2021年1月13日公開
2021年1月13日、ライオンズはスパンジェンバーグ選手との今季契約が締結したことを発表した。これはチームにとってもファンにとっても良いニュースだ。
一昔前のライオンズは外国人選手のスカウティングがあまり上手くはなかった。何年かに一度は当たりだったと言える選手を連れてくることもあったのだが、ほとんどの外国人選手は2年目の契約を結ぶことなく日本球界を去って行った。
しかし今はメヒア選手を筆頭にスパンジェンバーグ選手、ニール投手、ギャレット投手と、全員2年以上ライオンズでプレーする形となっている。2020年で活躍できずに1年で日本球界を去ったのは怪我に苦しんだノリン投手だけだった。
この的確なスカウティング力は当然経費削減にも繋がっていく。例えば年俸を億単位で出して呼んできても、結局は活躍できずに1年で日本球界を去る外国人選手も多い中、ライオンズは2020年の5人中4人が残留となった。
スパンジェンバーグ選手の場合は昨季の年俸は推定8000万円で、今季も同額となる。やはり外国人選手を獲得する場合は、バリバリのメジャーリーガーという肩書きよりも、日本の野球にフィットできるかどうかが鍵となる。
その鍵で最も重要なのは人柄だ。バリバリのメジャーリーガーの場合、日本野球を舐めてかかってくることが多い。そのため予想以上にレベルの高かった日本野球に対応できず、2年目のシーズンを日本では迎えない選手も多い。
だがスパンジェンバーグ選手を始め、現在ライオンズに所属している4人の助っ人たちの人柄は素晴らしい。非常に真面目だし、日本野球をリスペクトしているし、何よりも日本人選手たちと一緒に必死にプレーする姿を見せてくれる。だからこそチームからもファンからも愛されるようになる。
2020年のスパンジェンバーグ選手は111試合に出場し、.268、15本塁打、57打点、12盗塁をマークし、守備でも三塁と外野を守るユーティリティー振りを見せてくれた。
日本人選手がこの成績で8000万円を得るためには何年も試合に出続ける必要がある。数字だけを見ると8000万円に見合っていたかといえば、必ずしもそうとは言えない。しかし1年目で、右も左も分からぬ日本の地で、しかもコロナ禍というイレギュラーな状況でこれだけの数字を残してくれたと考えれば、十分8000万円に見合う働きだったと言える。
スパンジェンバーグ選手は夏場以降はかなり日本の野球に慣れてきたように見えた。打率も8月は.300、9月は.284、10月は.177と疲れも見えたが、11月は.375と打ちまくった。
この夏場以降の日本野球への対応のしかたを見る限り、今季は打率.290、20本塁打、70打点、20盗塁くらいの数字は期待できるのではないだろうか。
守備に関しては荒さもあったが、しかし決して下手な選手ではない。レフトをスパンジェンバーグ選手、センターを金子侑司選手が固め、残りのライトを木村文紀選手、鈴木将平選手、愛斗選手、川越誠司選手らで競わせれば、布陣としては安定感も増し、層も厚くなっていくだろう。
そして仮にスパンジェンバーグ選手が内野を守らなければいけない状況になっても、指名打者の栗山巧選手もまだまだレフトをこなすことができる。若手選手の突き上げ次第でもあるが、野手陣に関してもスパンジェンバーグ選手の存在のおかげで、かなり層が厚くなってきたと言える。
ライオンズに最も足りないピースの一つは代打の切り札だった。メヒア選手がそれを務めることもあったが、メヒア選手はタイプ的にも年俸的にも、毎日4打席立ってこその選手だと思う。だが現状、メヒア選手以外に強力な代打の存在はない。
とにかく複数ポジションを守ることができ、バッティングでもある程度の成績をしっかりと残しくれるスパンジェンバーグ選手の存在は、チームにとっては本当に心強い。
仮にスパンジェンバーグ選手とメヒア選手が、本来3・4番を打つべき森友哉捕手と山川穂高選手を脅かすことができれば、山賊打線もまた破壊力を増していくだろう。
だからこそ筆者はスパンジェンバーグ選手には、メヒア選手同様に長年ライオンズでプレーしてくれる選手となって欲しいと願っている。