2021年2月16日公開
森友哉捕手が今日、発熱によりキャンプを欠席した。発熱と言っても微熱らしく、皮膚科の診断を受けると傷口から細菌が入ってしまったことが原因のようだ。プロ野球選手のように鍛え抜かれていてもこのようなことは起こってしまうものだ。
ライオンズの春季キャンプの特徴は、12球団のどこよりも実戦開始が遅いということだ。他球団はすでに対外試合を組んでいるところも多いわけだが、ライオンズに関しては今日2月16日になってようやく紅白戦を行ったという段階だ。
これは南郷という、近くに他球団のキャンプ地がないということも影響しているわけだが、しかし言い換えればライオンズはどこよりも多く練習しているということにもなる。
紅白戦が始まるという段階で起こってしまった森捕手の小さなトラブルであるわけだが、タイミングが今で本当に良かったと思う。もしライオンズがすでに対外試合を組んでいたら、もう少し難しい状況になっていただろう。
だがまだ紅白戦ということで、レフトには球団スタッフの國場翼バッティングピッチャーが入り、試合は6イニング制の変則で行われた。そしてここでは今季覚醒が期待される今井達也投手が非常に良いピッチングを見せてくれたようだ。
さて、話を森捕手に戻すと、シーズン中であってもこのような事態が起こらないとも限らない。例えば森捕手がシーズン中に体調を崩したり、怪我をしてしまうこともあるだろう。そんな時他の捕手がどれだけこの穴を貪欲に狙っていくことができるかだ。
ライオンズの捕手層は決して厚くはないし、経験豊富なベテラン捕手が縁の下で控えているわけでもない。もちろん柘植世那捕手のように将来が期待されている若手捕手もいるわけだが、森捕手をベンチに追いやれるほどの存在感はまだない。
だが今このように森捕手にトラブルが発生した時、二番手以降の捕手たちはいつも以上にレギュラーを奪取するために気持ちを燃やしていかなければならない。もちろん普段から燃えていなければならないわけだが、しかしこのように森捕手にトラブルが起こった時は尚更燃えていかなければならない。
現状、森捕手のレギュラーの座を脅かす存在の捕手はライオンズにはいない。すると森捕手も無意識のうちにどこか安心してしまうようになり、成長速度が鈍ってしまうことだってありうるかもしれない。だが下からの突き上げが激しければ、森捕手自身の、さらに成長していかなければならないという自覚も強くなる。
黄金時代のライオンズは伊東勤捕手を育て上げるために、次から次へと捕手を補強して行った。この補強により伊東捕手の心に火が灯り、誰よりも厳しい練習を続け、球界を代表する名捕手へと成長して行った。
森捕手にもそうなって欲しい。物凄く打つけど捕手としてはNo.1ではない、ではなくて、打撃タイトルも獲り、捕手としても名捕手と呼ばれる選手へと進化して行ってもらいたい。
そして森捕手が進化すれば、二番手以降もさらなる進化を目指さなければならない。このような状況を作っていくためにも、森捕手がダウンした今、他の捕手陣は目の色を変えて正捕手の座を狙っていく必要がある。それこそ森捕手をコンバートに追いやるような貪欲さや執念を見せてもらいたい。
現状、森捕手はまだまだ名捕手と呼べるレベルには至っていない。もちろんそうなっていく可能性は高いわけだが、しかし森捕手自身今季はまだ26歳になるシーズンだ。打撃では上回れなかったとしても、捕手としての能力ならばまだまだ森捕手と対等に競争できるレベルの捕手は何人かいるはずだ。その筆頭が柘植捕手だと言えるだろう。
ただし現時点では柘植捕手はB班にいるため、A班でと考えると牧野翔矢捕手、駒月仁人捕手、中熊大智捕手の3人ということになる。この3人はまだまだ戦いの中では影が薄い選手たちであるため、森捕手がダウンした今がまさにアピール時だ。
もちろん今回の発熱では、森捕手はすぐにキャンプに戻ってくるだろう。だがたった数日だったとしても、A班にいる他の3捕手にとったら大きなチャンスだ。存在感抜群の森捕手が不在の間にどんどんアピールをしていき、森捕手がのんびり休んでいられない状況にしていって欲しい。
とは言え森捕手はまずはしっかりと完治させることを最優先にして欲しいわけだが、森捕手の体調が良くなりキャンプに戻った時、森捕手が簡単に存在感を取り戻せないような状況を他の3捕手が作れていたなら、それが森捕手が今回発熱したことによる最高の結果であるとは言えないだろうか。