー移籍をすることにもなりかねないし、それではファンも純粋に応援できなくなってしまう。

FAにより同年に複数選手を失ってしまうということは、これは球団にはどうしようもないし、選手の権利を認めるしかない。だがポスティングに関しては完全に球団側の権利であるため、そのような状況になって平良投手が「不公平」というような言葉を口にしないことを筆者は祈るばかりだ。

やはりどうせメジャーに行くのであれば、日本ではダルビッシュ投手、田中将大投手、山本由伸投手クラスの成績を残して、メジャーでも決してローテーションから外されることなく活躍を見せ続けてもらいたい。そのためにもいつかメジャーに旅立つ際は、決して跡を濁すことなく巣立っていってもらいたいというのが筆者の一ファンとしての願いだ。

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THE埼玉西武ライオンズガゼット筆者/カズ
筆者 2010年1月よりパーソナルコーチとしてプロ野球選手のサポートを行うプロフェッショナルコーチ。 選手の怪我のリスクを正確に分析し、怪我をしないフォームに変える動作改善指導が特に好評。 このブログではプロコーチ目線でライオンズについて冷静に、そして愛を込めて書いていきます!
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